ただいま編集中
2025.1
月続編第一部
 大和三郎丸・上瀧勇哲 平成の想い出・小説 mujik (夏川りみ) 鳥よ 09

2000年4月、勤めていた会社が倒産。それで仕事関係で付き合いのある㈱南陽堂 営業部長の橋本さんから紹介された行橋市の会社に勤める事ができた。その会社オーナーが数年後に福岡県会議員、そして行橋市長となる田中純さんだった。手厚くもてなされて工場長。そして自民党の麻生太郎さんとの交流。前の会社でも麻生さんとは知り合いで、洋子ちゃんと結婚を決めていた時、会社の社長が間に入り、「麻生太郎さんが仲人してもイイよ」とか。とんでもない話し、お断り。そのような経緯が合ったり、今は(公財)日本釣振興会の名誉会長してらっしゃる麻生副総理大臣。政治の世界でも色々な事を知る私が、定年まで勤める会社となる。その事で北九州市から南の京築地域の行橋市に住まいを変えた私と洋子ちゃん。すぐそばに元永小学校。その前が2級河川の祓川があり100m海側を歩くと沓尾漁港に人工島、そしてお馴染みの周防灘。家から歩いて30分の近さ、その先の長井の浜海水浴場まではチョットきついのでマイカー利用で、わずか7分。周防灘の海辺で遊べる環境がある。その海辺と私の家を遮ってくれるのが元永山と覗き山。たかが100mも無い高さ。その事で私の家は盆地になっている。潮風が元永山に当る事で、盆地の我が家は一年中暖かく、涼しい。だから米どころとして田が多く、溜池も二つあり、そこから各、農家に用水路が引かれ、私の家も下水管でなく、用水路に水が流される。その事で農家と繋がりが始まる訳だが都会から来た私の家族は自然に恵まれた家に住む事になった。その一軒家から始まるストリーは毎日が面白い。知らない世界を学ぶ事が出来た。そして中西先輩から頂いたイルミネーションを、中古家に飾りつけした12月。ご近所さんが奇麗、素敵。そして釣り仲間が集う家となった。
大和三郎丸の生い立ちを描く、小説・マイファミリー・シリーズ、お楽しみ下さい 
 小説竜神伝説と初恋  小説年上の人  小説年上の人  小説年上の人  小説年上の人
 小説「車イスの家族」  小説 他人の子    

フィッシングライフ 
  小説 マイ・ファミリー 第五巻 「他人の子 」第一部 終編 No.4 



  マイ・ファミリー 「 他人の子 あらすじ 編

 登場人物   

◎私、上瀧勇哲(じょうたきゆうてつ)印刷所勤めの私が60才で還暦を迎えた。
 ホームは北九州市から行橋市へ移住して10年になる。

◎妻、  洋子      55才  19才で私と結婚し一男一女を育てる。
◎ユーミン(裕美)私の娘 35才。私が付けたニックネーム。孫娘誕生から5年間、行橋市在住。
 今は大阪府 在住。夫は信久、その子、美優7才。

◎ノブノブ(信久)    40才。私が付けたニックネーム。ユーミンと結婚し、孫娘誕生から行橋市で勤務。今はミータン(美優)と三人で大阪暮らし。大手玩具会社の大阪本社、営業課長。
◎ミータン(美優)(信久・裕美の子)7才。私が付けたニックネーム。
 私の初孫。行橋市で生まれ5年間、行橋で一緒に育てた可愛い孫娘。

◎谷口 愛(タニグチ・アイ)14才、外国籍の日本人。始めて来た日本、そして福岡・小倉の出会い  
  
「他人の子、主人公」
◎谷口(タニグチ・カズオ)愛ちゃんのパパ。日本人。
◎谷口次郎  祖父
◎谷口さなえ (祖母
谷口三郎  (祖父の弟
◎鈴木玲子(ずずきれいこ)35才。
 愛ちゃんの家庭教師。

