2024.7.月から初公開  上瀧勇哲 平成の想い出・小説 mujik (夏川りみ) ファムレウタ12

2001年、北九州市から南の京築地域の行橋市に住まいを変えた私と洋子ちゃん。すぐそばに元永小学校。その前が2級河川の祓川、100m海側を歩くと沓尾漁港、そして東九州周防灘がある。家から歩いて30分の近さ、その先の長井の浜海水浴場まではチョットきついのでマイカー利用で、わずか7分。水平線から朝日が望める、周防灘の海辺で遊べる環境がある。その海辺と私の家を遮ってくれるのが元永山と覗き山。たかが100mも無い高さ。その事で私の家は盆地になっている。潮風が元永山に当る事で、盆地の我が家は一年中暖かく、涼しい。だから米どころとして田が多く溜池二つ、そこから各、農家に用水路が引かれ、私の家も下水管でなく用水路に水が流される。その事で農家と繋がりを持つが、都会から来た私の家族は大変な事を、後日知る事になる。それでも、その一軒家から始まるストリーは毎日が面白い。知らない世界を学ぶ事が出来る。そして中西先輩から頂いたイルミネーションを中古家に飾りつけした12月。ご近所さんが奇麗、素敵。そして釣り仲間が集う家となった。
大和三郎丸の生い立ちを描く、小説・マイファミリー・シリーズ、お楽しみ下さい 

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フィッシングライフ 
  小説 マイ・ファミリー 第五巻   「他人の子 」   続No.1 



  マイ・ファミリー 「 他人の子 
あらすじ 編

 登場人物   

◎私、上瀧勇哲(じょうたきゆうてつ)印刷所勤めの私が60才で還暦を迎えた。
 ホームは北九州市から行橋市へ移住して10年になる。

◎妻、  洋子  55才  19才で私と結婚し一男一女の子供を育てる。
◎ユーミン(裕美)私の娘 35才。私が付けたニックネーム。孫娘誕生から5年間、行橋市在住。
 今は大阪府 在住。夫は信久、その子、美優7才。

◎ノブノブ(信久)40才。私が付けたニックネーム。ユーミンと結婚し、孫娘誕生から行橋市で勤務。
 今はミータン(美優)と三人で大阪暮らし。大手玩具会社の大阪本社営業課長。

◎ミータン(美優)(信久・裕美の子)7才。私が付けたニックネーム。
 私の初孫。行橋市で生まれ5年間、行橋で一緒に育てた可愛い孫娘。

◎谷口 愛(タニグチ・アイ)外国籍の日本人。
 
14才で始めて来た日本、そして福岡・小倉の出会い。 「他人の子、主人公」

 ストーリーの あらまし

①少女との出会い
年末年始を過ごした娘と孫を送った北九州市小倉新幹線ホーム。その後、都市モノレール前のベンチで読書。そのとき声を掛けてきた、愛(アイ)という女の子。
意外なストリーの展開は、その子のパパとなり小倉を案内することになった。

②少女とデート。
小倉駅前から魚町商店街めぐり、旦過市場で焼きうどん、鴎外橋から小倉城へ、リバウオーク北九州、映画から、井筒屋1階の資生堂で、お試しパック、そしてデナータイムから、まさかの展開。

③ホームスティの始まり。
私のホーム行橋市へ。そして妻との会話から一日だけの約束で宿泊するが、孫娘のような少女に。

④皆からアイドルのまなざし。
行橋市元永区の探検は須佐神社で願い事。今元小学校、今元中学校野球部の試合会場で、人気の少女。

⑤愛(アイ)ちゃんのママが行橋に来る日。 続編2へ続く

 少女との出会い

子供達の冬休み、昨年まで行橋市で育った孫娘のミータン、私の娘(ユーミン)が、年末年始を利用して五泊六日、行橋市で遊び、今日は大阪に帰る日。それで私は見送りに来ている。

北九州市小倉駅構内でチョットしたオミヤゲを買うユーミンとミータン。

「お父さん、これオモシロクナァーィ」と、小さなオモチャを取って見せてくれる孫娘のミータンに、ユーミンママが「これもオモシロイね」と、二人で雑貨を、あさりまわした結果、なんにも買うことはない。

大阪のジィージ、バァーバの好きそうなチョコレートと「小倉名物・菊まんじゅう」を二箱、ユーミンが決め、代金は私が支払う。

「お父さん、ありがとう」と、ユーミン。で、孫娘のミータンに、「オミヤゲいらないの?」
すると、私から貰った小さな赤い財布を出し、「ココに入ってるから、帰ってから買うょ」

その財布は、私のマイカーに常備していた赤い小さな財布で「㈱がまかつ」から貰ったもので、いつも小銭を入れていたものだが、財布を持っていないミータンに小銭と一緒にやったものだ。
気に入ったものだがミータンなら、やってもイイか、ということで、今はミータンの宝物が入っている。



ユーミンママが、もう新幹線が来る時間だから、「お父さんイイかなァー」

孫娘が「お父さん、行くネ」とハグしてくれる。可愛い孫娘が大阪へ行ってしまうのは残念だが、又、夏休みに帰って来てくれる、そんな甘―ィ幸福感を抱いて、ミーちゃんとハイタッチし別れた。

二人の後姿を見送り、もう一度、孫娘のミータンが振り返えり、バイバイと大きく手を振ってくれる。
この瞬間まで幸福で、胸が躍っているような、切なさを感じる私だった。

しばらくボーっとしている私だったが、正月休みを利用した金曜日の昼前ということで、意外とプラットホームの人並みは多く、遊人が行きかう駅は、久しぶりの街を連想させ、しばし散歩したくなった。
天気が良いので、家で待つ洋子ちゃんに電話して 「チョット散歩して帰るね」
「ゆっくり遊んで来てイイよ」と、洋子ちゃんだ。

先程別れたミータンの笑顔が、まだ私の心を躍らせてくれるし、この想いをすぐに捨てきれない私だった。
それで小倉駅南口の都市モノレール駅前、二階の広場に出てみた。

暖かい日差しに誘われ、広場に出ると、駅前の車の流れと、モノレールが数分おきに出たり入ったりしている。その景観を眺めながら人の多さを感じ、ボーっとしている私。空いたベンチで、先程自販機で買った温かい缶コーヒーを飲みながら、読みかけの江戸川乱歩のスイリ―小説を読んでいる私。

と、私の隣に若い女性が座ったみたいで、少し意識している。
50才を過ぎた私には関係ないのだが、やはり隣に女性が座っていると、どうも、集中して本が読めない。
でも、少し嬉しい。そして少しだが、どんな女性が座っているのだろうか、と想うのだが、それは男心というもので、何気なく缶コーヒーを飲みほしていると、


「こんにちは」
「ハァー?」 
私じゃ、ないだろうから無視。
もう一度 「こんにちは」どうやら女の子の声。
どうも私に声かけしているようだから、少しだけ横を振り向くと、少女が優しい笑顔で、私に声を掛けているのだった。それで、
私  「アーこんにちは」………まさかの挨拶をもらう、チョット嬉しい。
しかも孫娘のミータンを大きくしたような女の子に、少しドキドキしている。

もう一度、その女の子が「お天気がイイですね」と、話しが、言葉が、ぎこちない、女の子。
私も 「暖かくてイイ天気です」
女の子「少しお話し、しても良いですか」と聞く、どんな話をするのか、興味を感じて、
私  「暇ですから、どうぞ」
それで、その女の子の顔を少し見て、若い時の妻、そっくりで、思わずカワイイと想ったが、その気持ちは納めて、読書を続けている私。しかし、半分ほど進んだスイリ―小説は、ほとんど読めてない。

女の子「先程、ママと、お孫さんですか? お別れしていましたね」「新幹線駅前で」
私  「見ていたのですか」
女の子「ハイ、可愛い女の子で、ニコニコ笑顔で、ハグして、いました」
ちょっと恥ずかしくなり、心を落ちつけている、私だった。
私  「孫が大阪に帰り、寂しくなりますけど、妻はセイセイしているのですよ」と、必要のない話しをしてしまった。

それでも、少しずつ進みはじめる、小説の、面白いページをめくるころ。
しばし沈黙の時間があり、五分ぐらい過ぎたころか。


女の子「ア・ノー」と、控えめな声。もう一度、
女の子「ア・ノー、今日、一日だけ、パパになってもらえませんか?」
私  「ハァー?」
女の子「迷惑でなかったら、今日一日、私のパパの代わり、して、もらって、イイですか?」

もう一度、私「ハァー……?

