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フィッシングライフ
小説 マイ・ファミリー 第五巻 「他人の子 」 続 No.2
◎私、上瀧勇哲(じょうたきゆうてつ)印刷所勤めの私が60才で還暦を迎えた。
ホームは北九州市から行橋市へ移住して10年になる。
◎妻、 洋子 55才 19才で私と結婚し一男一女の子供を育てる。
◎ユーミン(裕美)私の娘 35才。私が付けたニックネーム。孫娘誕生から5年間、行橋市在住。
今は大阪在住。夫は信久、その子、美優7才。
◎ノブノブ(信久)40才。私が付けたニックネーム。ユーミンと結婚し、孫娘誕生から行橋市で勤務。
今はミータン(美優)と三人で大阪暮らし。大手玩具会社の大阪本社営業係長。
◎ミータン(美優)(信久・裕美の子)7才。私が付けたニックネーム。
私の初孫。行橋市で生まれ5年間、行橋で一緒に育てた可愛い孫娘。
◎谷口 愛(タニグチ・アイ)外国籍の日本人。
14才で始めて来た日本、そして福岡・小倉の出会い。 「他人の子、主人公」
◎谷口 (タニグチ・カズオ)愛ちゃんのパパ。日本人。
◎鈴木玲子(ずずきれいこ)35才。愛ちゃんの家庭教師。
◎山本校長先生 55才。小倉足立中学校 校長。私の母校
◎中村俊夫部長 51才。小倉警察署所。山本校長先生の従兄弟
①少女との出会い。
娘と孫を送った後、北九州市小倉駅前ベンチで読書。そのとき声を掛けてきた、愛(アイ)という女の子。
意外なストリーの展開は、その子のパパとなり小倉を案内することになった。
②少女とデート。
小倉駅前から魚町商店街めぐり、旦過市場で焼きうどん、鴎外橋から小倉城へ、リバウオーク北九州、映画から、井筒屋1階の資生堂で、お試しパック、そしてデナータイムから、まさかの展開。
③ホームスティの始まり。
私のホーム行橋市へ。そして妻との会話から一日だけの約束で宿泊するが、孫娘のような少女に。
④皆からアイドルのまなざし。
行橋市元永区の探検は須佐神社で願い事。今元小学校、今元中学校野球部の試合会場で、人気の少女。
⑤愛(アイ)ちゃんのママが行橋に来る日。 続編2 今回
北九州空港ロビーで、まさかの家庭教師、鈴木玲子先生は愛ちゃんの先生。ママの代理で来たとか。
⑥愛ちゃんが知りたい事は、日本人のパパが小倉の人
愛ちゃんとママ、鈴木玲子先生を納得させるほど、ホームステイを続ける訳、「愛ちゃんが知りたい秘密」それを探してやりたい私達の思いを、家族として支える洋子ちゃんと私。
⑦愛ちゃんの探し物とパパの写真
二週間のホームステイと愛ちゃんの宝物は、一枚の写真からストリーが始まる。
洋子ちゃんが生まれ育った若松の街と、彼女と結婚するキッカケをくれた会社と、釣り仲間の交遊を知る愛ちゃん。
続編3へ続く
1月4日、晴。
ぐっすり眠った私だが、寝不足の洋子ちゃんは、なぜか元気がイイ。
愛ちゃんのおかげで、気が張っているようだ。
それに今日は愛ちゃんのお母さんが来る日なので、私達は朝から落ちつけない。
洋子ちゃんが「お父さんが家に居て良かった。こんなこと私一人じゃ出来ないモン」と、ちょっと疲れ気味の洋子ちゃん。
その悩みの本人が、朝9時、髪をボサボサして起きてきた。「パパおはよう」「ママおはよう」と挨拶してくれる。お客様用の歯ブラシと、ミータンが好きな子供用のハミガキ粉が、お気に入りの愛ちゃん。
グチュグチュ歯を磨がいて「パパ、今日どこに連れて行ってくれるの?」
私 「エェーッ、今日、ママが来るんじゃないの?」
愛 「アーそうだった…………」
そして洋子ちゃんが、朝ごはんを準備してくれたのは、玉子サンドイッチと野菜サラダ。
サンドイッチは食パンの耳が付いているもので、けっこうボリュームがあるから、私は好きだけど、愛ちゃんは?どうかなァーと、想っていたら、早速テーブルについて「いただきまーす」して、大きな口でパクン。
私達が、見ているのを全く気にしないでパクパク、モグモグしているので、
愛 「パパ、ママどうかしたの、食べないの?」
イャー、愛ちゃんがサンドイッチ、こんなに好きとは思ってなかったので、と、洋子ちゃん。
美味しそうにホット牛乳を飲みほして「ママ、おかわりイイ?」「ハイ、どうぞ」と洋子ちゃん。
朝から食欲旺盛の愛ちゃん。サンドイッチは大好物なんだそうだ。そして、
愛 「パパ、お天気良いからお出掛けしよう」と、
早くも昨日の、お気に入りのGパンに薄着の長袖シャツ一枚、着替えてきた。
「寒いからセーターとウインドブレーカー着るのよ」と、洋子ちゃん。
愛ちゃんが「ハーイして」 さて、
私 「どこに行こうか、お昼もすぐだし、」近くは……と考えていると、
愛ちゃんが「ミータンと、いつも何処に遊びに行くの?」
私 「今だったら行橋運動公園かなあー」 「愛、ソコ行きたーィ」で決まり。
車の、助手席に乗った愛ちゃん。沓尾の祓川橋を渡り、10分で着く。行橋運動公園は海沿いにあり、その中の一つが子供用の遊具施設があり、ベンチやトイレに広い公園まである。しかし、中学生の女の子が遊ぶようなところではない!! でも、愛ちゃんは早足で行くと、小学生の子供のグループに入り、一緒に遊び始めた。
髪の長いお姉ちゃんと遊べる子供達は、みんな大喜びで、愛ちゃん人気が、みるみる高まり、長いスベリ台に、滑車ロープウェーで遊んでいる。
私は、孫のミータンと、ここに来ると、ほとんど遠くから見ているだけにしている。親がそばに居ないで、子供同士で遊ばせる事をベースにして、ミータンが積極的に友達を作り、一緒に遊ぶ事をさせる。これが私の目的として、何処の公園に行っても、私は出来る限り突き放す。しかし、なぜか気になる愛ちゃん。
人様の子供を預かっているのだから? イヤ、可愛くて仕方ないのか、想いは複雑だ。
そんな様子を遠くのベンチから見て、江戸川乱歩のスイリ―小説の続きを、読んでいると、
ママ・ファミリーが近くに座り「ハイ、こんにちは」の挨拶をかわす。
ここにやって来るママは、みんな小学校か幼稚園ごろの子供を連れて来るファミリーが多く、今日はパパは居ない。
マイカーでやって来るママ、グループは3組いて、遊具で遊んでいる子供を見ながら、ペチャクチャおしゃべりしているのが、良く聞こえる。
「あの子、カワイイわね。どこの子かしら?」と、どうやら愛ちゃんのこと、言っているようだ。
知らぬ顔して読書を続けていると、ハァハァして愛ちゃんがやって来た。
「パパ疲れた、休憩」と言って、私の隣に座り、持って来たアクエリアスを一気飲み。
愛 「子供と遊ぶの、すごく楽しい♡」
私 「ア、そう」と、楽しんでいる事分かるが、内心、愛ちゃんだって子供と想うのに、ちょっと大人目線を感じていると、
愛 「あの滑車ロープウェー、あの遊び、すごく面白いね」「ミータンもアレで遊ぶの?」
私 「あ、そうだよ」
愛 「分かるなァ、すごく楽しいもン」と言って再び、その子供達の和に入り、キャキャ、オニゴッコしているみたい。そのことで近くに居るママさんがジロジロ私を見つめる、視線を感じ、座る場所を変えた。
行橋運動公園は、すぐそばに海がある。高い犬走りがなければ周防灘の海が良く見えるのだが、その犬走りのおかげで潮風がシャットダウンされ、芝生や緑の木々が塩害から保護されている。
それに公園横のオートキャンプ場は勿体ないぐらいのスペースがあるし、団体のキャンプが出来る。
そして今、ナイター付きのサッカー場が人気で、週末はギラヴァンツ北九州とか、福岡アビスタの若手選手が来て、練習試合している事もある。
その緑地公園から野球場、体育館から、研修施設は、近辺の市町村には、ないぐらい豪華だ。
午前10時過ぎ、遊び疲れた愛ちゃんがやって来て「パパ、どっか、違うところ行こう」
私 「それなら行橋市役所そばにコスメイトがあるから、そこでコーヒー飲みに行こうか」
愛 「OK」で、わずか、車で10分の、通い慣れたホールに入るなり、
愛 「行橋って田舎じゃないょね」「すごーィ」と言い、2Fの歴史資料館に入り「フーン、すごーィ、こんな土器がたくさん出てくるんだ!!」と、愛ちゃんだ。
勝手にウロウロ、キョロキョロ興味身心。そして図書館に入り、たくさんの本に驚いて、
愛 「時間があったら、ゆっくり本読みたいなァー」
「北九州市とか小倉とか分かるもの、あるんでしょう?」
私 「あると思うけど、ここは行橋市が中心なんだ」「もっと詳しいこと知るんだったら、やはり北九州市小倉の図書館とか美術館、博物館など色々あるんだ!!」
それを聞いた愛ちゃん「明日、そこに行こうパパ」
私 「エーッ、帰るんでしょ今日!!」 しばし沈黙の愛ちゃん………
私 「愛ちゃん、コーヒータイムしようか?」
愛 「洋子ちゃんママがお家で待っているから、帰ってからランチ食べたい」
チョットお腹がすく、ペースが早い愛ちゃんに感心して、帰宅。
「ママ、ただいまー」と、すごく元気がイイ。
すると洋子ちゃんが、先程電話があり、愛ちゃん、迎えに来る先生、
そう家庭教師の鈴木先生が「愛ちゃんのママの代わりに来ます」という電話があった!!と、話した。
愛 「先生が来ると想っていたの、ママは忙しいから」と、不甲斐ないそぶりだ。
それでも愛ちゃんは嬉しそうに「優しい先生だから、きっとママもパパも好きになれるよ!!」と愛ちゃんだ。
しかし、好き、嫌いな問題でなく、大切な子供を迎えに来ない愛ちゃんのパパ、ママにチョット理解できないのが不満な私達。それに、ちょっと変だと想った。でもイイのだ。今日、愛ちゃんが東京に帰ることが決まれば、それで私達は十分責任を果たすことができる。そう想ったら急に気が楽になった。
愛 「先生、何時の飛行機で来るの?」 「午後1時と言ってたよ」と、洋子ちゃんだ。
それで「お父さん、迎えに行く?」と、洋子ちゃんが聞く。
私 「当然迎えに行かないと、ここは分からないよ、でも、ナゼ先生なんだろうね?」
洋子 「ママは、どうも来られないらしく」事情がありそうなので、とにかくお会いして、お話しがしてみたい!! そうか、それなら迎えに行くことにして、さしあたってランチタイムしてからにしょう。
するとすぐに、洋子ちゃん手ずくりヤキソバに目玉焼き。コーンスープにオニギリがテーブルに並べられ、
ミーちゃん愛用のコップに、なみなみお冷が入り、私達のコップにも、お冷を入れてくれた愛ちゃん。
いつものように手を合わせ、「いただきまーす」と、愛ちゃん。
美味しそうにフォークでクルクル巻いてヤキソバを、上手に食べる。そしてフォークで目玉焼きを掬い、大きな口で、一口。オニギリは、ナイフで小さく切って、フォークで刺し、やっぱり大きな口にバクーンして食べるカワイイ食べ方。
そしてペロリと平らげ、大食かんに驚きの私達。
「小さな身体の、どこに、こんなに、たくさん入るの?」と、洋子ちゃん。
愛ちゃん、オナカを少し出して「この中よ!! 」小さなウエストにオナカがボコッと、カワイイ。
しばらくして家族?、で迎えに行くことになり。
後部シートに洋子ちゃんと愛ちゃんが座り、すごく、後ろが賑やかしいドライブ。
洋子ちゃんも楽しそうだし、でも今日でお別れだ!!