山本校長先生      55才。 小倉足立中学校 校長。私の母校
中村俊夫部長      51才。 小倉警察署所山本校長先生の従兄弟


 ストーリーの あらまし

①少女との出会い
年末年始、娘と孫が行橋で遊び、小倉新幹線駅へ送った後、北九州市小倉駅前ベンチで読書。そのとき声を掛けてきた、愛(アイ)という女の子。意外なストリーの展開は、その子のパパとなり小倉を案内した。

②少女とデート。
小倉駅前から魚町商店街めぐり、旦過市場で焼きうどん、鴎外橋から小倉城へ、リバウオーク北九州、映画から、井筒屋1階の資生堂で、お試しパック、そしてデナータイムから、まさかの展開。

③ホームスティの始まり。
私のホーム行橋市へ。そして妻との会話から一日だけの約束で宿泊するが、孫娘のような少女に。

④皆からアイドルのまなざし。
行橋市元永区の探検は須佐神社で願い事。今元小学校、今元中学校野球部の試合会場で、人気の少女。

⑤愛(アイ)ちゃんのママが行橋に来る日。
北九州空港ロビーで、まさかの家庭教師、鈴木玲子先生は愛ちゃんの先生。ママの代理で来たとか。

愛ちゃんが知りたい事は日本人のパパが小倉の人。
愛ちゃんとママ、鈴木玲子先生を納得させるほど、ホームステイを続ける訳、「愛ちゃんが秘密に知りたい事」それを探してやりたい私達の思いを、家族として支える洋子ちゃんと私。

⑦愛ちゃんの探し物とパパの写真。
二週間のホームステイと愛ちゃんの宝物は、一枚の写真からストリーが始まる。

⑧初めての北九州市若松の町を知る愛ちゃん。
私の第二の故郷めぐりを、愛ちゃんとする。
洋子ちゃんが生まれ育った若松の街と、結婚するキッカケをくれた会社に、釣り仲間達との交遊を知る愛ちゃん。

⑨突然の電話。
先日、若松の岡本さん家に愛ちゃんと遊びに行ったとき、息子さんの義治君が脇ノ浦で行方不明の連絡を岡本さんから電話で知った私達。趣味の会の海洋磯釣俱楽部の会員でもある、海難捜索に参加する。

⑩愛ちゃんと九州国立博物館と太宰府天満宮へ、そして悲しみの釣り人。
気持ちを切り替え、愛ちゃんの探し物のヒントを得る為、九州国立博物館と太宰府天満宮へ家族で行った。

⑪釣り人遭難事故と、その結末。
愛ちゃんがいて幸福な毎日が続くなか。先輩の岡本さん家では、釣り仲間の息子さんの事故で、悲しみに耐えていた。彼は海洋磯釣俱楽部の会員で、仲良しだったが、まさかの海難事故で亡くなってしまう。

⑫非常なまでの悲しみに耐える家族。
毎日が楽しい愛ちゃんと、家族同然の日々。その中でまさかの電話。お姉さんのように慕っていた美奈ちゃんが、まさかの病気で亡くなった。その知らせを聞いて、私達は涙を流すしか無かった。

⑬始めての釣りと温泉。
愛ちゃんの社会勉強と、私の趣味の釣りを体験。そして国東半島の真玉温泉に家族旅行した。     

⑭愛ちゃんのパパと祖父。
足立中学校の山本校長先生から、愛ちゃんの探し物を調べてもらった。その事で愛ちゃんのパパは多分、小倉の人で実家が分からない。北九州市に親戚の人がいるかも知れない。もっと時間がほしい。でも。

⑮お別れの日。
鈴木玲子先生が迎えに来た日。そして愛ちゃんと別れ。

                              他人の子、第一部・完結編4


2025.3月予定は 「他人の子、第二部・戦火の中で、パパの生い立ち、そしてタニグチ・アイ愛ちゃんの過去を知る」「意外な結末は佐賀鍋島藩の武家の親族」と「私の母方の祖父、鍋島藩牛島家との関わり」