まさか、こんな言葉が出てくるとは、想像もしなかった私。
それで、その女の子を見て、目の大きな、眉毛が濃くて丸顔。細身で凄く可愛いと感じ、まだ中学生ごろの様子だし、こんな女の子からパパと、言われること、絶対ありえない
そう想いつつ、もう一度、その子を見つめると、

女の子「スミマセン小倉の街、知らないので、お願いした、のだけど、スミマセン」
私  「アーいいんですよ。私は小倉生まれなので、けっこう詳しいのですよ」
女の子「スゴク嬉しい♡ でも大丈夫ですか?
私  「私、おじいちゃんですよ、いいのですか」
女の子「私が無理言っているのに、スミマセン」と、立って深く、おじぎする誠実そうな子。
女の子「それと、パパって呼んでもイイですか?」
私  「恥ずかしいので、お父さんでお願いします、孫娘も私の事、お父さんと呼んでくれるので」
私  「それで、どんな所に行ってみたいの?
女の子「指を摘して、アソコ」

その先には魚町の銀天街があり、小倉で、もっとも人ごみが多い場所。その通りに、どんな興味を持つというのだろうか、分からないが、まずは案内だけ、だから、いいだろう。
それに、こんな可愛い女の子を案内するのだから、心が踊りそうだ。

「パパ、行こう」

「エッ」まさかパパと言われるとは、想ってもない事だったので、一瞬、周辺を見てしまった。
凄く恥ずかしいのだ
そして、その女の子が、開いている私の右手を握り、引っ張るようにして歩く。

なにか、孫娘のミータンが、「こんなふうに大きく、なってくれたらイイなーァ」と、いう感覚に、少々戸惑っている私に、今、気づいている。

それで、私「君の名前を教えて」
一瞬立ち止まり、少し考えている女の子。
言えないのだろうか。
少し時間を置いて「アイ」と言って、パパ。
普通なら、○○アイなんだろうけど、「アイ、どんな字を書くの?」

アイ 「優しいとか、好かれる、を、例えているとママが言ってた。」
私  「指で書いてみて」 ショーウインドーに、指文字を書いていると、どうも「愛」である。
私  「それなら、愛ちゃん、でいいね」

愛  「OK」 それより早く行こうと、私の右手を引っ張ってくれる。
その少女は昔、交際していたときの洋子ちゃん、そっくりで、長―ィ黒髪が、よりいっそう幼い少女を引き立て、髪を乱し早足で行く愛ちゃんに、なぜか心を踊らされている私に、新鮮な初恋を想いだしている。

② 少女とデート

小倉駅前からつづく、魚町銀天街の人ごみに混じり、愛ちゃんが、まず目線を感じ、立ち止まったのは銀座ブティクの婦人服の店だった。

愛  「パパ、入ってイイ」  「OKの私」
すぐに入り、可愛い洋服を手当たりしだい身体に合わせ、楽しそうだ。
女の子のヘットキャップも、すごく似合いだ。

店員が「娘さんの洋服を、お探しですか?」
私  「ハアー」と返事にならない。しばらく遠くから愛ちゃんを眺めているだけ、していると、その内、店員が愛ちゃんに、「良かったら着てみませんか?」
愛  「イイのですか」
店員 「どうぞ数点選んで着てみて下さい」「着替え室は、あちらです」
その店員が私の方を見て会釈をくれるので、こちらも軽く頭を下げていると、早々に選んだものを持って着替え室へ。その様子を見ていると、

女性店長さんが来て「可愛い娘さんですね」

私  「イエ、孫です」と、意外な言葉を言ってしまった。
すると奥の方で「パパ見て」と、可愛いモデルさんが着ている洋服に、しばしウットリ。

そして、もう一点は長い髪をヘットキャップに入れ、男の子の様な活発な女の子になっていた。
美女は何を着ても可愛い。
しかし、こんな高級ブランド服、買うお金は、持ち合わせてないし、少々、申し訳ないぐらい。


でも愛ちゃん、すぐに着替え、店員さんと店長さんに深々頭を下げ、
「ありがとうございました。楽しかったです」と、お礼を言っているので良かった。

正直、私は胸をなでおろしているのだ。

私  「ところで愛ちゃん、お昼ご飯は食べたの」
愛  「ウーゥーン、まだ、だけど大丈夫」
私  「この先の旦過市場に美味しい焼ウドン店があるので、そこに行ってみない」
愛  「パパにお任せするー」と言って、再び私の右手を取り、ルンルン気分で楽しそうな愛ちゃんだ。
そして学生が一番多いナガリ書店に入り、ハイ・スクールの英語本を探す、何冊か見ていたが結局買わなかった、もう一軒はヤマハ・レコード店、こちらも英語版のポピュラーばかりあせくり、結局は買わない。


そして私が紹介した焼うどん店は、小文字通りの、広い交差点を前にした旦過市場。
舗道の並びに小さなお店、その中に入り、お好み焼きとか、焼きソバなど、庶民が食べるものがたくさんあり「私の領域の店で良かったかなァ」と、最初はそう想ったが、意外に愛ちゃん喜んだ。


愛  「パパ、これ長―ィので、フォークでクルクルして食べるの」
私  「イヤ箸を使い、こんな風にして食べるんだ」と、お手本を見せたが、
愛  「上手に箸が使えないの」
それならフォークをもらって上げると、そのフォークで焼きウドンをくるくる回し、スパゲティを食べるみたいに食べる。ついでにナイフを準備させると、上手に焼きウドンをアッという間に平らげてしまった。

愛  「パパ、美味しかったね♡」 「ありがとう」言ってくれた。
   「こんな美味しいもの始めて食べた」とかで、この時、私は想った、この子は何処の子?
   「パパ、アイスクリーム食べてイイ」
   「あ、イイョ」と、ピンク色した二段アイスを注文し、美味しそうに食べながら、通りの市場を、キョロキョロ見ながら大満足の様子。私はホットコヒーを頂き、愛ちゃんの飲み物は「パインジュース」とかで、これもストローでチュウチュウ吸いながら、お買い物の、人々の仕草を、興味深々。

食事が終わり、旦過市場の通りをキョロキョロ歩くと、魚さんがピチピチ跳ねているのを見て、
愛  「パパ、この魚なんて名前?」
私  「ヒラメ」
愛  「これは?」

私  「カレイ」
愛  「どっちも同じ魚に見えるけど、どこが違うの?」

私  「お魚さんの目を見るんだ、そして口。ヒラメは左目で口が鋭いだろうー。そして、このカレイは背中に石を持っているからイシガレイというのだよ」


愛  「この赤い魚見たことある、アーット、名前忘れたわ」
私  「赤いのは赤ブダイ、青いのは青ブダイと言って、このお魚さんの同類は、すごく多いのだよ」
愛  「パパ、お魚にすごく詳しいの?」
私  「私の趣味は釣りなんだ」と、言っても無視された。