その想いをイメージしながら北九州空港道路大橋に入ると、愛ちゃん大喜びだ。
橋の上から広い大きな海が見えるし、苅田港に出入りしている貨物船とか、車を満載したフェリー船が出て行く。その北側には北九州市の小倉の街並が見える。
と、大きなジェット機が空港から飛び立ち、北九州空港が、さらに勇壮に見える。
その景観を愛ちゃんが「奇麗!! ステキ!!」と、もう大絶賛だ。
いつもの空港、駐車場にマイカーを止め、ターミナルに入り、2階のロビーで待つ間、左側にある井筒屋のマークをみて、パパとお食事した、あのデパート?、と、愛ちゃんだ。
私 「そうだよ同じデパートが出店しているんだよ、オミヤゲ買おうか」
愛 「イイよ、先生に会ってから決める」
そして東京便が着くと、エスカレーターから下りてきた女性に、愛ちゃんが気付いた、先生のようだ。
二人でハグしているのを見て、私達はすごく安心した。
様子で分かる愛ちゃんの笑顔と、かわす言葉で十分良かった、良かった、と心の中でそう想った。
そして愛ちゃんの紹介で「私の先生、鈴木玲子先生です」と、早速ご挨拶。
鈴木先生「この度は大変ご迷惑をおかけしました。私、愛さんの家庭教師をしています鈴木玲子と申します」「今度は、どうしても奥様が来られず、私が代理でお迎えに来ました。色々なお話しは、たくさんあるのですが、あちらのテーブルで、どうでしょうか?」
「ハァ、ハイ」という間もなく、席に着いてから先生の言葉が続き、
「ひとまず愛さんを帰宅させ、のちほど奥様が詳しくお礼を申し上げる、ということで如何でしょうか?」
「ハイ、それで十分です」と私。
すると、すぐに愛ちゃんが、
愛 「私、しばらく行橋でホームスティさせてもらうの、先生お願い!!」と、先生に手を合わせる愛ちゃん。
先生「どうしてなの、ママが心配して待っていますよ!! 」
愛 「私、小倉で知りたいことがたくさんあるの。それを知ってから帰るの」
先生「北九州市小倉ですね? それで何を知りたいのです?」
愛 「それは言えません。でも大切なことなのです。先生からママにお願いして」
先生「私は今日、愛さんを迎えに来ました。そして奥様から必ず一緒に帰ってくるように言われています」
愛 「ごめんなさい先生。私、今からママに電話してみる、それでイイ?先生」
そんな会話を聞きながら、愛ちゃんは電話ボックスへ入った。
先生「すいません、大変ご迷惑をおかけして、本当にすみません」と何度も頭を下げられている私達。
私 「これでも私達、すごく嬉しいのですょ先生。実は私達には孫娘がいました。でも今は大阪に居るのです。それで、いきなり愛ちゃんが入ってきて孫のような雰囲気で私達、すごく楽しめました」
洋子「二人きりでしょう、その中に孫娘が帰ってきたようで楽しく遊べました」
先生「ありがとうございました、本当にお二方のような方に巡り会え良かった。でも凄く心配していたのです」
私 「ハイ、分かります……」
先生「本当はもう少し愛さんのこと、奥様のこと、お話ししたいのですが出来ないのです、すいません」
すると、長―ィ電話を終え、愛ちゃんが戻って来て「ヤッター」
先生「なにがですか」
愛 「ママがイイって!! 」それも二週間だけ、お願いしてみて、と言ってます先生。
先生「そんなことありません、私が確認してきます」と言って、今度は先生が電話ボックスに入って行った。
その間、もしかしてこの子、帰らないの?、洋子ちゃんと見つめ合って「ウソでしょう」と、洋子ちゃん。
私 「愛ちゃん、ママの様子どうでした、心配していたよねー」
愛 「すごくご機嫌で、愛の好きにしなさい、と言ってた」
私 「好きにしなさいっていうことは、家に帰らないの?」
愛 「ハイ、そうです。それでパパ、ママ、もう少し居させて、ネェお願い」と、手を合わせる。
それも、ぎこちなく、どうもこの間、神社に行ったとき、神頼みした、あの合わせ方そっくり。
でも、すごく嬉しそうでいるから、私達のハートを、もう読んでいるのかも知れない。
そして電話を終えた先生が戻って来て、やや不機嫌そうに。
先生「実は大変申し訳ございませんが、愛さんの、たってのお願いで、もうしばらくお世話になっても、宜しいでしょうか?、奥様もご了承している様子ですし、申し訳ありません」と、頭を下げる鈴木先生。
その隣りで、愛ちゃんも手を合わせている姿。
空港ロビーで大勢の人々が行きかうこの場所で、こんな風に手を合わせて、もらっている私達。
通りかかりの旅人が、不思議そうにジロジロ見つめられて、いるような気がして、なぜか恥ずかしィ。
私 「アノー私達で良ければかまいません!! 」ねェ、洋子ちゃん
洋子「ハイ、主人がそう申しておりますので、どうぞ気にしないで下さい」
それで愛ちゃん、目を潤ませて「パパ、ママありがとう」背中からハグしてきた。
その様子を見ていた先生、驚いて「愛さん、上瀧さんをパパ? 奥様をママ?」
信じられない様子の鈴木先生。
笑顔がすごーく可愛い愛ちゃん。
ホールの人々から、空港受付係の女性達が、みんなこっちを見ているようで再び、恥ずかしい!!
私 「それで鈴木先生、もし良かったら20分ほどで我が家ですが、今から来ませんか」と、案内するも
先生「とても、ご迷惑で申し訳ありません。すぐにでもこの事を、しっかり奥様にお伝えしますので、このまま東京へ帰ります」
洋子「たいしたおもてなしは出来ませんが、準備してありますが……」
先生「本当に申し訳ありません、今日は愛さんと一緒の飛行機だと想っておりましたので、こんな事になるなんて、思ってもいませんでした」
愛 「ごめんなさい先生。帰ったらお勉強を、たくさんします」
先生「そうですね。こんなことなら宿題たくさん持ってくれば良かった、と後悔しています♡」と、始めてニコッと笑った先生。
そして鈴木先生が、本当は今日、愛さんと帰る事になっていたのですが、愛さんのお母さんから、ことずけ、されたものです。少ないものですが、受け取って下さい。として封筒を頂いた。お金が入っている様だったので、私 「私達はホームステイの気持ちで愛ちゃんを、お預かりしていますので、これは必要ありません」と、して受け取らなかった。
鈴木先生が再度、「お母さんからの気持ちなのでお願いします。」
でも「洋子ちゃんが、ホームステイが終わったら直接お母さんから頂きますので、鈴木先生のお気持ちだけで、十分です。ありがとうございます」。と、頭を下げたので、
鈴木先生は気持ち良く、「今日の事、アイさんのお母さんにシッカリお伝えします。」と、深々頭を下げる鈴木先生だった。
そして、愛ちゃんとハグして、すぐに東京便を確認し、早々にエスカレターに乗った。
まだ30代頃の若い方で知的な美女。多分、優しいコミュニケーションで、お勉強を教え、素直な明るい愛ちゃんがここにいるのだ、と想った。
私 「愛ちゃん、見送りしなくてイイの」
愛 「ウゥーン、又、泣きたくなるから、ここでイイの」
北九州空港道路大橋を渡ると左側にTOYOTA自動車工場、そして日産自動車工場前を通り過ぎる頃も、ボーット窓の外を見ている愛ちゃん、やけに静か。
鈴木先生とお別れ? それともママとの電話、何か思いふけっている愛ちゃんの横顔が、バックミラーに映り、寂しそうだった。
帰宅してすぐに「パパ遊ぼう!!」と、もう気分が変わったようだ。
愛ちゃんらしくなったと想ったが、まずはコーヒータイムして、ゆっくり、これから先のことを考えたい私達。それも全く、他人の愛ちゃんの事を…………
洋子「二週間、居るって、言ってたね」
私 「多分ね、オレはかまわないけど」
洋子「小倉で知りたいことがあるとか、愛ちゃん言ってたね?」
私 「ホラ、愛ちゃんと会ったとき、小倉を案内したんだけど、あのこと」
洋子「もっと違ったことじゃないーン」
私 「オレもそう想うよ。知りたいことと、捜したいこと、ありそうな気がする」
すると愛ちゃんがやって来て「ママ、ホットミルクいいかなァー」
洋子「愛ちゃんは、しばらく私の娘になるのでしょ!!。ホットミルク、勝手に作りなサァーィ」
愛 「ハイ、ママ。私、上手に作るね」
洋子「牛乳を温めるだけでしょう」
愛 「そうでした アハハー―」
三人でコーヒータイムしながら愛ちゃんに「先程、小倉で知りたいこと、探したいこと、あるって言ってたね」
私 「その事を協力できないかなァー」
愛 「運転手でイイょ」 「エーッ、そんなの面白くナァーィょ」と私。
愛 「分からないこと、たくさんあるのだけど、最初に小倉が、どんな街かを、たくさん知りたいの」
愛 「パパ、協力してくれる?」
私 「ウン、イイよ」
愛 「ママは?」
洋子「もちろん愛ちゃんの大好物を、たくさん作って上げる」
愛 「ありがとう、ママが居ないと寂しいからズーッと一緒だょ」
私 「それで知りたいこと、探したいことを調べるのは、やっぱり図書館がイイかな」
「明日は愛ちゃん、小倉の図書館に連れて行くよ」「少しお勉強して、何か分かったら、お手伝いして上げよう、それでイイかな?」
愛 「OK・パパ」
夕方、私はパソコンでホームページの更新をしていると、愛ちゃんがやって来て「パパ、ランチできたよ!!」と、すごく楽しそうだ。
洋子ちゃんママと作ったランチは、オムレツとエビフライ、それに里芋、コンニャク、人参、鶏肉、ゴボウ等を煮込んだ五目煮が盛りつけられ、6人掛けのテーブルいっぱい並べている。
本当は愛ちゃんのママが、このテーブルで一緒にランチするんだったんだ、とかの料理だから、すごーィと私。
愛ちゃんも、洋子ちゃんの、お手伝いが出来て楽しそうだ。
そして、長―ィ愛ちゃんのお祈りがあり、清楚に「いただきます」と、愛ちゃんが言ってから五目煮を頂く。
すごく美味しい。やっぱり洋子ちゃんの料理は最高だ!!