⑬初めての釣りと温泉

週末の土曜日、愛ちゃんと洋子ちゃんは、近くのディスカウントショップ、ルミエールでお買いもの。
私は久しぶりに庭木の手入れと雑草取りしながら午前中、汗をかいた。

昼ごろ、洋子ちゃんの愛車、ホンダNボックスが、愛ちゃんを乗せて買物から帰ってきた。
シャッター付きの車庫に上手に入れる洋子ちゃんだが、先に降りた愛ちゃんが「バックオーライ」とかで誘導する姿があった。その車庫は、6m×6mと広く、マイカーが二台入るのだが、洋子ちゃんのマイカーと自転車が3台、保管してあり、両サイドの壁ぎわには、私の釣り道具となるクーラーボックスが6つに、バッカンとかの釣り用品に、今使ってない扇風機4台に、クリスマスグッズが入った段ボール箱5箱、芝刈り機、これに家庭菜園用の肥料とか、18ℓ入りのペンキや、灯油に、バーベキュー用の炭など、あらゆるものが整理し、並べ置く棚がある。釣り仲間がその倉庫を見て、奇麗に整理していますね。と感心してくれる。

愛ちゃんが「パパの荷物多すぎ」とか言っているが、どれもこれも、なくてはならないもので、今度、釣り仲間達を呼んでバーベキューするつもりでいる。ちなみに、私のマイカー、プリウスαは玄関横のカーポートに入れているので、結構広いスペースを利用している私の家。
先程、雑草取りした中庭は芝生広場。中央に丸い花壇を三段にし、その中央に若いカップル二人の像、上の傘から、雨が落ちてくる仕掛けの噴水があり、これは凄く気に入っている。噴水以外は全て手作りの中庭。芝生も外縁のサンゴジュ木とかムクゲ木など、全て私と洋子ちゃんが植えたもので、最近はハイビスカスを植木鉢ごと土の中に入れ、冬場は家の中に入れる事している。

その中庭から先は、ブロック塀で囲み、その隣りから先は、農家の人達が米を作る耕作地となるが、冬の今は土だけしかない。

その耕作地奥には、農業用水に使われる松山池があり、その後ろに、高く見えるのが元永山と、覗山の山並が奥で繋がっている。いずれも100mもない低い山だが、その山の向こうが周防灘で、毎日、その周防灘から昇ってくる太陽が、元永山の上から出て、朝日が眩しいくらい私の家を照らしてくれる。
豊かな自然景観がある行橋に引越して、早10年を過ぎようとしている。

そのような住いに、やっと慣れてきたとき、娘が結婚し、初孫ができ、この地で5年間、孫が生まれ育ち、今は大阪で暮らす娘夫婦。そして私と妻の二人暮らしも馴れてきたころだった。

小倉駅で知り会った、まさかの愛ちゃんがやって来て、今、ホームステイしながら楽しめている毎日。
その愛ちゃんが「パパ、ランチだよ」の大きな声。
手洗いして、リビングのテーブル前に座ると、すでにホカホカの、焼きウドンが大皿に盛りつけされ、小さなお皿に愛ちゃんが作った玉子焼きは厚みが2.5㎝もあるデッカイ羊かんぐらいの大きさ。
それを三等分にしているので、キッチリ何重にも巻かれた玉子焼きは、切れスジで大きさが良く分かる。
もう一つオマケの、愛ちゃんが好きなカボチャスープ。
これが甘くて美味しいのだが、香りだけでもプンプン香り、料理だけで酔ってしまうぐらいのお昼ランチ。

愛ちゃんが大きなコップに並々お冷を注いでくれて、早速、いつものように手を合わせ一分間、お祈りする。普通、こんなに永く、お祈りはしないのだが、愛ちゃんの国では定番の、お祈りだそうで、これをしないと食事ができない私達。一分間もブツブツ言っている愛ちゃんの目線が気になるが、私達も、そのスタイルをまねて静かに手を合わせ、すぐに「いただきまーす」と愛ちゃんだ。