次は野菜。たくさんの葉物野菜から人参、トマト、大根、ジャガイモ、玉ネギ等々。
隣りのお店は果物屋さん、色んな種類の果物が、たくさんあり、愛ちゃんは市場にクギ付けになっている。
こんな市場に興味を持っているのかな?と、想いつつ、一通り見てから、市場の南側から広い通りに出て、交差点。左方向のビル奥に、何やら興味がありそうなものを見つけ、小倉城方向に歩く愛ちゃん。


紫川の奇麗な「太陽の橋(中の橋)」を渡ると、右方向に15階建ての北九州市役所、そして小倉城がある。
「パパ、アレー」と指差す方向は小倉城。
「あの城はね、昭和34年に新しく天守閣が再建された近代的なお城で、中に入ることもできるんだよ、入ってみる?」
愛  「行く行く、見てみたい」
北九州市役所を、通り過ぎた広い舗道から、大きな城の堀を見ながら入る高い石垣。
その上に、そびえ立つ小倉城を見ながら、愛ちゃんは、凄い、凄いと、もう大興奮している。


その坂道、上に、赤い抹茶席があり、そばで着物姿の女性が三人、お茶善を出している。
天気が良い週末に、お正月だから特別な催しがあるようだ。

愛  「あそで何してるのー」
私  「苦いお茶が頂けるのだけど飲んでみる?」
愛  「飲む、飲む」と言い、私の手を力強く引っ張り、着物姿の先生に「お茶下さい」と愛ちゃん。
いきなりの言葉で、面喰っている着物姿の女性が 「 ? 」



私  「ちょっと待ってね、愛ちゃん」 三人いた着物姿の中で、一番お年を召された方に、
私  「すいません始めてなのですが、孫にお茶を飲ませたいのですが、よろしいでしょうか」

愛想の良い、師匠さんという方が 「どうぞ、お座りください」で、
愛ちゃん、靴を履いたまま座る。 「アー……」と、思ったが、気づくのが遅かった。

師匠さん「すみません靴は脱いでくださいね」
愛   「ごめんなさい」と、着物姿の女性が座っているのを真似て愛ちゃんも座る。
どうも、ぎこちない格好で、ちょっと面喰っている師匠さん。

それでも可愛い女の子が、初めてお茶を体験するのだから、一つずつ丁寧に、作法を身振り手振り、教えてもらいながら、大きな器でお茶を飲むと、いきなり愛ちゃん、こわばった顔をした。
でもゴックンと飲みほし「オイシカッタ」「でも少しニガイ」と、正直に答えていると、

師匠さんが「しっかりしたお嬢さんですね」と、私に挨拶してくれた。
「ありがとうございました」と、お礼を言って、もう一度、皆さんに挨拶する愛ちゃんを見て、
愛  「さぁーパパ行こう、小倉城」


平日に入る小倉城は始めて、しかも、まだ正月。入門して一階の大きな鏡餅。
愛  「これナアーニ、?」
私  「毎年お城で餅つきし、デッカイ餅が何Kあるか当てるのだよ」
   「お城に来た人たちが、重さを、紙札に書くのだよ、その後の15日、このお餅を小さく切って、焼き、小豆と砂糖で味付けし、ゼンザイを作り、みんなでお正月を、お祝いするのだよ」

愛  「ゼンザイ?
私  「簡単に言えばお汁粉に餅が入っているんだ」
愛  「良く分からないけど食べるものね」
私  「愛ちゃん、お餅を知らないの?
愛  「食べた事ないの」
私  「アーそう、でも不思議?、  餅、知らない?

そして城の中では、武士の鎧に兜は興味なく、二階へ上がると奇麗なお姫様カゴに興味を持ち、
愛  「これは乗り物?。」

私  「昔の殿様、お姫様が乗っていたカゴなんだけど、中に入ってもいいんだよ、靴を置いてね」

すると入って面白がって遊ぶ、お姫さまに、なりきりの愛ちゃん。
今日はカメラを持って来てない。携帯電話にはカメラ機能が付いてないアナログでアウト。
そして孫のミータンと遊んでいるような感覚になってしまった。

他にも武士の刀とか槍、小倉城の模型に古い書物にトラの絵など、あるが、観ても興味なさそう。
そして一番上の天守閣に登り、北九州市内が360度、一望できる。ここは喜んだ。



愛  「ステキー」
先ほど歩いてきた小文字通り先の、あの山は、足立山。手前の川は紫川。遠くの海は関門海峡。そして足立山のふもと近くにあるメデア・アドームを指さして、愛ちゃんが聞く、「あれなあーに」
私  「小倉競輪場、今はメデアドームと言っている」その近くに私の母校、足立中学校があるんだよ。と、意外と小倉の地名を知りたがる愛ちゃん。
もうミータンと遊んでいる感覚に入ってしまい、凄く楽しい。
こんな楽しい事、一人占めしていいのか、と、想うぐらい感じていると、急に「パパ、次どこ行くの?」

私  「ァ、もう3時になったので帰らなくてもイイの?」
愛  「今日は学校がお休みだから、遅くまで遊んでもイイの」
私  「アー、ソウ」


すると小倉城前に変な家がある、アレに行くと指差すので、それなら、お城を降りて抜ける、近道があり、そこを抜けると八坂神社がある。
すると愛ちゃん「パパ、この大きな教会、少し変わってるね?
私  「ハァーッ?

私  「八坂神社といって、お正月に初詣し、みんな、ここで神様にお願いごと、するんだよ」
愛  「それならアイも神様にお願いする―」と、「ア、イイョ」という前に、願掛けをしている人を見て、神社の軒から、下りている、太いロープを振り廻し、鈴を鳴らしている愛ちゃん。
私  「アンりゃー……と、チョット困った私の顔見て」
愛  「みんな、しているからアイも、してみたかったの」


私  「あのね、愛ちゃん、神様にお願いするとき、儀式があってね、ここでは二礼二拍、一礼するのだけど、その前に手を洗って清めるんだよ」
それで愛ちゃん来て、と、広場前の大きな水石、中央に竜神があり、水が湧き出ている。
竹の柄杓に水を汲み、右手を洗い、左手を洗い、柄杓の杖をこうして、洗って置くんだ。
これが最初の作法で、皆、ここで手を清めるんだよ。
「愛ちゃんも、してみて」
私  「愛ちゃん、上手に出来てから手拭きし、ハイ10円玉。そして正面の奥に、鏡が見える中央に立ち、

 まず、このお金を賽銭箱に入れる。チャリーンの音。
 そして先程のガラガラを振って鈴の音を聞いてみる。
➂ 次に、私と一緒に、正面の神様、鏡を見て、頭をゆっくり二回下げ、
③ パチン、パチンの二回、手の音を鳴らしてから、手を合わせ、お祈りするのだよ。
しばらく時間がかかり、まだ愛ちゃん、お願いごとしている。終わったら、
 最後にもう一度、おじぎして、ありがとうの気持ちになるんだ。
「ところで愛ちゃん、どんなお願いしたのかなァー」