それと愛ちゃんに「これ、すごく美味しいよ」と言ったら、大きな瞳を輝かせながら洋子ちゃんと見つめ合い、二人ともすごく美人に想った。
それにしても他人の子なのに、洋子ちゃんの学生時代の写真と凄く似ているのが不思議。
やっぱり愛ちゃんは、私の娘にしても可笑しくない存在。
そんな変な気持ちになっていたら、
「パパ、この五目煮のコンニャク、美味しいね。愛、始めて食べるんだよ!!」
何でも好き嫌いなく食べる愛ちゃんに、洋子ちゃんはニコニコ笑顔だ。
しばらくして、
愛 「パパ、お風呂入ろう」
私 「ェェッ!!」そりゃ無理。
愛 「背中流して上げるよ」
私 「そんな事じゃない、パパは男だよ。大きな女の子と一緒に入らないのだよ」
愛 「ミータンと一緒にお風呂に入るって言っていたよ、ネェーママ」
洋子「それはミータンと愛ちゃんは違うのよ」 「特に愛ちゃんは……ね」
愛 「そうだったらママと一緒にお風呂に入る、イイでしょう」
洋子「ゆっくり一人ではいりたいなァー」
愛 「イイじゃない、女同志でしょう」
洋子「ちょっと分からない?」
そんなコミュニケーションがあり「私、パソコンしているよ、洋子ちゃん」と、室から出た。
しばらくして愛ちゃんがやって来て、
パパ、お風呂沸いたのでドウゾ!! 「今日は遠慮するよ、愛ちゃんドウゾ」
愛 「イイのかなァー」
私 「イイんだょ、後で覗き見させてもらうから!!」
「エッ、Hだよ、いけないことだよ」と、愛ちゃん。
「イイじゃないかァ、さっき一緒にお風呂入ろうと言ってたよね」
愛 「そのことと、覗き見は別なことだよ!!」
「ヘェーそうかなァー」と私。
「とにかくルール違反だからママに言わないとね」と愛ちゃん。すぐに洋子ちゃんに報告を入れている様子。
しばらくして、パパ「イイお湯だったよ」と、私の隣に座って、小さなお尻をくっつけてきた。
愛 「何してるの?」
私 「ホームページを作ってるんだ」「ときどき更新しないと、見てくれる友達が文句を言ってくるんだ」
愛 「そうなの」
そういえば愛ちゃん、知りたいこと、探したいこと、このパソコンからインターネットで探すことができるんだけど探してみないか?
愛 「ウーン、愛が知りたいこと、少し複雑なんだ。それに恥ずかしいことだからパパに言えないの」
私 「それでも小倉の街、知らないだろう。それに愛ちゃんの目的が分からないから、私も洋子ちゃんも、何もできないよ」「ねェー少しだけ教えてよ、秘密にするから」 しばらく愛ちゃん考えて、
愛 「愛のパパのこと知りたいの…………」
私 「もう少し話してごらん…………」
愛 「愛のパパ、あまり覚えてなくて、2才のとき……」
私 「ちょっと待って、君のパパいないの? 今だよ……」
愛 「居ないの。愛が2才のとき亡くなったんだ」 「エーッ……」
私 「ちょっと待ってね。とても大切なことなのでリビングに行こう」
リビングでテレビを見ている洋子ちゃんに、「今から愛ちゃんが大切なお話しをするので聞いてね」
私 「愛ちゃん、お父さん居ないそうなんだけど」
洋子「エェーッ」
私 「驚いたよ愛ちゃん!! すごく大切なことなんだよ!! 」
「僕たちは今、君、愛ちゃんのママ、パパから大切な子を預かっているんだよ」
「ホームスティというのは君の家族、ファミリーのことを詳しく知った上で君の、愛ちゃんのお勉強とか、社会を体験させることなんだよ。私達にとって、すごく重い責任があって簡単なことじゃないんだ」
ちょっと怒りっぽくなった私に、愛ちゃんは驚きと下向きかげんになっている。
洋子「それで愛ちゃんの、お父さん居なくなったの? もしかして亡くなったの、どっち?」
愛 「愛が生まれてすぐ病気で亡くなったんだよ。それでママが私を大切に育ててくれたんだ」
私 「そうなんだね。ということは母子家庭だね」 「ハイ」 兄弟は居ないの?
愛 「7人居て、上のお兄ちゃんは結婚して、お姉ちゃんも結婚している。それで4人のお兄ちゃんとお姉ちゃんがママと一緒に生活しているんだよ。だからママは、そんなに寂しくないんだよ!!」
私 「それで愛ちゃんは一番下の末っ子?」 「ハイ」
私 「でも君のママは寂しいはずだよ。大切な君のママ、お母さんなんだから」
愛 「毎日、ママの夢見ているから、すごく寂しんだよ」 「かわいそうに」と、洋子ちゃん。
私 「それにしても君のパパ、小さいとき亡くなって寂しいんだね」
愛 「ウウン、でも愛のパパのかわりに、ここのパパ見つけた!! 」
私 「アー、嬉しい言葉だけど、それよりも愛ちゃんのパパが小倉に住んでいたということだね」
愛 「ママは詳しく教えてくれないの、だけど、パパが小倉にいたこと。自転車とか馬が、すごく好きだった、こと言っていた」
愛 「私、パパの写真一枚だけ持っているんだよ」
愛ちゃんのバッグから、古ぼけた写真を見せてくれた。
「左の人が若いときのパパ。右の人は、分からないけど、まん中に座っている人が、パパが好きだった人」と言い、愛ちゃんはパパが小倉で、どんな生活とか、この写真の秘密を知りたいようだった。
その上で私達に教えたくない秘密のことは、追求しなかった。
私 「色々ありそうなんだけど、今、すごく愛ちゃんのことが気のどくで可哀想になってきた」「でも、これが現実で、今、愛ちゃんが知りたい事、探したい事、すごく分かるような気がするよ。ねェ洋子ちゃん!!」
洋子「そうね、前向きに生きなくてはね。特に愛ちゃんみたいな若人は、色々あっていいと想う」
洋子「愛ちゃん、何でも言ってね。ここにいる洋子ちゃんママ、応援するよ♡」
愛 「ありがとうママ、洋子ちゃん」
なぜか、お風呂に入った後で寒くなってきそうな二人だったので、
「私は今日、早く寝るよ」「洋子ちゃんも愛ちゃんも暖かくしてお休み」
草々にベッドに入った私、少し眠れないようだったのでテレビを見ていると、いつの間にか寝てしまった。
次の日、私は会社に有給休暇のお願いをした。本当は明日から出勤日なのだが、この数年、有給休暇を使ってないので、二週間ほど休みを、社長直属にお願いしたら、okを頂いた。
早速、洋子ちゃんに、この件を話すと、
洋子「良かったー、私一人で愛ちゃんのお守、出来ないもの、それに探し物がなんだか良く分からないよね」
二人でチョッピリ小さな責任感、負わされている感じ。でも可愛い愛ちゃんの為なら仕方ないかー、と私。
リビングで朝の食事をテーブルに並べて、愛ちゃんがお茶を入れてくれた。
すごく濃い緑茶は、愛ちゃんは苦手のはずだが、この数日でクリアして飲むようになった。
朝のランチは大根の煮物と目玉焼きに、大阪の信ちゃんの両親から頂いた大きなハムが二つ添えられ、ミソ汁にはトウフが、たくさん入っている。
別に私の好きなキムチもある。そして洋子ちゃんが大好きな納豆は、私は食べない。
そして愛ちゃんが、いつものように一分間、黙とうし、手を合わせ、ちょっと長い。
「いただきます」が始まって「洋子ちゃん、この大根、味がしみて美味しいね、と私」
「お隣の村田さんから昨日頂いたので早速、作ったのよ」
愛 「すごく美味しいね。ミソ汁も美味しい」と言いながら、
愛ちゃんも、洋子ちゃんのランチ最高!! と、二人で絶賛。
それより、驚いたのは、最後の白ご飯、半分の中に、納豆を入れているのだ。少し醤油を入れて!!