やっと定番の焼きうどんを口に入れると、これが、すごく美味しい。
そう想った瞬間、すぐに愛ちゃんが「おいしい、ママの焼きウドン、美味しいよ」と、
洋子ちゃんの顔を横目で見ながら表現する愛ちゃん。普通なら娘のユーミンが座るイスに愛ちゃんが座り、向かい合わせで座る私は一人ぼっちのイス。本当は孫のミータンが私の隣りに座るのだが、今はいない。でも正面から美女二人を見てランチが出来るから最高に幸福。

洋子ちゃんは「今日の焼きうどんは、オタフクソースに醤油を少し加え、豚肉とキャベツに玉ネギ、丸テン、カマボコを入れ、ボリュームを増し、さらに花カツオに青ノリを降ったから、風味がイイでしょう」とか。
愛 「パパと小倉駅で、出会ったときも、魚町というところで始めて焼きウドン食べたの。あのときの焼きウドンは野菜がタップリで、ピンク色したカマボコにウインナーが入っていて美味しかったけど、洋子ちゃんのは豚肉がたくさん入っているし、何より具だくさん、凄いボリュームだよ

私 「良く覚えているね、焼きうどんは北九州市小倉で、一番最初に出来た、作られたメニューで、小倉発祥の地として有名なんだよ」「ホラ、あのとき、旦過市場に入っただろう。その中にイワシとかサバをヌカで炊いた、ヌカ炊きという、魚料理も、有名何だよ。」
「今度、そのヌカ床、炊きのお魚さんを、洋子ちゃんから作ってもらおうか」

愛 「ウン、おいしそうだね」

その焼きうどんを、お口にタップリ入れてモグモグする愛ちゃんの顔見たら、不二家のペコちゃんになっている事に気づいたが、これは後で言う事にして、甘―ィ、かぼちゃスープを大きなスプーンでゴックンすると、チョット熱かった。でも我慢して、その味を言おうと想ったら、
又しても愛ちゃんが「ママ、このカボチャスープおいしいね。愛の国でも、このようなスープあるのだけれど、こんなに甘くないし、香りがしないの。どうしてかなーァ」

洋子「愛ちゃんの国にも、先程切ってくれた日本のカボチャ、同じものあるの?」
愛 「そうだよ、日本のカボチャは小さいけど、愛の国のカボチャは、この二倍くらい大きくて硬いんだよ」「でも同じような形をしているし、切ったら黄色だからカボチャー」
洋子「そうなの、すると後は味付けかなァー」
愛 「洋子ちゃん家には、たくさんな調味料があるでしょう。砂糖とかコショウ、塩以外にも味付けするものがたくさんあるでしょう。その中に生牛乳をたくさん入れるでしょう。」
洋子「これに、ブイヨンと塩を少々加えて、優しく温めるだけ。カボチャとか牛乳は甘いから砂糖は入れてないし、コショウも必要ないでしょう。すごく簡単に出来るものがあるから、愛ちゃんだって料理長になれるよ」「次回、作るときは愛ちゃんがチャレンジしてみてね」と洋子ちゃん。

私 「ところで、この玉子焼き、愛ちゃんが作ったの?」
愛 「そうだよ、玉子を8つ、ボールに入れて、塩と砂糖と醤油とコショウを入れたんだよ。洋子ちゃんが目けんとうでイイから、と言ったので、洋子ちゃんがしていること見て学んだんだ。それでフライパンで四角に巻くのは、すごく大変なんだけど、少しずつ入れて、薄く何回も巻き付けてゆくと、こんなになったんだよ、ねママ」「それでパパ、おいしい?」
私 「すごく美味しいよ、コショウが少し効いて、ビカーッとする舌の感触があって、これは洋子ちゃん以上に美味しいね」
愛 「パパ、お世辞言っているでしょう」
私 「イヤ、本当だよ。これはお店に出しても大絶賛してくれる味だよ」