愛  「言わなーぃ。神様のお願いは、私だけの秘密なの」
私  「ア、ソゥ」なんだ。


そして、すぐ側の「リバーウォーク北九州」に入り、ショッピングゾーンから館内をウロウロ、キョロキョロする愛ちゃん。ショッピングとか食事どころは興味なさそうなので、エレベーターで4階に上がり、朝日新聞とかNHK北九州放送局、芸術劇場とか私立美術館の別館もあり、愛ちゃんの知らないものが、たくさんありそうで、少しだけ覗いて、凄ーいの連発。そしてゲームコーナーに入った。

愛  「パパ、これどうするの?」

私  「コインを入れてパクッと掴み取るのだよ」
愛ちゃん、皆が遊んでいるのを見て「パパしてもイイ」それで百円コインを数枚入れてスタート、
でも上手く掴みきれないので五度チャレンジ、しかし、やっぱし無理。正直、私も上手でないから教えられない。「パパごめんなさい、無駄遣いして」、と謝る愛ちゃん。
律儀な愛ちゃんを、好きになってしまう言葉。そして、ゲームを諦め、すぐそばの「Tジョイ」で立ち止まると、大きな映画のポスターに圧倒されている様子。



愛  「パパ、映画見てイイかなー?」
私  「ア、イイょ」早速、ディズニーの「シンデレラ」決めた愛ちゃん、私と中学生のチケットを買い、
私  「愛ちゃん、ポップコーン、いる?」
愛  「イル、イル♡」
コーン・セットを持ちこみ、少なめの客席の中、中央の席で大きくなった孫のミータンと、映画を見ているような、雰囲気になっている私。
しばし映画に夢中になっていると、愛ちゃんが涙を流していることに気づいた。
しばらく知らん顔しているものの、気にしながら、優しい愛ちゃんを更に高めている私。

それで上着の内ポケットにあるハンカチを愛ちゃんに渡し「パパありがとう、グスン」もう、目を真赤にしているのだ。
感情の高い女の子を連想させるが、その横顔を見ていると昔の妻、洋子ちゃんにそっくり想いだし、こんな子が娘だったら、少し行き過ぎな想いがあったりしていると、更に映画はクライマックス。
しかし正直、私は映画に、気が入ってないのだ。

それは、隣に座っている、全くの、他人の子から、パパと呼ばれていることに、なぜか不信感を抱いているのだ。それに、この子は何処の子?と、更に想うようになっている。

そして目を真っ赤にした、その子が、パパと言って手を握ってくれるから、私はもう、こちらの方を意識してしまい、頭の中は更に撹乱しているのだ。
そして、この子は何処の子?と、更に謎が深まってしまうのだった。


映画が終り、少しセンチメンタルになった愛ちゃん。外は日が暮れて夕方6時ごろ。
そろそろ、この子を送って行かないと、と想い「愛ちゃん、家まで送って行くから、どこかなァー」
しばらく愛ちゃん考えて、「パパ、夕ご飯まで一緒に居てイイ、そしたら帰る」
私  「それなら、お家のママが心配してるから電話して、それならイイよ」
愛ちゃん、なぜか、しぶしぶ私から離れて公衆電話ボックスに入った。

私も妻に電話したいのだが、どのように、この状況を伝えたら、いいのか分からない。
それでも遅くなったら妻が心配するので、とりあえず携帯電話をしてみた。

すると、「噓でしょう、早く帰って来なさい」と、妻からプツーンと、電話を切られた。

そして愛ちゃんが「パパ、お家に電話したら、明日もお休みだから、ゆっくりしてもイイよ」
それなら良かった。夕食は何処がイイ、何が好き? 「愛はカレーが食べたいかなァー」
私  「それなら目の前にある井筒屋デパートに行こうか」
イルミネーションが奇麗な鷗外橋を渡って入るデパートは、週末の賑わいで人が多い。その中に混じり、愛ちゃんが、私の手を握ってくれる幸福な時間だ。そのデパートの中でも、何でも興味を持つ愛ちゃん。

一階は女性サロンのような化粧品がたくさんあり、資生堂のコーナーに入り、初めて見る化粧品の多さに驚いている感じの愛ちゃん。
店員が「お嬢さんですか」 
私  「ハァー」と声がでない。 
愛  「パパです」 
私  「ハァー」と、少し恥ずかしくて、赤くなっている私に気づいているのか、
続いて店員が、ハイスクールの女性は、こんなパックで如何でしょうか、と私に、
   「お試し、してもよろしいでしょうか」
私  「ハァー」と、なんにもわからない私。


愛  「パパ、少しだけイイね」
私  「ハァー」と、声が出ない。
美しい店員が彼女を座らせ、これと、これを数本、彼女に見せてから少女用の薄化粧をパタパタして10分「パパ、見て」と愛ちゃん。
思わずツバをゴックンするほどの、美女に変身してしまった。もう完全に声が出ない私。
店員が「奇麗な可愛い娘さんで、お化粧のしがいがあります、いかがでしょうか?」
私  「ハイ、もう最高です」 
私  「あのーゥ、この化粧品を買うのですか?」
店員 「いぇ、気に入ったら又来て下さい」と嬉しい言葉に、思わず「ありがとうございます」と一礼した。その店員に、愛ちゃんが「ありがとう」と明るい声でお礼を言って、「パパ、カレーを食べに行こう」と手を取ってくれる。
もう信じられないぐらいの女の子が、街で手を組み、パパとして遊んでくれることに、周辺の人々の視線が気になってしょうがない私。でも、なぜか嬉しい。

5
階の食堂街のレストランに入り、街並のイルミネーションを見ながらのカレーは、子供が食べるような物だが、愛ちゃんは上手にフォークとナイフ、スプーンを使い、カツカレーを食べた。 私も普段なら10分で食べれるカレーを20分もかけて食べる。それも、ほとんど味が分からないぐらいのカレーだった。
食後に私はホットコーヒー。愛ちゃんはホットミルクを頂いて、なぜか私を見る目が潤んでいるようであるが、そんな事はない、と想いつつ席を立った。

後からついてくる愛ちゃんは、ちょっと足が重い。
少し間をあけて、今までと全く違い、横に寄り添い、手をつないでくれない。

多分、帰ることを心配しているようだが、私はもう十分楽しんだし、家にいる妻のことが気にかかる。
普段、こんな事、ありえないし、天使のような女の子と一緒に遊べて楽しかった。それに、この子の両親のことも心配だったので、井筒屋、玄関ホール前で、
私  「さァー家に送るから、どこかなぁー」
愛  「………」
私  「今から帰るからと言って、まず電話しなさい」
愛  「アッそうだった、忘れてた」と言って、近くの公衆電話ボックスに入り電話する愛ちゃん。電話が終わって急に明るい笑顔になり「パパ、お願いがあるのだけど」
私  「ナン?」

愛  「今日、ホームスティさせてくれない?。ママがイイって言ってたの」
私  「ウソでしょう、君みたいな子供が私みたいな、おじさんと一緒に居たらパパから凄く怒られるよ」
愛  「ママがイイと、言っていたの」
私  「それなら電話番号教えて、私の方から聞いてみるから」
愛  「言えないの。ママがイイって言ってる」

愛  「パパは親切で優しく、それに今日の朝、ママとミーちゃん送ってあげてた、でしょう」
私  「それでも、これだけは、ありえないよ、君みたいな奇麗な、イヤ、まだ学生だろ。しかも君の親は私の事は何も知らないだろう」「だから絶対だめだ」と、きつい調子で言った。
しばらく無言で魚町の交差点を通り過ぎ、小倉駅に向かっていると、
後ろから、ついてくる愛ちゃんがボソッと、