私 「愛ちゃん、納豆ごはん食べるの?」
愛 「大好きだよ、洋子ちゃんから美味しく食べる方法、教えてもらったんだよ」
ガンバッて食べる愛ちゃんに「本当に美味しいの?と、私」
愛 「ハイ、始めて納豆食べたの、この粘りがおもしろいねママ……」 「……… 」
愛ちゃんと一緒のランチタイムは、すごく賑やかで楽しい、しかも美味しい。
そして、美味しい二杯目のお茶を、愛ちゃんが入れてくれて飲むころ、
私 「愛ちゃん昨日、見せてくれた写真、もう一度見せてくれない。君のお父さん、パパのこと、知るヒントが、この写真の中にあるのかも知れない」
愛 「いいよ」
そのモノクロ写真、左中が愛ちゃんのパパでスーツ姿、まだ若く30代。しかも男前で俳優のようなマスクをしている。左の男性は良い服を着ているとは思わないが帽子をかぶっている。中央のイスに座っている女性は着物姿で、すごく清楚な、ちょっと洋子ちゃんに似てない?
洋子「ぜんぜん似てない、色が真っ白なんでしょう」「フーン、そうだけど」
愛 「愛は洋子ちゃんママにすごく似てると思うよ。目が大きく、眉毛が濃いし顔も丸顔だし」
私 「それを言ったら、愛ちゃんじゃないか」
愛 「違うよ、愛じゃないよ」…………。
私 「ジョークだよ愛ちゃん」………。
右端の男性は恰幅が良くて60代ころ、その4人の写真が色あせて何処で撮られたか分からないし、写真の裏面に鉛筆書きした文字が読めないので、一度鑑定してもらう事が早道と感じた。
今日は、お天気が悪くて、久しぶりに行橋、大分方面は雨、それに西風が強く、釣り人なら渡船が欠航して中止になるぐらいの、荒れた天気。
それで私はパソコン作業に、釣り具の整理とか釣りクラブの総会資料作り等、忙しいぐらい趣味の仕事が多い。その中で、まさかの愛ちゃんのホームステイに、パパ探しなど、分からない事が、たくさんんあるのが辛い。それでも何故かしら幸福で、家に居て楽しいから不思議。
私の釣り具、部屋は机と本棚に大きなタンスに、輪転機がある。コピー機より大きいものだが、これで趣味の新聞を印刷している。その原稿作りも大変なのだが、今月は無理みたい。
愛ちゃんのホームステイが終わってから、するつもりで、しばらくはホームページ更新、ぐらいの作業だけするつもり。
そのような、楽しい時間は、あっという間に過ぎ去り、夕食のランチが出来ると、愛ちゃんがやって来て「パパ、ランチできたよ」で、賑やかしくて、楽しい。美味しそうなスキヤキ定食が、テーブルの真ん中にあり、ポテトサラダに、キュウリの酢の物。別にキムチもあるし、6人家族が食べれるぐらいのランチだ。
洋子ちゃんが、愛ちゃんと一緒にポテトサラダ、たくさん作ったので隣りの村田さん家に持って行ったとか。
先ほどまで、コタツの中でテレビ見ながら、ゲームしていた二人が、いつの間に、こんなに出来たのか不思議。
洋子ちゃんと、愛ちゃんの仲良しは娘のユーミン以上かも知れない。それは、言っては行けない事だが、何故かそのように想わせるのは、「他人の子」でない、複雑な感情を持つ、日本人のおもてなしの心、が、そうさせているのか、良く分からない。
そして、いつもの調子で頂きます。する、可愛い愛ちゃん。
愛 「ママ、愛は、はじめてスキヤキ食べるんだよ、それで、食べ方どうしたらいいの?。」
洋子「牛肉、トウフ、糸コンニャク、餅入りの揚げさん、白菜、好きなものを箸で取ってもいいし、貝杓子で、一度に取ってもイイの、そのときスープが少し入ると、美味しいかもね」
私 「愛ちゃん食べたいもの言ってごらん、取ってあげようか」
愛 「みんな食べたいから、パパお願い。」
それで、まずお肉は好きだろうから大きなお皿に半分入れ、後は一つ、づつ入れて味見をしてもらう。
私はいつも柄杓で、一度に取る、それも白菜と糸コンニャクが好きなので、薄口のスープを、タップリ入れる取り方。その事を良く知っている洋子ちゃんは、肉が好き。今回は和牛が800g入っているとかで、結構ポリュウムがある。余れば、次の日、牛丼になるのが、我が家の定番となっている。
愛 「お肉が美味しいねママ、こんなに軟らかいお肉、愛、始めて。パパ、揚げさんに入っている餅、凄ーく美味しい、愛は始めて食べるんだよ」
洋子「行橋と東京のスキヤキ鍋、違うのかしら?」
愛 「………………」
私 「洋子ちゃんの作る料理は、みんな最高ってホメてくれるじゃないか」
私 「愛ちゃん、私の家でね、趣味の釣りクラブがあってね、この家で毎年20~30人の、人が集まり、食事会するのだよ。それでね、洋子ちゃんがチーフになるんだ。」「新年会とか懇親会、分かるかなー」
愛 「たくさんの人が集まりパーティ、知ってるよ」
私 「そんな感じでokだよ愛ちゃん」
愛 「ママのデナー、ランチ、みんな美味しいから、たくさん料理、教えてもらっているんだよね、ママ」
洋子「ありがとう愛ちゃん、何か娘が一人増えたみたい♡」
今日も楽しいデナーから始まって、夜、遅くまで遊んでいる愛ちゃんと洋子ちゃん。
私は、いつもどうりパソコンに向かってホームページの更新、その合間に愛ちゃんが来て、「パパ、コヒータイムしょう。」と誘われる、嬉しいタイミング。
そして、暖かいコタツの中でバームクーヘンの、おやつを頂くコミュニケーション最高。
なんせ、美女が二人も私に話しかけてくれるのだから幸福。
今日もベッドに入ったのが24時だ。
1月7日、晴。
ぐっすり眠った私だが、寝不足。
正月明けの子供達の登校日で、家の前を7~8人で通学する小学生達の声が聞こえる舗道。
チャリンコで通学する中学生に、高校生は女の子が多く、近くの新田原駅に通うので、時々私に挨拶してくれるので、顔見知り。しかし、みんな自転車を利用しているので、早く行ってしまう。
その後は通勤マイカーが多く、私が行橋に引越ししてから、子供がらみの交通事故が3件発生した。それも私の家近くで、在ったので、最近になって県道カーブミラーの設置が増えた。
最も、その事を行政に働きかけたのが私。
その事で遊歩道が整備され、通学路のグリーンゾーンが増えた。
田舎町だが、マイカーが無ければ凄く不便。バス停は国道10号線まで歩くので20分。
近くのJR新田原駅まで歩くと35分もかかる。もちろんコンビニも国道10号線まで歩いて25分と、凄く便利が悪い、その事を多くさせているのが田園、米どころの地域が、そうさせているから仕方ない。
代わりに自然がいっぱい。85m高さの元永山の東側に周防灘があり、マイカーで10分走ると沓尾漁港、その先が、長井の浜海水浴場があるので、子供達にとってはオアシス。
もちろん私の趣味である、魚釣りも周年遊べる環境が、ここにある。
さて、今年の正月は暖かく、雪が、まだ降らない。
最も北九州市から引越して数度しか雪を見てない私。それでも家のエアコンはズーッと27°キープし、そんなに寒くない。それで朝はモーニング・ホットコヒーが最高に美味しい。
そのコヒーに合うのが耳付きの食パンなのだが、愛ちゃんのホームステイが始まると、大食漢の愛ちゃん、好みのランチとなり、洋子ちゃんは、チョット大変かも知れない。
今日も耳付きのサンドイッチに、シーチキンサラダが入り、ミルクをお代わりして大満足の愛ちゃん。
別に、お弁当用にスパゲッティパンに、鳥のカラアゲ、ウインナーを入れた物を、釣り用のクーラーボックスに入れて保温。他に私のホットコヒーボトル。等をマイカーに入れて、サァ出発。
今日は曇り空で風があり、愛ちゃんのミニスカートがチョット気になる私。
でも元気に「パパ出発」と、愛ちゃんだ。
後部シートで女二人、ペチャクチャおしゃべりが止まらない。
それで今から行くとこだけど、私は、まず愛ちゃんのパパ、タニグチ カズオを探す為に北九州市役所に行ってみようかと想う。
ここからスタート。本当に名前の人がいるか、ということを、まず知りたい。
で、市庁舎の地下駐車場に止めて、一階のサービスカウンターで、まずタニグチ カズオで聞いた。
しかし答えは無理。娘さんの住所なし。住民登録なし。記録データーを調べるものが全くない。
そこで、愛ちゃんの住所を教えて。
愛 「……… 知らないの」
私 「エーッ、東京でしょう」
愛 「違うの、パプアニューギニア・ポートモロスビーなの」
私 「エーッ、それって日本人じゃないの」
愛 「ごめんなさい」しばし沈黙。
三人とも黙ってしまい、とにかくソファーに座って、落ちついて、
私 「オレ、トイレに行ってくるよ」 「ハーィ」と洋子ちゃん
市庁舎のロビーは明るく、みんな忙しく動き回っている。
動いてないのは、順番待ちしている市民とか、私達だけ。
しばらく、なんにもすることなく、困った!! 困った!!
私 「愛ちゃん、図書館に行こうか、すぐ近くにあるんだよ」 「ウン、イイょ」
車で移動して、勝山地下駐車場に入れて、広い芝生広場の勝山公園を歩き、大きなドーム型の図書館に入り、さて何をするか。私達は愛ちゃんが住んでいる国のことを最初に知りたかったが、それはチョット行きすぎになるようだったので、とりあえず愛ちゃんが、したいことをまず、させてみた。
私はロビーで新聞を読む。
洋子ちゃんは「私、愛ちゃんと一緒に居るネ、イイ?愛ちゃん」「ありがとうママ」
「たくさんの本、どこから見てイイか分からないから少し散歩してみる」等々………
しばしコーヒータイムして、気分を落ち着け、サァー今から愛ちゃんのこと、何ができるかを、ゆっくり落ち着いて考えてみた。
タニグチ カズオが探せない。なによりデーター不足。しかも外国籍。話にならない。
しかし愛ちゃんのヒントは北九州小倉、自転車と馬が好きだったお父さん。加えて一枚の写真。四人の顔。
これで愛ちゃんのお父さん、パパを探す。
そして愛ちゃんの知りたいことは多分、パパの過去のことだろう、気になる、あの写真の女性。
そして、二人の男性、どちらか一人でも分かったら、見つかったら、愛ちゃんのお父さんが分かり、北九州小倉から○○が、というストーリーになりそうだが、その事を、知ってはいけないこと、ありそうだし、果たしてそれが愛ちゃんのメリット、これからの支えとなるものか、少し不安。
そして、パプアニューギニアで愛ちゃんを待っているママの存在。
どんな人だろうか、このことも知りたい。
なにか私の方が、たくさん知りたいぐらいだ!!