愛 「ありがとうパパ、夕食ランチのときも作るよ、イイでしょうママ」
洋子「ハイハイ、愛ちゃんも料理が少しずつできて、先程のご飯は愛ちゃんが、お米をサラサラ洗って、水かげんを決めて、私がチェックしたの。全て合格ね」
私 「ということは、今、オニギリにしてもらったものは、愛ちゃんが炊いたご飯だよね」
愛 「そうだよ、炊飯器が炊いてくれた、ものだから、愛はそんなにエラクないよ」
私 「そうだね、でも私が、お米を洗って準備すると、いつも洋子ちゃんが水多すぎとか、少ないとか言ってケチつけるんだよね、洋子ちゃん」
洋子「イエイエ、そんな事ありません。チョットだけ私のプライド見せているだけ。だから気にしなくてイイのよパパ」「随分、私と愛ちゃんのこと、差をつけるじゃないか」と私。
洋子「お父さんは大人でしょう。愛ちゃんは私の子供みたいな子、大切に育てなくてはね」

そんなコミュニケーションしながら、お昼のランチが終わり、二人が台所で可愛いオシリをくっつけながら後片付けしているので、私は明日、何処に愛ちゃんを連れて行こうか?、と考えた。
日曜日は天気も良く、久しぶりのお出かけ日和と、テレビの天気予報が言っているので、久しぶりに魚釣りを考えてみた。洋子ちゃんと愛ちゃんがテーブルに座ってお茶タイム。私はインスタントコヒーは、うすめでブラックを飲んでいる。そして、最近、釣りに行ってないし、そろそろ釣りの虫が、ざわめきだしたので、まず二人に聞いてみた。

私 「洋子ちゃん、明日、釣りに行こうと想っているのだけれど、どっかないー。天気も良いし、愛ちゃんの社会勉強も兼ねて、どう?」

洋子「そうねェー、遠くでなくて近くね。ついでに温泉も入れたら最高かも
愛 「魚釣りしてみたい。それに温泉ってナァーニ?」
洋子「愛ちゃん、お風呂好きでしょう。そのお風呂を大きくしたもので、一度に10人も、20人も、一緒に入れるのが温泉というのよ。それに、もっと詳しく言うとね、私達が入るお風呂はガスで沸かして、温かいお湯が出るでしょう。温泉は地下水から汲み上げる水が、お湯になっていて、その地下水のお湯を大きな風呂場に注いで、みんなで入るところなの。もちろん、地下水のお湯も、場所によっては熱湯だったり、ぬるめのお湯だったりするけど、そこは温泉施設が管理して、入りやすい湯にするのよ」

私 「その温泉は、北九州市とか行橋市には無いのだけれど、大分県の別府とか湯布院などが有名で、チョット遠いかも。今度は魚釣りをした、ついでに温泉に入って、ランチして帰って来るスタイルを考えたいので、私達が良く行く大分県の豊後高田市に行こうと考えている」「洋子ちゃん、このスタイルでどう?」
洋子「お父さんにお任せします」
愛 「温泉も楽しみだけど、魚釣りしたことないんだよ。どんな釣りするの?。魚さんは、どんな魚?」
私 「愛ちゃんにはチョット難しいエリアなんだけど、今から釣具店に行って、エサとか釣り具を買いに行くけど、行ってみる?」
愛 「行くいく。釣具店?、どなところか、スゴーク興味ある」
洋子「私は留守番しているから二人で行ってらっしゃい」「ハーイ、ママ」

早速、私のマイカー、トヨタプリウスに乗ると、今日は助手席にチョコンと座る愛ちゃん。
孫のミータンも、私と二人なら必ず助手席に座る事をするから「やっぱり子供は、みんなそうなんだ」と想った。その釣具店なのだが、行橋には三つのお店があるが、買いものが多そうなので、一番大きなお店、つり具のポイント苅田店に行った。
家からわずか15分たらずで行ける常連の店であるが、いつもの店員さんが「いらっしゃいませ」と大きな声で挨拶してくれ、まず最初に愛ちゃんが着用するライフジャケット、ピンク色のクマモンのイラストが入った手ごろな価格を探していると、
店長さんがやって来て「上瀧さん、こんにちは。お孫さんのお買い物ですか?」
私 「明日、国東半島に釣りに行くので、孫のライフジャケット、どれが合うかと想ってね」と、ついウソを言ってしまった。しかし、愛ちゃんはすぐに気づいて「こんにちは」だけにしてくれた。