愛  「私、今日、帰るとこ無いの」 「エエーッ」

駄々をこねる娘と言い争っているところを、通りすがりの人々が見て、ちょっと不思議そうな関係。イヤ、光景だろうか。でも「本当に帰るとこが無いの?」と、言っても黙っているし、困ってしまった。
正直、幼い愛ちゃんを見ていると、本当はそうなのか?、まさか家出したのか?
心配になってきた私。それで思い切って妻に電話を入れた。

洋子ちゃんに、事の始めから、話しをしたら「ウソでしょう、お父さん」「そんなことある訳ない、早く帰っておいで」と洋子ちゃんだ。

私  「イヤ、俺のそばに14才ぐらいの女の子が今、家に帰らないと言って困っているんだ」
洋子 「近くの交番に連れて行けばイイでしょう」
私  「それはできないよ、今日一日その子と一緒に小倉を案内して、過ごしたんだから」
洋子 「ウソに決まっているから、早く帰って来て」と洋子ちゃんだ。

私  「イヤ、昔の洋子ちゃんにそっくりで、ミータンが大きくなったら、そんな女の子なんだ」
洋子 「ハイハイ、分かりました。連れて来てイイけど。そうね食事は三つ準備しとくね」と、言い、プッーンと電話を切ってしまった。
どうも、妻から嫌われてしまった感じ。でも本当の事だから仕方ない。



それで、「愛ちゃん、妻がOKと言ってくれたけど、本当にママ、パパに連絡したんだね」
愛  「ウン」とうなずく涙目の愛ちゃんが、すごく愛らしい。

しかし、こんな女の子が……
それにしても、これから家に帰り、妻がこの子をどう想うか、それが心配になってきた。
小倉駅北口の新幹線の有料駐車場に止めていたマイカーに、愛ちゃんを後部シートに乗せ出発。

③ ホームスティのはじまり

私  「私の家は北九州市から30分ほどの行橋市という小さな街にあるんだ「車のシートベルト付けてね」
愛  「ハイ、パパ、でもシートベルトどうやって付けるの?」

私  「エエーッと、凄くショック」
もう一度マイカーから降りて、ベルトの位置から止め方を教えた。
愛  「車のシートベルト付けた事、無いの」
私  「そうなのか、君は東京から来たの?」
愛  「………………」
聞かなかった事にして、私のマイカーは小倉駅から北九州都市高速道路に入り、九州自動車道、小倉東JAから東九州自動車道に入り、このまま行橋ICを降りて行くと、街の明かりが少なくなり、我が家に到着。

すると、クリスマスツリーとか、お正月などの飾り物をそのままにしているので、妻が気を効かせてイルミネーションにツリーのチカチカ・ライト、サンタクロースの電気が点いているので凄く喜んだ愛ちゃん。



「パパ素敵」でもチョット不安な愛ちゃん。妻の洋子ちゃんのことが気になっているようす。
しかし、玄関前で出迎えた洋子ちゃんを見て思わず、
愛  「こんにちは、愛と申します。よろしくです」と握手。

洋子ちゃんは思わず「ハイ、洋子ちゃんです」と、
孫のミータンとハグするような雰囲気となり、ちょっとホッとした私。でも挨拶の仕方が変。


そして、洋子ちゃんが案内して入る玄関を見て「オーマィガー」
2mのツリーに、たくさんの飾りつけは、全て手作りしたもので、洋子ちゃんの力作。それにショーウィンドーはキラキラ感。そしてセンサーでサンタクロースが歌い、汽車が走るグッズに驚いた玄関ホールに愛ちゃんは、今、すごくこの家に感動している。



早速、食事が準備されたテーブルについて、まずは自己紹介。
私は上瀧勇哲、妻は洋子です。ちなみに孫のミータンからは、洋子ちゃんと呼ばれています。
それで愛ちゃんは「………… 」
愛  「しばらく考えて「タニグチ・アイ」といいます。パパはカズオ、ママはヨシノと言います。」
そして「…………」次の言葉が出ない愛ちゃん。
愛ちゃんは自己PRは苦手なようで、良く考えて話していますが、なぜか教えたくないような雰囲気がありそうなので、ここまでで十分とし、今日一日、私と愛ちゃんが出会って遊んだことを、洋子ちゃんに話しはじめると、洋子ちゃんが「ありあわせのもので作りました、愛ちゃん、食べてね」

愛  「ハイ、いただきます」としてお食事会が始まります。
私が、そのような話しを分かりやすく、洋子ちゃんに話すと、妻はニコニコ笑顔いっぱい。
そして愛ちゃんは、洋子ちゃん手作りスパゲティをペロリ。
コーンスープも、おかわりして、もうお腹パンパンとか。
先程、私とカツカレーを食べたのに、と想っていると、
愛ちゃんが言います。

愛  「ママ、あのね、今日、小倉駅でお別れした娘さん、ママの……」と言う前に
洋子ちゃんが「私、ママなの?」
愛  「ハイ、ママです」そして私を見て「パパ」
洋子 「お父さんがパパなの?」 (ゲラゲラ大笑い………する妻)
愛  「ママ、今日、私が見た娘さんは…………」
洋子 「ハイハイ、娘のユーミンと言います。孫娘はミータンと呼んでいますけど、まさか貴方からママ……」再び大笑い。
私  「オレもパパ」………大笑い………がつづく。
しばらくしてコーヒータイム。

私は、今日ホームスティする愛ちゃんの室作り、ということで二階に上がった。

しばし休談と思いきや、洋子ちゃんと愛ちゃんの会話は二階まで聞こえ、大笑いが続いている。
娘のベッドを整理し、整えていると、愛ちゃんの着替えがないので困った。洋子ちゃんに相談したら、

洋子 「アイちゃん、お風呂入る?」 「イエス」
洋子 「それなら洋子ちゃんの、もので良かったら着替え、出しておくけど、イイカナァー」
愛  「OKです」と、可愛い声、ミータンみたい。
お風呂に入っている愛ちゃん、すごく楽しそうで、ミータンがいつもお風呂で遊んでいる怪獣コレクションで、やっぱり楽しんでいる様子。そのような彼女のお世話はできないので、後は洋子ちゃんに任せ、私はパソコンで今日あった事を思い出しながら回想し、書いていると、

洋子ちゃんの携帯電話が鳴り、大阪の娘、ユーミンからの電話だ。
大阪に帰り着いて、「ありがとう」の電話である。
冬休み、ご馳走になったこと、あっちこっち遊びに連れて行って「ありがとう」コールなのだ。

最後にミータンから「お父さん、ありがとう。今度は海に連れて行ってね♡」と会釈して、「ウン、イイヨ」と私。再び洋子ちゃんとユーミンが、今日、私と愛ちゃんの出合いから始まって、今、ここに、その子がお風呂に入っているのよ――等々の長―ィ電話。
多分、娘のユーミンは、ありえないことで、驚いている顔が浮かぶようだ。

その後、洋子ちゃんのパジャマ着て、ダブダブ、でも可愛い愛ちゃん。
長い髪をヘアードライヤーで乾かしている姿をチラチラ観察し、昔の洋子ちゃんは、こんなだった、と想いだす私。