そう考えながら、どうしょうかなァーと迷っている私。
1時間ぐらいして二人がやって来て「パパ、もう出よう」と愛ちゃん。
すごく日本語が上手だね、と言いたかったが、ここは胸を抑えて「愛ちゃん、何処か行きたいところある?」すると目を輝かして
愛 「始めてパパと行った小倉城、リバーウォーク北九州」「あの井筒屋も行ったよ、ママ」
「近くにお店が沢山あって、始めて焼うどん食べたんだよ、ママ」
洋子「そう、良かったね。パパいたずらしなかった?」
愛 「? 」
洋子「ジョーク、ジョークよね、お父さん」 冷や汗の私。
愛 「パパは小倉で生まれ、学校も小倉だよね」
私 「そうだよ。ここから15分すれば足立中学校があって、20分で三郎丸小学校があるんだ。」
「近くに野球場とかテニス球場などあり、君のようなときは随分ここで遊んだ場所なんだ」
愛 「ねェ、ソコ行こう。アダチチュウガッコウ」
私 「学校に行くのかァ、今ごろは授業があってチョット行きにくいなァ。」
「それに本当は愛ちゃん、学校に行っている時間なんだよ」
愛 「イイの、お休み中だから、パパ行こう。パパの学校行ってみたい」
マァ、イイかァー。どうせ行くとこないし、で出発!!
国道3号線沿いにある足立中学校は古くて今年、創立112年になる。有名な松本清張とか遠藤周作が通った学校でもあるし、けっこう自慢の学校。その学校に10年ぶりに入った。
ちょうど午前11時の授業が始まったところで静か。
その中で黙って見学できる分けもないので、チョット考えることがあり三人で職員室に入る。
すぐに、庶務課の先生が来て、
「こんにちは、私、卒業生の上瀧勇哲というものです。いきなりの訪問なのですが、先生方に見てもらった上で、人捜しのヒントを探しているのですが、すいません」
すると、愛ちゃんが「よろしくお願いします。パパを捜しているのです」と深々と頭を下げる私達。
断れなくなって、庶務課の先生
「今、先生方は授業なので、私が見るものとは、何なのでしょうか」ハイ「愛ちゃん、見せてあげて」
一枚の古ぼけた写真を見た庶務課の先生「それで、どの方ですか?」
愛ちゃん「左中が私のパパです」
それで私は「左方の、この方、仕事着のような服装で帽子をかぶっています。どこかの会社ではないかと想うのですが、写真の裏に小倉三萩野って書いてありますから、足立中学校も、ここ三萩野に近いから、もしかしてと想うのですが」
庶務課の先生「そうですね、私には分かりません!!」
私 「ア、そうですか、やっぱり」諦めかけたとき、
庶務課の先生「今、校長先生がいらっしゃいますので、上瀧さんの名刺と合わせて、写真お借りしていいですか?」「ハイ、お願いします」
10分ぐらいして庶務課の先生が戻って来て「私、庶務課の青木と申します」
私 「ハイ、私の隣が妻。そしてエェーと、友達の娘のタニグチ・アイです」と再度自己紹介すると、
青木先生が「今、山本校長先生に写真を見せたら、イイ返事ができるかも知れないので、校長室でお待ちしています、とのことです」
私 「それは嬉しい。ありがとうございます。」
愛ちゃんもすごく嬉しそうで、青木先生に頭を下げている。
そして校長室に通されて行くと、応接机の上に写真が置いてあり、
校長先生が、まずはお掛け下さいと挨拶されて「山本です」と、先生の名刺を頂いた。
山本「名刺を見て分かったのですが、釣りが好きな上瀧さんでしょう」 「ハイ」
山本「いつも新聞で上瀧さんと奥様の写真を良く見ているので知ってますよ」
私 「ありがとうございます」
山本「先月は長崎県の上五島で奥様が尺ギスでしたよね」
洋子「ハイ、あのシロキスは主人が釣らせてくれたのです」
山本「大きなシロキスや対馬でチヌを釣っていらっしゃる、しかも夫婦で。すごくイイ趣味をお持ちですね」
私 「校長先生も釣りをされるのですか?」
山本「私も釣りが好きで、ときどきします」
私 「ア、それは良かった」と、魚釣りの話しが続く。
そして事務員さんが温かいお茶と、お菓子まで添えてくれて、すごい待遇で愛ちゃん嬉しそう。そして校長室をキョロキョロ見て、スゴーィと感激しきりの愛ちゃん。
そんな様子を見た校長先生「可愛い娘さんですね」
私 「イエ、友人の娘を預かって今、ホームスティをしているのです。そこで、この子のお父さんを捜しているのです」
山本校長先生、ちょっと不思議そうな顔をして「何か事情がありそうですが、とにかく先程の写真なんですが……」
山本「左の男性の服装は八幡製鉄所の工員が着ていたもので、帽子は、その製鉄所のマークが入ったものです」
山本「私の親父が昔、製鉄所に勤めていたから良く分かります。」
愛ちゃん、手を合わせて、ステキ、ウレシイの連発。
山本校長先生「それで、この写真は古くて昭和40年代のころですね。今は新日鉄と名称が変わり、会社も縮小され移転していますから、大分変わってきていますので、この方の名前?」
私 「イヤ、分からないのです」
山本「それは困りました。八幡製鉄所は当時、工員が2万人いました。下請け関連の人々を加えると3万人を越えるかも知れませんから大変です」
山本「それで私の親父が山本弘一と言って、工場の鉄鋼部の係長をしていましたので、このことから継げられたら良いですね」と、すごく嬉しいヒントを頂けた。
続けて写真の説明で、娘さんのお父さんは黒いスーツに黒いネクタイしていますね、隣りの女性は喪服のような着物ですし、右端の初老の方は黒いスーツにやはり黒いネクタイしていますね、したがって法事とか葬儀のような雰囲気のようです。校長先生、写真の裏面を返して、
「4人の名前が鉛筆書きしていますが、読めませんし、左端に書いている福岡小倉三萩野から先が読めません、そして、写真が何処で写されたか、これ等が分かったら、お父さんが小倉に来たとか、娘さんが知りたいことが、分かるかも知れませんね」と、虫眼鏡を見ながら詳しく説明してくれる。
「それで、もっと詳しく知りたいなら、私の従兄弟が小倉警察所に勤めているので、鑑識課で調べると、すぐに分かりますけど、どうしますか?。」
私 「凄いですね、そこまでお願いできるのですか」
山本「上瀧さんも、友達のお世話で、ここまでしているので私もさせて下さい」
私 「ありがとうございます」
私 「愛ちゃん、それでイイよね」半分、分かったような、分からないような感じで、
愛ちゃん「ぜひお願いします」
山本「それなら小倉警察署の中村俊夫部長に今から電話しておきますから相談して下さい」
山本校長先生に、厚くお礼を言って校長室を出た私達。
良かったね、ヒントをもらえた愛ちゃんは凄く嬉しそうだ。
それと別の嬉しいこと、それは今、学校に来ていることらしい。
授業中なので静か…… そして、キンコーン、カーンコーンとオルゴールが鳴ると、一斉に廊下が賑やかしくなり、給食の時間が始まる。
それで廊下を通ろうとすると、みんな「こんにちは」と挨拶してくれて、愛ちゃんも「こんにちは―」
すると男子生徒が、もう一度振り返って「スゲェーカワイイ」と、小さな声が聞こえる。
校舎を出ると愛ちゃんが、「少しグランド見てもイイかなァー」
私 「アァ、イイょ」と、愛ちゃんの後からついて行くと、そこには広い運動場があり、すごく懐かしい。
数人の子がサッカーボールを蹴って遊んでいたり、体育館の中でもドタバタやっているような感じで、昼休みの足立中学校は、どこでも若者が、はしゃいで楽しそうだった。
愛ちゃんも、この中に入りたいのだろうが、たくさんの子が彼女に声を掛けてくれるのが、すごく新鮮で
「いいなァー若者は」と、私だった。
そして洋子ちゃんが私に「中に入って勉強したら」とイヤミを言う。
「私の中学一年の担任は竹下先生。二年は吉本先生。三年は佐々木先生。いずれも男性、独身の先生だったから、けっこう楽しかったんだ!! 」等々、洋子ちゃんと話していると、愛ちゃんが私達の中に入ってきて、
「パパ、お腹すいた!! 」そうだね。どっか食べに行こうかァー
洋子「その前に紹介してくれた小倉警察署所に行かなくちゃね」
再び愛車のトヨタプリウスに乗って15分の小倉警察署所に着くと、すぐそばに小倉城があり、愛ちゃんが、ここ行ったよ、と洋子ちゃんに話し、キョロキョロ周辺を見ながら、「小倉は広いね」
小倉警察署所玄関ホールに入いると、制服姿のカッコイイお巡りさんが、「こんにちは」と、たくさん挨拶してくれて、すごく軟らかい雰囲気。
受付の制服姿の若い女性に「足立中学校の山本校長先生、紹介の中村俊夫部長にお会いしたいのですが」
すると「連絡を頂いていますので、そちらの控室でお待ちください」とかで待っていると、すぐに中村部長がやって来て、名刺をくれた。私も勤めていた会社の名刺を差し出すと、
「上瀧さんですね、私も若いころ山本さんと良く釣りしていましたよ」と、嬉しい話し。
中村部長「そして今日は奥様もいらっしゃいまして、始めまして、奥様のファーンの中村です」
すると洋子ちゃん、「嬉しい、ありがとうございます」とニコニコ笑顔です。
しばらく魚釣りの話しが盛り上がり、女性署員が温かーいお茶を、みんなに出してくれた。
そしてテーマの写真を出してから、愛ちゃんのお父さん探しの話しと、お父さんが何処に住んでいたか、等々のヒントを求めて来た、経緯をまとめて説明した。
中村部長「分かりました、まずは写真の解明から進めて、出来る限り調べて見ましょう」
「それで少し時間を下さい」という事で、写真を預け、中村部長におまかせした。
愛ちゃんにそれで「イイよね」 「ハイ」
皆で「お願いします」と、お礼してから小倉警察署所を出た。
少し重い責任が解かれて、ホーッとする私。
すると、すぐに、洋子ちゃんが「グルッペに行こう、小倉、森林公園近くの」
「お父さん、好きでしょう」そうだね、昔は子供を釣れて良く行ったファミリーレストランだ。
20分で行けて、早速、室内に入ると、お昼の時間を過ぎていたので少ない、しかしファミリーママが多い。幼児と一緒に入るファミリーが多い中、チョット大きな愛ちゃんと一緒に入るレストランは、メニューが多く、しかも飲み物は、ドリンク飲み放題チケットを買うと、おかわり自由だ。
洋子ちゃんはメロンソーダが好みで三ハイは、おかわりする、等々、愛ちゃんと、おしゃべりして、今日のランチは二人にお任せ。私は何でもOKだ。
すると「パパ、何が飲みたい?」と愛ちゃん。
彼女がウエイトレスになってくれるようで、まずはホットミルク。
「エエッ、パパ、ミルクティー飲むの?」
「そうだよ大好物なんだ」 「愛も好きなの」
それでメニューが届くまで二ハイもおかわりして、かなり満プク感。
それでランチは生姜焼き肉、定食で凄く豪華。
愛ちゃんは、ホワイトグラタンにロールパン。
洋子ちゃんはシーフードカレーと三人ともバラバラ。
でも、みんなの美味しさを確かめ合って「すごーく美味しい」
それに、目の大きな愛ちゃんのクルクルした瞳を前にして食べるランチは、もう最高に美味しい♡
さて、お昼から先程の足立中学校、山本校長先生紹介の新日鉄、戸畑に行くことにして出発。
国道3号線から国道199号に入りスイスイ走る。
後部シートから二人の笑顔と、楽しい会話が聞こえて、時々「パパ、この川なんだっけ?」
「紫川というのだょ」「ホラ、小倉城に行くとき、渡った橋」
「あの川が、ここに続くの?」 「そうなんだよ、右に海が見えるだろう」「フーン」
そんな外の景観を見ていたら、もう新日鉄の玄関に着き、守衛さんが居るので私だけ、その守衛さんと話したが、NOだった。
いきなり、そのようなことで来てもらっても困るというのだ!!