釣り具は私の物を使えばよいので、マキエサのオキアミとジャンボアミ一角ずつ。これをまとめる集魚剤2袋を40㎝バッカンに入れ、お会計となる。
店長「可愛イイ孫さんで楽しいでしょう♡」と言いながら、レジで精算してくれる若い兄ちゃんが、愛ちゃんを気にしながら会計してくれた。
すると店長が、スタッフ控室から出て来て、愛ちゃんにキャップを渡してくれた。

ポイント、オリジナルキャップはピンク色で、ライフジャケットに合わせて凄く似合うものだ。
愛ちゃんが「ありがとうございます」のお礼を言って、お店を出たが、皆からの視線を感じて、やや自慢の孫?だった。


夕食前、釣りの準備は11ℓのクーラーボックスに、37㎝バッグに、リールとか小物品をたくさん入れ、竿袋には、私と妻と愛ちゃんの新しいロッドが7本も入り、私と洋子ちゃんのライフジャケットを車に入れる。そして釣り専用の小型の携帯ガスボンベ式、コンロに、湯を沸かすヤカン、2ℓの水ボトルを3本。
これは手洗いも含めて、いつも水だけは十分準備。後は、温かい食事に欠かせないカップメンとかカップ焼きソバなどを十分すぎるぐらい入れておくのが私の釣行準備品。
そして今度は特別に、折りたたみテーブルに、二つ折りのイスが3つ。まるでキャンプするぐらいの物を、トヨタプリウスに積み込むと、後部トランクは満タン。
後は彼女達の着替えを入れる予定なので、魚釣りは荷物が、どうしても多くなる。
でも、このぐらいシッカリ準備してないと面白くないので、明日はどんなドラマがおこるか、スゴーク楽しみ。しかも、カワイイ愛ちゃんが、どんな釣りをしてくれるか、これも考えるだけで楽しい。

楽しい夕食ランチは、まさかのスキヤキ鍋だ。

始めて見る愛ちゃんの目線が気になるが、それよりも、このスキヤキ鍋の香りが室じゅうにプンプンして、早くつつきたい雰囲気。もちろん、始めての料理を愛ちゃんが、どう感じるのかも興味津々だ。
洋子「朝のお買い物で、お肉が半額だったのね。それで今日はスキヤキに決めていたの」
洋子「それに、キュウリとカニカマを入れた酢の物に、エビマヨネーズをメニューに加えて、愛ちゃんが小さく切ったキュウリとトマトをテーブルに置いて、これも一品でしょう。」
そして「今日の味噌汁は愛ちゃんが作ったのよ」
愛 「でもね、ママがいつも玉ネギ、チョン、チョンと切るでしょう。それを入れて、本ダシを入れ、玉ネギの色が透明になったとき、トウフを小さく切って入れ、最後に白ミソと赤ミソをスプーンに一杯ずつ、コシて入れて溶かすと、すぐにミソ汁ができるの。だから、ぜんぜん難しくないの」
「もちろん長ハシで味見したけど、イイと想う。パパ、感想聞かせて」と愛ちゃん。

すぐにみんなで「いただきまーす」して、まずは愛ちゃんが一番気にしている味噌汁を少し口に入れると、大きな目、4つの目が私に注目してくれて、ゴックン。
私 「ウン、美味しいね」「洋子ちゃんの味と同じ」と、愛ちゃんに、ニッコリして言うと、
愛 「パパありがとう」と、変なコメント。