リビングで二杯目の温かいコヒーを入れてから、テレビニュースを見ながら、

私  「愛ちゃん、いつでもイイからパパ、ママが心配しているから電話してね」これが私の名刺。
愛  「OK・パパ」

ちょっと「分かっているのかなァー」と、想いつつ、長い髪の女の子が二人、私の前を通り過ぎてゆく。
洋子ちゃんもロングヘアーで、いつもポニーテールしている。
私は、このヘアースタイルが好みなのだが、愛ちゃんの髪はきめ細かで、やはり若々しい、その髪を見つめ、ウットリしていたら、


洋子ちゃんが「愛ちゃん、長い髪をお父さんに分けてあげて」と言うと、愛ちゃん「ウッフフ」とニコやかに私を見て笑ってくれる。
私は少し剥げているのだが、何とか髪を黒く染めるぐらいはある、しかし、やはり毛が少ない。
そして、テレビを前にして洋子ちゃんが入っているコタツに入るなり、愛ちゃん「暖ったかーィ、こんなの私始めて」と、愛ちゃん大喜び♡
「フワフワして、お尻も気持ちがイイし、足が温かーィ、すごーく気持ちイイ」と大絶賛。


洋子 「いつも、そこにミータンが昼寝したり、ゲームで遊んでいるンょ」
愛  「分かる気がする、すごく気持ちがイイもん」
テレビを、ほとんど見ないで洋子ちゃんとオシャベリ夢中になっている愛ちゃん。
私  「アァー、本当に良かった」と、あの小倉駅の最後のシーンを再び想い出している私。すると、
愛  「パパ、明日どこに連れて行ってくれるの?」
私  「アー、予定してないけど、この辺、探検してみるかァー」
愛  「ママも一緒に探検しよう」
洋子 「私ママなの?」 「ハイ、ママですと愛ちゃん」
またまた、大笑いがはじまった…………

深夜11時すぎ、愛ちゃんはくたびれて、もう、ぐったりスゥスゥ、コタツの中で寝ているのだ。
このままではいけないので洋子ちゃんが起こすが中々起きない。それで、もう一度言っても起きないので、しょうがないので「この室で寝てもらいましょうかね」ということで、コタツの横に布団を敷き、重い彼女を抱きかかえ、静かに寝かせて、やっと落ち着いた私達。
可愛い寝姿を見た洋子ちゃんが改めて、ミータンが大きくなったら、こんな顔になるのね、とニンマリ♡
「私は洋子ちゃんが18才のころにソックリと想うんだ」
すると「私そんなに美人かしら」とエッヘンする洋子ちゃんです。


深夜1時、やっとベッドに入る私達。
ミータンを大きくした子が、突然やって来て、私達をパパ、ママと呼んでくれるから再び二人で大笑い。
中々寝疲れない二人だった。……

そして深夜3時、ドアをノックする音がしたので戸を開けると、愛ちゃんが寝ぼけているのか、上布団を持って来て「パパとママと一緒に寝てイイ」
突然のことなので驚いて、洋子ちゃんが多分、家の両親のこと想い出したのでしょうから、イイじゃない。ということで、ベッドの真ん中にアイちゃんが入ってきて、早速、洋子ちゃんに抱きついて
「ママ、お休み」………
涙を浮かべている寝姿に、チョット可哀想な気がして、明日は送って行かなきゃと想う。
そして、とうとう朝ごろになってイビキをかきはじめた私だった。

④ みんなからアイドルの眼差し

翌朝、洋子ちゃんがお客様用の朝食を作り、ご飯と味噌汁、オムレツとハンバーグを添えて、民宿風の定食を並べていたが、その御膳に着いたのが午前9時だった。
朝寝坊した私の布団に入ってきて寝ている愛ちゃんに驚いて起きたのが8時だ。
もう大人のように感じる愛ちゃんが、私の胸に寄り添っていたから余計に男を感じるのも許せないのだが、それでも、愛ちゃんの鼻をつまんで無理やり起こしてやった。
寝ぼけた姿が、可愛すぎる愛ちゃんに「オハヨウ」

すると、洋子ちゃんの声が聞こえて「もう9時よ」
洋子 「愛ちゃん、今日、何処か行くんでしょう」
愛  「ハイ、ママと探検します」
その答えを聞いた私達「ウッフフ」と笑ってしまう。
孫娘のミータンと重ね合せているのかも知れない♡。
ダブダブの洋子ちゃんのパジャマでハミガキ終えると、「先に食事しましょうか」と、洋子ちゃん。
愛  「ハイ・ママ」と返事して、

愛  「パパ、ママ、たいへん良く寝ました」と、
まだ寝ぼけている愛ちゃんがテーブルに着き、イスに座ると、早速

  

洋子ちゃんママが「アイちゃんが抱きついて寝るのよねェー、大きな子が」と嬉しそう。
「パパは良かったでしょう」と、洋子ちゃんがニヤニヤしている。
多分、愛ちゃんが私の布団で、朝方、寝ていることを知っている、のだと想ったが、チョット顔を赤くしたと想う。それで私は食事が進まない?
オムレツだけ食べ、コヒータイムしていると、

洋子 「愛ちゃん、着替えは私の服、好きなのを着てね」 「ハイ、ママ」
少々太り気味の洋子ちゃん、今はウエスト60㎝。愛ちゃんの年ごろは54㎝とか。
でも愛ちゃんは、もっと細いから難しそう。 「でも好きなのを選んでね」と、洋子ちゃん。
それで洋子ちゃんと寝室でファッションショーをやっているようで、時々「パパ見て」とリビングにやって来て見せてくれる。すごく可愛いロングヘア―の愛ちゃん。アレコレ色々。
もう寝室は洋子ちゃんの服で、あふれそうだ。

その中で探検に見合うスタイルで、Gパンに薄いピンクの長袖シャツに赤いセーター。そして女の子でなくても着れる黄色のウインドブレーカーに、釣りの帽子をアレンジし、ボーイズファッションになった。
これなら男の子でもOKのようだが、早速、お出かけスタート。
愛  「ママは行かないの?」
洋子 「私は忙しいからパパと行ってらっしゃい」

私の家の前に広がる畑と田圃、その先が国道10号線。その先の山並が香原岳、そしてカルスト台地の小倉平尾台が見えている。
今日は天気も良く最高。家前の県道の舗道は広く、いつも散歩している方が、通りすがりに「こんにちは」「おはようございます」と、声掛けしてくれる。
すると愛ちゃんも「おはよう」と声掛けし、なんだか、すごく嬉しそうだ。
それで私、昨日、小倉城そばの神社に行ったけど、ここにも須佐神社があり、私は、ここの氏子になるのだけど、行ってみようか?
 家から15分ほどのジョギングコースだ。

愛  「行くぅ」で、チョット待った、君のサンダルでは無理だから
「洋子ちゃんが出してくれた、ピンク色の運動靴23㎝、入るかなァ」と、ピッタリOK。 これで出発。

10分も歩くと、ご近所の皆さんから声掛けしてもらい「息子さんですか?」「娘です」と、もうウソが止まらなくなってしまった。
そして須佐神社の石段をホイホイ登る愛ちゃん。

すると、上から降りてくる、いつも、このコースをマラソンしている仲津中学野球部の少年達が声掛けしてくれる。「こんにちは」
私  「こんにちは」
愛ちゃんも「こんにちは」していると、後で気になったのか、もう一度振り向いた男の子が、
「あの子、カワイィ」と振り返る。
その子が誤って石段につまづき、ズッこけ、危うく50段の石段から転げそうになったが、仲間達から支えられているのを、愛ちゃんが上から見て「大丈夫ですか?」