前もって連絡してもらい、準備がある、とかの話し。
それで次の面会時間を予約し、調べもの、写真のコピーと、山本校長先生の名刺もだし、ついでに愛ちゃんパパ、タニグチ カズオまで社員であるか、どうかを調べてもらうことにした。
とりあえず電話をもらえる事なので、それからのことになった。
「サァー、今からどうする? 洋子ちゃん、愛ちゃん」
すると、愛ちゃんがすぐに「パパ、北九州市に美術館があると言っていたよね、ソコに行きたい!! 」
「洋子ちゃん行ってもイイ?」
「愛ちゃんの社会勉強だから」と洋子ちゃん
洋子「そうでしょ、愛ちゃん」 「ハイ、ママ」
で、30分で到着。駐車場までの間にブロンズ像や記念碑、モニュメントが10体もあり、
「パパ、すごーィ」 「だろう」
「ミータンは、このモニュメントに登って遊ぶんだよ」
「すごーィ、こんな高いとこ登ったんだ」
「そして、お父さん怖い、と言うんだよ。自分で登ってね」子供は登ることは出来るのだけど、降りることは苦手なのだ。
「それで、愛ちゃんも高いとこ好き?」
「大好き」「10mある、高い木に登ったことがあるよ」
「そんな高い木に登の?」と洋子ちゃん。
「小さい時から子供はみんな木登りするんだよ」 「? 」
で、正面ロビーから入って、今日は特別展があるが、それも一緒にチケットを買った。
「学生さんですか」「ハイ」では、どうぞと、意外とすんなりチケットが買えて良かった。
ロビーに大きな彫刻からブロンズ像があり、いつ来ても圧倒される。
二階の特別展に入り、愛ちゃんは奇麗な美術画に感心しきり。
私は後ろからついて行くことにして、洋子ちゃんとペチャクチャおしゃべりしながら、ゆっくり鑑賞している二人。
私も、あり余る時間の中で美術絵を観察し、その少し先の図書室に入り、ソファーに座った。
正直、疲れているかも。
静かに読書されている方が三組いた。
私も美術絵の図書を開いて、ボーッと見つめていたらウトウトして暖かい室は最高だ。
二時間ぐらいして二人がやって来て「パパ、疲れたの?」と、カワイイ愛ちゃんの声がして現実に戻った私。
二人ともニコニコして笑顔が美しい。
洋子ちゃんも、愛ちゃんも、親子のように良く似ているから不思議で、先程のチケットを買うときも、疑いなしで親子で購入できた。
その笑顔を気にして「どぅ、楽しかった?」
愛 「パパ、すごく静かで奇麗な所。彫刻もすごいけど、この室も利用できるの?」
私 「そうだよ、この部屋はお金は必要ないんだ。だから近くに住んでいる人は、ここで読書しているんだよ」
愛 「いいなァー、私、この近くに住みたい」
私 「愛ちゃんは浮気者だね」 「へェーッ」と、愛ちゃんだった。
午後4時になり「そろそろお家に帰ろうか、洋子ちゃん」 「愛ちゃんは、どうかなー」
「イイよ、パソコンしてもイイし、ママとコタツに入ってゲームしてもイイ」と、したいことがたくさんあるらしい。
愛 「それでママ、お買い物しなくてイイの」と愛ちゃん。
洋子「何かいるものあるの?」
愛 「別にないけど、ママと一緒に歩くの好きなの」 「変な子」
愛 「愛は変な子だよ」「パパ、ママ愛してるよ」
私 「ヘェーッ愛ちゃんって、そんなことで愛してる、と言うの」
愛 「そうだよ、だから私の名前、優しい愛と、パパが付けてくれたんだ」
私 「そうだね君は優しいし、思いやりがあって、だれにでも挨拶する」
愛 「少し違っているけど、今のママとパパが大好きだから、愛してるんだよ」
私 「……分からない」
今日は有料道路を使わなくて一般道の国道3号線を利用し、戸畑区、小倉北区、そして小倉南区に入り国道323号に入ると、すぐに北方JRÀの競馬場があり、国道10号線、行橋方面に入ると、もう車の渋滞が始まってきた。それでも愛ちゃんは、その車の群れに大興奮。
すごい、すごい、こんなに車が多いんだね小倉は。
私 「愛ちゃん、小倉を気にしているけれど、今は北九州市の一つの街となり、百万都市から発想して、君のパパを捜した方がイイと想うんだよね。もう少し、その辺を探してみるから、とにかく今を楽しんで遊んでね」「そしてこの街を知ってほしいなァー。君のお父さん、パパの街だからね」
愛 「パパ、ありがとう。ママ、ありがとう」と言って、洋子ちゃんにベットリの愛ちゃんがいた。
いつもの苅田トライアル店に、二人が入り、私は車の中で留守番。リクライニングシートを倒して、しばし休息。
と、その間もなく帰ってきた二人。すぐに出発して午後7時着。
愛 「ママ、お食事作るの一緒にしてイイ」
洋子「イイけど、愛ちゃんすることあるでしょう」
愛 「イイんだよ、パパが探しものしているの」
洋子「お父さん、そうなの」 OKサインをする私。
私 「その前に温かいお茶もらうよ!!」
すると愛ちゃんが、キビスに、お茶の葉を入れ、電機保温ポットから熱い湯を注ぎ、私、愛用の大きな湯のみに、タップリ美味しいお茶を入れてくれた。
君は本当に優しいね。「ありがとう愛ちゃん」
愛ちゃんからパパと言われて、もう4日になる。すごくドキドキ感があって嬉しい、でも他人の子。
このまま、この子がここに居る分けないんだけど、今でも不安。そんなことを考えてボーッとしている私。
そして愛ちゃんがボーイフィッシュな着替えして、洋子ちゃんのヘアーリボンと同じようにポニーテールした。
このヘアースタイルも彼女に似合い、後姿が、どっちが、どっちと、見間違うほど二人とも魅力的だ。
まぁ、このぐらい言っておかないと洋子ちゃんから怒られそうだから。
しばらくパソコンに向かい、ネットでタニグチ カズオとか、タニグチ ヨシノで調べてみるも、ほとんどヒントになるものはない。
それで自分のページを開いて仕事をしていたら、一時間ほどで「パパ、ランチだよ」と黄色声。
このごろは洋子ちゃんじゃなく、愛ちゃんがランチタイムを、教えてくれるようになった。
それで今日のメニューはステーキだ。
洋子ちゃんいわく「今日の買い物で、霜降り肉が3割引だったので買ったの。たまには、お父さん勢力つけないと、愛ちゃんのお仕事できないでしょ!!」
肉のそばにポテトサラダ。これは愛ちゃんも加勢したとか。桜模様の人参も愛ちゃん手作り。ブロッコリーも入っている。それにトマトスープにクリームシチューもあって、広いテーブルいっぱい並んだご馳走、まるで、「お誕生日会しているみたい」と、愛ちゃん。
そうだったね、愛ちゃんの誕生日はいつなの?。
愛 「10月10日だよ」
「ちょっと待って、ミータンは10月8日だったね、洋子ちゃん」
「ということは、君とミータンは一緒の誕生日ができる」
「愛ちゃんが居たらね」と、洋子ちゃんだ。
じゃ愛ちゃん、食事の前のご挨拶、お願いします。
愛 「では、神様にお祈りします」 シーン……一分間。
そして、大きな目が開いて「いただきまーす」と言って、お食事が始まるパターン。
あらかじめステーキ肉を食べやすく、6つほどに切っている、洋子ちゃん流ステーキ。
それを愛ちゃんは、フォークとナイフで更に小さく切ってパクリ。
ナイフとかフォークを使うのがすごく上手だ。
そして茶ワンに盛ったご飯も、そのフォーク、ナイフを使って器用に口に運ぶ、愛ちゃん。
私、洋食にすごく慣れている様子に、「愛ちゃんのママは、肉料理上手なの? 」
愛 「ママの料理は肉を焼いたり、魚を焼いたり、オーブンで作る料理が多く、あまり時間をかけなく、すぐに作れる料理で、家族で分け合って食べることが多いんだよ」
「家族が多いから、洋子ちゃんママみたいに、煮物などの料理がなく、色んなものが少ないの」
私 「そうだよね、家族が多いと大変だから、すごく分かるよ。」
愛 「パパ、ここにいる間、洋子ちゃんママから料理をたくさん覚えるんだよ」「お家に帰って洋子ちゃんママの料理を、みんなに食べてもらうんだ」
私 「そうだね、それもお勉強の一つだ。」
洋子「ありがとう愛ちゃん」
愛 「だから洋子ちゃんママが大好きなんだよ」と、甘える愛ちゃんだった。
私 「大分、洋子ちゃんのこと、ママでなくて、洋子ちゃんと言えるようになったね」
愛 「みんなが洋子ちゃん、洋子ちゃん、言ってるから、愛も洋子ちゃんでイイかなァーと想って」
洋子「愛ちゃん、ありがとう。でもね、愛ちゃんだったらママがイイかなァー、嬉しいモン」
愛 「どうしていけないの」
洋子「女心と言うか、お母さんにとって、子供からママとかお母さん!! 言われるの、凄く心地イイんだよね」
私 「愛ちゃんも大きくなったら分かるかも知れないけど、子供からママとかパパ、そしてお母さん、お父さんと呼ばれる事は、すごく愛されているという証でもあるんだよ、それに愛ちゃんのような賢い女の子からママと呼ばれると、どこのお母さんだって「ありがとう」と言うはずだよ!! 」
愛 「ここにいるときはママと呼ぶね、洋子ちゃんママ」