すると7~8人の男の子達の視線が、一斉に下から愛ちゃん見て「スゲェー、カワイィ」
ボーイ・ファッションの女の子だが、長い髪がキャブからはみ出て、更に女の子を意識させている。
それにスタイルがスリムだし、洋子ちゃんと同じぐらい背の高さ、ファッションモデルのようだ。
軽く会釈して愛ちゃん、一気に130段の石段を登り、須佐神社境内に上がった。

  

そして昨日、教えたように、まず手洗いしてから、須佐神社にお参り。
準備した小銭50円渡し、チャリンして、大きな綱を振り回し、鈴を鳴らす。
二礼してパンパンと二つ拍手し、お願いごとをする。そして長―ィ沈黙が三分。一礼して、
もう一つの太祖大神社にも同じようにお参りした。

私が氏子の、この神社は、二つの神様が鎮座しているので、御両社とか祇園様と呼んでいるが、元永区の神様は太祖大神社。もう一つの須佐神社は行橋から豊前に繋がる、もっとも大きな主神様として崇められている。そして、お参りに来ている二組のご夫婦も、お願い事をし、
愛ちゃんと私に「オハヨウございます」と、挨拶をしてくれた。
愛  「パパ、日本人ってみんな、神様にお願いしているの?」
私  「そうだよ、日本の文化は神様信仰から始まったんだよ」 
愛  「そうなんだ」
私  「愛ちゃん、オミクジあるので一つ貰ってね」
一枚取ると、どうやって開けるか分からない様子なので、この切れ目から開くと教え、まず、私のミクジを破って広げて、中吉とある。
「愛ちゃんはどうかなァー」で開けて、大吉と書いてあるので「良かったね、大吉」
愛  「難しい漢字が読めない?、それに意味が分からない?」
それなら私が読んで上げようか、愛ちゃんの運勢はね「――――」「―――」「―――」とあります。これから良いことばかりズーッと続くと、神様が教えてくれているのですよ♡

愛  「そうなの?」と、嬉しそうな愛ちゃん。そのミクジ紙を、木に結びつけることを教え、
愛ちゃんは、知らないこと、沢山あること体感し、感激しきりだった。
そして、顔見知りの神主さんに会釈して、階段を下り始めると、
愛  「パパ怖い、こんな急なところ上がったのね」
私  「そうだよ」で、恐る恐る降りて、もう一度、大きな石の鳥居の前でパンパンと手を合わせる愛ちゃんだった。

 

私  「この先に小学校と中学校があるので行ってみようか」 
愛  「ハイ、パパ」で、今日は土曜日で休日、今元小学校の広い校庭でサッカーボールを蹴って遊んでいる男の子が5人。あっちはバスケットに、ボールを入れている男の子に女の子が3人。

すぐに愛ちゃん、その和に入りバスケットにボールを入れて、かなり上手。
男の子の、お姉さんも上手で15分ほど遊び、

愛  「パパ、スクールのそばに奇麗な砂川があるョ。中に入ってもイイ?」
私  「ウソーだろう」「ちょっと冷たいし着替えがないので足だけよ」 
愛  「OK」

すぐに靴下を取り、素足になる愛ちゃん。小さなカニを捕まえ、ヤッター、ヤッターと大喜びだ。
そして草むらに潜んでいた大きなガマカエルさんに遭遇し「大怖―ィ」早々に祓川から上った。

そして今元中学校に行くと野球の試合をしていた。

愛  「パパ、スクール入ってもイイ」 
私  「イイよ、見るだけだよ」
キョロキョロしながら、愛ちゃんと同じくらいの男の子、女の子達、数人の応援グループ。
すると愛ちゃん、足膝から血を流している男の子を見て、その子を説き伏せ、水洗い場に連れて行き、足を洗い、持っていたハンカチで奇麗に拭き、それでも血が止まらないので、そのハンカチを足に括り縛った。
すると、その子が「ありがとう」
愛  「イイエ、試合ガンバッテね」と愛ちゃん。

もう一度「ありがとう」の男の子。でも愛ちゃん見て、ボーっとしているのが分かる。

すると、その様子を遠くから見ていたコーチがやって来て「ありがとうございます」
「すみません、後でハンカチを、洗って返させますので、お名前を聞かせて下さい」
私  「イヤ、娘のことですからイイのですよ」
コーチ「それはできません。今元校区の方ですか?」 「元永の上瀧といいます、祇園団地前の家です」そんな話しをしていると、愛ちゃん、たくさんの子から声を掛けられている様子で、何か楽しそうだ。
しばらく野球観戦していたら「パパ、お腹すいた、帰ろう」
帰り道、愛ちゃんに、「今元中学校は野球が強く、福岡県大会でもトップレベルで、以前は九州大会で優勝したこともあるんだ」等々、少し自慢話し、しているのだが、そのような事、興味ない、分からない様子。

そして家に帰るなり 「ママ、お腹すいた―」

「アーン」と、アッケに取られている洋子ちゃんだった。
洋子 「早速、すぐに出来るラーメン作るね♡」

我が家のラーメンは生メンを使った本場のスープ付きで、けっこう遊びに来る釣り仲間から喜ばれる。
特に孫娘のミータンはトンコツラーメンが好き。そのラーメンを愛ちゃんが「いただきまーす」
愛  「でもママ、どうやって食べるの?」

洋子 「こうして箸を使って食べるのだけど、愛ちゃんは箸を使えないの?」
愛  「少しだけ使えるけど上手でないの、いつもフォークとスプーンが多くて……」
洋子 「でも、箸で食べるのが凄く美味しいからチャレンジしてね」と洋子ちゃん 
愛  「ハーイ、ママ」
洋子 「それで人差し指と親指を、こんな風に使って、そう、ペンを握るように、同じように箸もこうして開いて使うのですよ」「ハイ、ママ」少しずつ上手に麺がつかめ、スープはスプーンでワッショイで食べる。
加えて餃子に、チャーハン追加し豪華なランチだ。
愛  「ママ、すごーく美味しいよ」
洋子 「良かった」愛ちゃんが喜んでくれると、たくさん作れそう。それで私達は朝ランチの残り物。

  

お昼の1時、今日は早めに夕ご飯にするから、愛ちゃん「買い物に行こうか」と、洋子ちゃん。
それで近くの行橋・夢タウン店に行くと、
愛ちゃん「スゴーィ、こんな大きなお店が深夜10時まで営業しているんだ」と、感心しきり。
でも「愛ちゃん、カート押して行かなきゃ」などなど、二人の会話は楽しくてしょうがない様子。
それで、私は遠くから二人の買い物を見ているだけにした。

なにか親子で買物をしている様子を見ながら、チョット変。しかし洋子ちゃんも、すごく楽しそうだし、なにより愛ちゃんが可愛いすぎ。みんなロングヘア―の愛ちゃんが通っていると振り向くのだ。
で、買い物を終えた洋子ちゃん。


「お父さん、ユニクロに連れて行って」ハイ、出発します。
行橋市駅前のユニクロ店に入り、洋子ちゃんが見ているのは愛ちゃんの洋服を買っている様子。
それで、私は車の中でお留守番をしていると、しばらくして、ニコニコして帰ってきた二人。
愛ちゃんが「ママありがとう」ホッペにブチューして、あぁ、愛ちゃんのものを買った、と想った。

で、家に帰るなり「パパ、遊ぼう」と愛ちゃん。
まるで8才のミータンのようで「きしょくワルーィ」と、想っていたら、タコを持って来た。
リビングに置いてある、竹ひごで作られたタコを、前から気になっていたようなので、


愛  「このタコをどうやって空に飛ばすのか教えてパパ」 
それなら広い築上町の「メタセの杜」に行くことにした。

愛ちゃんが「ママも行こう」ということで、車で15分の「メタセの杜」に行くと、たくさんの子供達がいて、芝生広場でタコ揚げしている子供がいたので、ちょうど良かった。
愛ちゃんにタコ糸を持たせ「走れー」で走ると、タコが舞い上がり、タコ糸を上手に出しながら高く高く舞い上がり、すごく楽しそうな愛ちゃんだった。
そして、すぐそばの築上自衛隊の、航空機が真上に通過してゆくと「すごーィ」と愛ちゃんだ。

私  「近くに航空自衛隊があるので、ここをジエット機が、低く飛んで地上に降りてゆくんだよ」
愛  「フーン」と愛ちゃん。
そしてタコ揚げを私にタッチし、そばの女の子グループに入り込み、サッカーボールを蹴りまくって遊び、もう最高に遊びまくりの愛ちゃんだった。
それで私と洋子ちゃんは、いつもの公園ベンチで愛ちゃんの事、いろいろ話したが、まとまらない。

そして、午後4時過ぎ、遊びまくった愛ちゃんは、もう大満足で帰宅。
  

早速、洋子ちゃんが夕食の準備。
「愛ちゃん、加勢してくれる?」と、洋子ちゃん。
「イイョー」と愛ちゃん。で、台所が忙しくなった。
今日のメニューは、先程買ってきた肉ミンチを器に入れ、玉子と小さく刻んだタマネギを入れ、コネコネして少し味見。もうすこしかなァーということで、塩とコショウを加えて後は形にするだけ。

ここから愛ちゃんの出番で、ベタベタ、ボチャンと好きな形が出来、フライパンで焼く。
そして先程からルーが煮えている中に入れる。

愛ちゃんはハート形にしたり、三角とか、丸とか色々入れて遊び心たくさんだ♡
そしてハンバーグにそえる人参とかジャガイモ、ブロッコリーをゆでたり、炒めたりして40分で広いテーブルに、並べた豪華な手料理を見て、
愛ちゃん「すごーィ、ママ」こんなの初めて♡

午後5時過ぎには夕食会の始まり。
温かい野菜スープは大きなウインナーが入り、すごーく美味しいと愛ちゃん。
もう孫のミータンが大きくなったような愛ちゃん見て、すごく嬉しいのは私だけ。
愛ちゃんの握ったハート型のハンバーグを貰い「こんなハンバーグ始めて♡」の私
「そうでしょ、愛ちゃんの愛を感じるでしょう、お父さん」と、洋子ちゃんだ。
愛  「パパ、美味しい?」
私  「すごーく美味しいよ、ハートがこもっているよ」と大笑い。

    「ところで愛ちゃん、食事が終ったらママに電話して、帰るからと言ってね」と私。
すると一瞬、食べる手を止めた愛ちゃん、下を向いてしまい、ちょっとタイミングが悪かったかなァと、少し反省するも、洋子ちゃんが追い打ちかけ、「ママが心配するから、やっぱり帰らなきゃ」
愛  「……………」
「ここが気に入ったら、又、来てもいいのよ♡」と、洋子ちゃんだ。

愛  「帰らなきゃいけないの」
洋子 「ハイそうです」と、キッパリ洋子ちゃんが言うので、ますます黙ってしまった愛ちゃん。

洋子 「でも、あと残り少し、食事を終えてしまおうね、愛ちゃん」 「はい、ママ」
少し黙り気味の食事が終わり、
洋子ちゃん「愛ちゃん、洗ってくれる?」「ハイ、ママ」と再び元気になった、ロング・ヘアーの女の子、
二人が台所でペチャクチャおしゃべりしながら、アッという間に片付いた。
私は、いつものコーヒー、6杯分を作るころ、UCCキリマンジェロコーヒーの香りが部屋に蔓延すると、
 

愛ちゃんが「子機を持って、向こうで電話してくるね」 「アァ、イイよ」と私。
洋子ちゃんは、子供をあやすのが上手、とホメながら、コーヒータイムしていると、
電話を終えた愛ちゃんが
愛  「もう一日ホームスティしてもイイ?、パパ、ママ」 

   「エエッ…」と、声が出ない、私と洋子ちゃん。
しかし、潤んだ愛ちゃんの目が赤い。 どうも大変な電話だったに違いない。
私  「それで、ママは?」
愛  「明日の12時、北九州空港に、迎えに来る」 「それで愛は明日、帰ることになって……」
もう涙目の愛ちゃんになってしまった。
と、洋子ちゃんが「それでイイのね、愛ちゃん」「うん、ママ……」と、凄く寂しそうな顔になっている。
私と洋子ちゃん、目配せして「ママが明日、迎えに来るのだったら最高」
私  「愛ちゃんのママと会えるの楽しみ」を告げると、みるみる愛ちゃんの涙目が笑顔になり、洋子ちゃんとハグして嬉しそうだ。

これで一安心。サァー今日は、有り余る時間どうやって過ごすか。
それに明日の今ごろは愛ちゃん居ないし、それに愛ちゃんの事、聞きたい事がたくさんある私達。
せっかくホームステイしたのに、愛ちゃんの家族の事、全く知らない。その事を今から聞きたい私。
洋子ちゃんに、その事を言ったら、明日帰るのだから、知らなくても良いんじゃない。と、そっけない。
コタツの中で愛ちゃんは、ゲームに夢中になっている。
私達はリビングでヒソヒソ話し。

私  「でもイイカー、他人の子だから」と、ここで私の話しは終わった。そして寝室でパソコン作業。
洋子ちゃんは、愛ちゃんと一緒のコタツでDSの動物の森ゲーム。
仲良しで笑いが絶えない、愛ちゃんと洋子ちゃん。
午後9時、愛ちゃんが私の好きなカフェオーレを入れてくれた。
パパ、ショートケーキは?。と、ママが言っています、リビングで。
私はこれだけで十分だよ。愛ちゃん、たくさん頂きなさい。
愛  「ありがとうパパ」
そして目が疲れた午後11時、ハミガキして、洋子ちゃんに、私は空いている、おばあちゃんのベッドで寝ることを伝えた。そして、


私  「愛ちゃん、今日は洋子ちゃんと寝てね」と、告げると、
愛  「パパと一緒に寝てもイイ」と、愛ちゃん。
私  「イヤ、君は大きな子供だから、私はこっちの室で寝る」「愛ちゃんは寂しがり屋さんだから、洋子ちゃんと一緒に寝てね、女同士だろう」
すると「パパごめんね、ありがとう」と言って、いきなりホッペにキスしてくれた。
一気に顔が熱くなり、洋子ちゃんが「嬉しかったでしょう」と追い打ちをかけてくれて、大笑い………
今日も深夜12時まで遊んだ愛ちゃんだったが、その中でもミータンが遊ぶDSの「トモダチ・コレクション」が凄くお気に入り、大笑いの連発が、廊下を挟んだ、この部屋でも聞こえてくる。
やっぱりミータンが好きなものは愛ちゃんも好きなのだ。
と想いつつ、今日は疲れたので、ぐっすり寝られた私だった。



⑤愛(アイ)ちゃんのママが行橋に来る日。     続編2へ続く

2024.7.                 ペンネーム 大和三郎丸 (上瀧勇哲)

 2024.マイファミリー第五巻「他人の子」  続編2リンク

















 マイ ファミリー 第五巻 続編 1

   小説  他 人 の 子






    作者・編集・発行人 大和三郎丸 (上瀧勇哲)

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