洋子「また言った、アハハ……ありがとう愛ちゃん」
私 「君がここに居るだけで私達は幸福だ。本当に君がいて嬉しいよ♡」
そんなコミュニケーションが終り、今日も愛ちゃんと洋子ちゃんは、二人でデナーの後かたずけしながら、ベッタリくっいて、お喋りしている。
今日は、愛ちゃんから起こされた。
「パパ、おはよう」二度目の「おはよう」で、やっと目が覚める。そこに愛ちゃんがニコニコして立っていた。
まだ8時前、しかし、近所の子供達の声がして、学校に通っている時間なのだ。
今日は、お天気が良くなって、お出掛け日和で、何か、そわそわしている。
愛ちゃんは相変わらずダブダブのパジャマ着て、ハミガキ中。
髪を乱していると、洋子ちゃんが愛ちゃんの髪をとかし始め、セットし、両サイドに編んでリボンで止めた。
ポニーテールも可愛いけど、両サイドに結んだ髪で前髪が少しの愛ちゃんも可愛い。
ファッション雑誌から飛び出してもおかしくない顔立ちだが、少し寝ぼけた眼差しが余計に初々しくて可愛い。
そんな子がテーブルについて朝のランチタイム。
今日のランチは大阪に住むミータンの、おじいちゃんから頂いたハムをソテーしたもの。
目玉焼きに、もう一枚のハムが添えられている。もう一つの皿には紅シャケの切り身があり、食欲を注がれそうだが、トウフがたくさん入ったミソ汁。そしてキュウリの床付けで7品もある豪華メニュー。
私 「洋子ちゃん、今日はすごく、なーィ」
洋子「あるもので作ったのよ。愛ちゃん、こんなのどぉー」
愛 「ママ素敵だよ。このハム、変わってるね」
洋子「これはね、スモークハムなのよ」
じゃあ愛ちゃんお願いしますと、一緒に長―ィお祈りをしてから「いただきます」で、三人とも、美味しい、美味しいと、朝から食欲旺盛。
最後に「愛ちゃん、お茶もらってイイ」と私。
「ウーン、今入れるね」と、いつもの濃い緑茶が、愛用の大きな湯のみに注がれ、しばし、ゆっくりの時間。
私 「今日は私、行くとこがあるんだ。」
愛 「どこ行くの、愛も行くー」
私 「今日は釣り仲間の浜部さんが遊んでいる、若松のLナードに行くんだ。そこで彼とお話しがあるんだ。釣りも、誘われて、いたけど私は今、愛ちゃんで忙しいから無理って断ったのだ」
愛 「無理しなくて良かったのに、愛だって、釣りがしてみたいんだョ」
私 「無理、無理、それは絶対無理。愛ちゃんには、そんな暇はない」
愛 「そんなことないよ。今は探しものが分からないから…………」
私 「そうだね、それでパソコンを使い、ネットで君のママとか、住んでいる街、君の親戚の人、できたら今まであったことを整理して、君のママに電話して、何か良いお話しを聞いたりすることができるだろう。私は、そこまで入れないからね」
愛 「でも、それは明日する。今日は若松に行ったことないから、行きたいんだよ」
私 「しょうがない、わがままな子だなァ」 「洋子ちゃん、どうする」
洋子「今日は洗濯とか、市役所、銀行、郵便局、ついでに買物があって、一緒に行けない」
私 「それじゃ仕方ない、大好きな愛ちゃん、連れて社会勉強だ。」
「でも、お昼には帰ってくるよ、洋子ちゃん」
ということで午前9時に出発。
今日は東九州自動車道、行橋ICから入り、小倉東JAから、そのまま小倉東IC、北九州都市高速道路と連帯した有料道路から若戸大橋が見えだしたころ、愛ちゃん、すごく興奮している。
愛 「パパ、あの赤い橋、渡るの?」
私 「そうだよ、あの橋を渡らないと若松に行けないんだ」愛ちゃんの為、ゆっくり、ゆっくり安全スピードで橋を渡り、橋の上から見える、左下の広いLナード波止が見え、今日は、あの波止に行くんだよ」
もう凄い景色を前にして愛ちゃん、楽しくてしょうがない様子。
若戸大橋を左に降りて正面がJR若松駅。さらに左折して進むと、もう洞海湾。その突き当りに駐車して入るLナードの波止、先端で浜部利治さんが釣りをしているのが見える。
ミニスカートの愛ちゃんを、少し気にしながら私の後ろから付いて来る女の子。
どうも、利治さんから何か言われそうな気がする。
そして海はやっぱり風がある。それにしても、ここから見る朱色の若戸大橋は最高のロケーションで美しい。
私の第二の故郷だけに何か誇らしい。
その故郷に住む浜部利治さんは、私と一緒の職場で、昔、仕事を教えてもらった優しい先輩だ。
その先輩が私と同じ趣味の釣りをしている。
今日は私が発行している「機関誌 サーフメイズJAPAN」の新聞を彼に届け、釣りの話しをするだけ。
私 「そして何か釣れた?。」
浜辺「朝の7時から満ち潮でメバルが3匹、クーラーに入っている」大きくないがクロメバルだ。
愛ちゃんが、始めて見る魚で、「可愛い目をしているね。」とか。
浜部「ジョーさん、その子は孫娘?、始めて見るよ」
私 「アァそうなんだ、息子のね」と、ウソを言ってしまった。
でないと、イチイチ細かく説明していると時間が長くなるからだ。
次回の魚釣りの約束をして、引き上げるとき、愛ちゃんが可愛い声で「さようなら」
浜部さんも釣り竿を握りながらバイバイしてくれて、終始ニコニコ笑顔だった。
そして、もう一つ行くところがある、岡本さん家だ。若戸大橋ロータリーを左折して、そのまま直進すると高塔山に登るが、正面の白山神社から右折し、再び高塔山に登り口にあるのが大先輩、岡本さん家。
すぐに岡本さんがお出迎えしてくれた。
岡本「寒かったやろゥー、上がり」
岡本「ジョーさん、その子は?」
すぐに愛ちゃんが「こんにちは愛と申します。どうぞよろしく」
岡本「ジョーさんに、こんな大きな孫がいたん」 「イイエ」という間に玄関から応接間に通されて、愛ちゃんが後ろから付いてきて二人並んでチョコンと座る。
すると、美しい奥様が、寒かったでしょう「どうぞ」と、熱いお茶を出してくれた。
奥様が、ところで、そのお嬢さん「お孫さん?」すると、すぐに愛ちゃんが
「はじめまして、愛と言います。今、ホームスティでパパに、お世話になっています」
岡本「パパ? ジョーさんをパパですか」
愛 「ホームスティしているのでパパです」 「洋子ちゃんが、ママです」
奥様「しっかりしたお子さんですね、ジョーさんと、どんな関係でホームスティなさってるの」
私 「少し答えられず………」 沈黙。
岡本さんは昔、会社の大先輩で釣り仲間として、今もお付き合いしている。
入社当時から上瀧の上だけを取って「ジョーさん」と呼んでくれることが、会社の中で知れ渡り、そのことがアダ名として、今でも会社、釣り仲間から「ジョーさん」と呼ばれている。
又、同等に妻も、みんなから「洋子ちゃん」として親しまれている。
岡本「ところで洋子ちゃんは?」
私 「今日は色々用事があるので留守番です」 等々。
私 「ここに来る前、浜辺さんがLナード波止、先端でメバル釣れてましたけど、イイ型でした」の話し、いろいろ。そして岡本さんが、今日は息子の慶治は響灘に釣りに行って居ないんですよ。
娘のサユリは会社。
しばらくして台所から、美奈ちゃんが「こんにちは」と挨拶してくれて、
私と愛ちゃん一緒に「こんにちは、お邪魔してます」と挨拶する。
それにしても、相変わらず美奈ちゃん、奥様に似て奇麗だ。
応接間の中央にコタツがあり、美奈ちゃんと愛ちゃんが楽しそうに話をしている間、岡本さんと私は釣りの話し。
奥様が台所から菓子などたくさん盛って、愛ちゃん「美味しそう」と、早速いただいている。
美奈ちゃんは、そろそろお嫁に行っても良いぐらいの年ごろの娘だが、あまり美人すぎて岡本さんが、なかなか嫁がせようとしない。
私と岡本さんの間柄は、以前の会社の大先輩であるし、釣り仲間として、もう30年ぐらいお付き合いしている仲。
まだ現役で仕事に行き、暇なときは畑で色々と作物を作ったり、昨年はスイカや白菜などを頂いた。
その中で、長女の美奈ちゃんは釣りクラブの会計を6年ほど担当してもらったことがあり、私達は家族と家族の付き合いを今だにしている、そんな仲なのだ。
そして息子の慶治くんは釣りが趣味で、しょっちゅう釣りに行っている。だから、ここのファミリーは皆、幼なじみのようなハートでお付き合いをしている。
そんな、おしゃべりをしていると、奥様と美奈ちゃん手作りの、鍋ウドンが出き、今日は岡本さん家で、お昼のランチタイムとなった。
愛ちゃんは大喜びでスルスルうどんを頂きながら、お姉ちゃんのような美奈ちゃんと美味しく頂いている。
「来て良かった♡」と想う半面、お留守番している洋子ちゃんにチョット申し訳ない思いをしながら、ごちそうさまでした。
そして美奈ちゃんが入れてくれた、お茶を頂いて「ありがとう」
帰り際、岡本さんが「暖かくなったら、ジョーさん家の五葉松を剪定してヤルよ」その五葉松、岡本さんから引越し祝で、わざわざ職人さんを入れて、植えてくれたもの。
「洋子ちゃんによろしく」として、わざわざ車のそばまでお見送りをしてくれた。ご夫婦。「失礼します」
愛ちゃんは皆にバイバイして「パパ、すごく温かいファミリーだね。美奈ちゃんもママも奇麗な人だよね」
私、フンフンして「愛ちゃん、高塔山に行こうか」
愛 「イイよ、行きたい」
一方通行の登り道を3分ほど走ると、もう山頂の高塔山公園がある。広い駐車場に入れて、正面の芝生広場から先に展望所があり、そばに火野葦平記念碑とカッパ地蔵がある。若松では有名な芥川賞作家。
それで、カッパ地蔵の話し教えて上げようか。
愛 「知りたいけど先に上に展望台登ってイイ、パパ」 「そうだね」
愛 「うワーッ素敵、あの橋、さっき渡った若戸大橋だよね」 「そうだよ」
「海があって、その右側の方に煙が出ている大きな工場がある」。
愛ちゃん、その工場を新日鉄と言う会社で、昔は八幡製鉄所と言ってたんだ。
その前は海で、洞海湾と言っているんだよ。
愛 「じゃー左側は洞海湾から続く海だよね」
私 「そうだよ、正面の小さく見えるところが関門海峡と言って、その海が私達が住んでいる周防灘に繋がっているんだ」
「そして、もっと左側の海が若松の響灘。広い埋め立て地があり工場が沢山あるだろう。昔はあの辺、全部海だったんだよ」
愛 「その向こうに島が3つ、イヤもっとたくさんある、7つかなァ」
私 「ここから見える島、右側から馬島、六連島、そして藍の島。すぐそばにある白島の男島、女島。その遠くにあるのは蓋井島なんだ。関門海峡にも彦島と巌流島があるんだけど、分かりずらいけどね」
愛 「すごーィ景色、たくさん家があったり、工場があったり、ビルもたくさん。愛は始めてだよ、こんな大きな街」
私 「北九州市は百万人都市、その隣り街が苅田町、もう一つ隣りが、私が住んでいる行橋市なんだね。
愛 「愛のパパは、この町で生まれ、どのような仕事して、愛、の国に来たのか知りたいの」
冷たい風が愛ちゃんの髪を乱しているけど、ミニスカートの愛ちゃんを見ていると、昔、洋子ちゃんとデートした、この高塔山を想い出し、そのときの情景を重ねあわせて見ている私、そして洋子ちゃんは、今の愛ちゃんのように凄く可愛くて美人だった、ことを思いだしていると、愛ちゃんが私の手を取って、向こうに行ってみようと、ひびき灘の海、そして西部海岸、脇ノ浦港が見える位置で、「パパ、何考えているの」 「ア、君のこと」
愛 「違うでしょう、洋子ちゃんのこと考えているんでしょう、愛、分るもの」 「そうでした」
展望所を降りて、すぐにカッパ地堂がある。昔と一つも変わらない地蔵さんだが、今日も、たくさんの幟があり、その旗がパタパタ揺れている。
愛 「ねぇーパパ、先程のカッパ? 地蔵のお話しは」 「ア、そうだった」
「この地蔵さんの云われは、若松の作家、火野葦平が書いたカッパ伝説に基づいた、主役のカッパ封じの地蔵さんで、背中にクギが刺さっているんだよ」
「詳しく話せないけど、カッパが村を荒らすので、それを守った神様を祭っている、ということかなァー」
愛 「それで神様なんだね」
そのカッパ地蔵の石段を登り、ロウソクに火をつけ線香をたいて50円玉をチャリンして、手を合わせた私達。
愛 「日本って色々な神様があるのだね」「そうだよ」神様もあるし、仏様もあるんだ。それで、皆が、どの神様を信仰する、など自由にできる国なんだ。
私 「ホラ、向こうに丸い堂があるだろう、あれは仏舎利塔って言って、インドのお釈迦様の、お骨が一部あって、それをお祈りするのだよ」
行ってみる? 「ウンウン」する愛ちゃん。
高塔山の山頂から、もう一つの山頂と言っても、わずか300mぐらいしか離れてない近さで、広い山頂にボコンと出た白い塔。平和バコダともいわれる塔で、その中に入れるよう、戸がいつも開いて、自由に入れるようになっている。
中央にお釈迦様の大仏が座り「すごく大きい」と、愛ちゃんは、その威圧感に圧倒され、しばし声が出ない。
ここでも、ロウソクに火をつけ、線香から煙が出るくらい火をつけて置く、そして、百円玉をチャリンしてから、二人で静かにお祈り。
仏様も、神様も、両手を合わせる日本人の習慣は、心の優しさを表現する民族だと想う。
そのことが愛ちゃんに伝わってくれるとイイなァーと、想いつつ、
「愛ちゃん、これも社会勉強だし、人の心、思いやりとか優しさを、こんなところで学ぶんだよね。そして私がお付き合いしている人、みんなイイ人だろう」
愛 「パパのお友達、みんな素敵だよ」「愛も、もっと、たくさんの人とお話ししたい、勉強したい」
私 「学校で教えてくれないことが、この社会にはたくさんあるのだけど、子供の愛ちゃんが感じる事だけ知って、大人のイヤなこと、愛ちゃんが好きでないことは、始めから知る必要はないんだよ」
私 「まずは、正しいとか、イイことだけ感じ、出来て良かったこと、楽しいこと、面白くてガンバレル様な、事をたくさん体感し、これから大人になって活かせることを選びアクション、そしてプログラムするんだ」
私 「さァ、そろそろお家に帰って、洋子ちゃんが待っているだろうし、どうする?」
愛 「パパ、若戸大橋あるでしょう、そこでパパと洋子ちゃんママが10年生活したと言っていたよね」
私 「アァそうだよ」
愛 「その住んでいたところ、行きたいのだけど」
私 「ア、そうだな、帰り道だから、そこを通ってみよう」
浜町というところで、以前は、ここに浜町小学校があって、娘のユーミンが通っていたんだ。その前が浜町幼稚園で、裕美ちゃんの大好きな先生がいて、ボーイフレンドがたくさん、しかも洋子ちゃんママが美人で、PTAの役員を幼稚園から小学校までつづけ、すごく頑張った洋子ちゃんママなんだ。
そして、ここが住んでいたアパート。
4階の2階、あそこだ。今は私が知らない人が、たくさん住んでいるところで、その海側に私が勤めていた吉田印刷所があり、その会社で洋子ちゃんの、お兄さんと出会い、紹介された妹が洋子ちゃん。それで結婚したんだ。だからすごく想い出が多い若松。そうそう、洋子ちゃんは若松で生まれたのだよ。
他にもたくさんあるのだけど、洋子ちゃんが居ないから、今度、洋子ちゃんと一緒に案内してあげるよ。
さて、今度は若戸トンネルで洞海湾の下を通って帰るよ。
愛 「トンネルがあるの?」
私 「そうだよ、最近出来たばかりで、大きなブロックで繋ぎ合わせたスタイルのトンネルでは、珍しい海底トンネルとして有名なのだよ」。
で、すぐに4車線のトンネルに入ると、大きなダンプカーがすれ違い、ゴゥゴゥと貨物トラックが行きかう。そして北九州都市高速道路に繋がり、そのまま小倉の街から東九州自動車道に入る。そして、そのまま行橋ICで降りると、急に静かな田園風景が飛び込んできた。
愛 「行橋の街は緑が多くて、愛は好きだよ」
私 「そうか、ありがとう」で、わずか50分で我が家に到着。
洋子ちゃんが「お帰りなさーィ」。
愛ちゃんが 「ただいまァー」と、もう親と子のマイホームになっている。
早速、オコタに入り、今日あったことをペチャクチャ洋子ちゃんと、おしゃべりが始まる。
気のあった女の子二人なのだ。
私は着替えてパソコンの仕事。
いつの間にか日が暮れて「パパ、夕ご飯」と、愛ちゃんの元気な声。
今日は洋子ちゃんが発案した「イトヨリ魚のクリームあえ」に「野菜スープ」「シーチキンサラダ」「ほうれん草のバター炒め」別にキムチ、ラッキョなどテーブルに盛りだくさん並べられ、すぐに愛ちゃんのお祈りが始まって「いただきます」
今日はイタリア風の洋風なので、水でカンパイして、レストランで食べているようだ。
愛ちゃんは、ナイフとフォークで「イトヨリ魚のクリームあえ」を「すごーく美味しい、ホッペタが落ちちゃうかも」とか言って、大きな可愛い口にパクンして、大きな目をギョロギョロさせ「すごーく美味しいね、ママ」
洋子「ありがとう、愛ちゃん」と、二人とも凄く仲良しだ。
私 「今食べているイトヨリ魚、これは洋子ちゃんが対馬で釣れた魚、何だよね、洋子ちゃん」
洋子「昨年の11月に長崎県対馬で、お父さんと釣りに行って5匹も釣れたので、ブロックして冷凍庫に入っていたものを、料理しました。」
愛 「洋子ちゃんママも釣りするの」
洋子「魚釣りする女の子、たくさんいるのね、今日、行った岡本さんの奥様とか美奈ちゃんも釣り仲間なの」
愛 「ママ、今度、教えてね、」
私 「洋子ちゃんと愛ちゃんが一緒に釣りしたら、どっちが洋子ちゃんと、分からなくなるよ」
「姉妹みたいに鳴ったら困るよ」と、洋子ちゃんに言ったら「何にもヤラないょ」と、洋子ちゃんだ。
すると愛ちゃんが「洋子ちゃんを独り占めしちゃダメだょ」「愛の洋子ちゃんだから」
私 「………ママ、じゃないのかなー………? 」
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