今度は、初チャレンジのスキヤキを愛ちゃん、どう食べるか見ていると、洋子ちゃんがしていること真似て、深い小皿に玉子を入れ、グチグチカキ混ぜ、その中にお肉をポチャリ入れてから、ガブリ。
愛ちゃん、箸の使い方が上手になっているので、かなり上品な食べ方だが、それよりも「美味しい」の声。
二度目のお肉を、鍋からつまんで小皿に入れ、玉子汁をタップリ付けて、ガブリとグチョグチョして「美味しい」の連発が続き、しばらく、その食べ方、見ている私。
なぜかユーモラスで楽しい食べ方。
洋子ちゃんがハシでつついている糸コンニャクも、器用にハシで取り、スルスル食べ、柔らかいトウフは、ちよっとハシで挟むことは難しいので、オタマで掬い、お椀に入れて、ご飯と一緒に、ガブガブと、すごく美味しい食べ方をする。

私がスキヤキを食べないで、愛ちゃんを見ているので 「パパ、どうして食べないの?」
「ア!、そうだった」で、やっとハシがスキヤキの肉を取ることになり、「これは美味しい」と、やっぱりスキヤキ最高。
久しぶりの料理に、ニコニコ笑顔の三人。愛ちゃんが、キュウリを小さく切ったサラダも美味しいし、エビマヨも、ご飯にマッチして美味しいので、とうとうご飯のお代わりをもらった。
私 「それにしても、この味噌汁、美味しいね、さすが洋子ちゃんの弟子だ」と言ったら愛ちゃんが「弟子」ってなァーに。
私 「料理のコック長さんがいるだろう。そのコック長さんから教えてもらえる見習いコックの事を、弟子と言うんだよ」

愛 「ママがコック長さんで、愛がママの料理を、お手伝いしながら、料理を作るお勉強しているから、弟子なんだね」
洋子「そのような意味もあるかも知れないけど、私と愛ちゃんは、もっと身近な関係があって、母親と娘が学び合う、料理を一緒に作るという事が大切なのよ」
愛 「私、国に帰ったら、ママに今まで教えてもらった料理とか、パパから、たくさん学んだ事、教えるね。もちろん、お姉さんや、お兄さん、皆に行橋のパパ、ママのこと教えるよ」

私 「ありがとう愛ちゃん。今、こうして、たくさん社会勉強しているだろう。学校では教えてくれない事を知ること、すごく大切なんだ」さて明日は魚釣り。今日は早く寝て、明日は5時の早起きだ。
愛 「そんなに早く起きるの、愛は眠たいよ」
洋子「早起きして、車の中で寝る時間もあるので気にしないで、後で遊ぼう」 「ハイ、ママ」

早朝4時、みんなより早起きして、ハミガキしていると、洋子ちゃんが起きて「昨日は12時までゲームしてたんよ」「愛ちゃん、布団から出られるかしら、ちょっと不安」
そんなこと言っていると、髪を乱した愛ちゃん、走って来て「オハヨゥ、ママ」「パパは?」とかで、どこを見ているのか、私に気づかない様子。
それでも、ハミガキ、グチュグチュして、洋子ちゃんと着替えし、すぐにマイカーに乗ると、もう車の中で愛ちゃん、グゥグゥと、いびきをかき始めた。
早めにエンジンをかけ、マイカーを温めていたので、すごく気持ち良さそうに、洋子ちゃんの膝枕で大きな子が横になっている。この事を意識して私は、ゆっくり安全運転。

まだ暗い早朝の運転だが、国道10号線は一つも信号に、かからない、青ばかりでスイスイと快適。
中津市内から国道382号に入ると、最近できた中津ダイハツ工場前の8車線道路に入ると、さらにスイスイ走れる。その道路が4車線から2車線に変わると、橋やカーブが多くなるが、安全運転なので後部シートの洋子ちゃんも温かさに敗けて寝ている。宇佐市から豊後高田市に入り、桂川を渡ると、ここから国東半島に入る。


目的地は熊毛港で、家から80分で着いた。
冬季は夜が明けるのが午前7時ごろ、やっと東の空が薄明るくなっている。
しかし、いつもの釣り場は外灯があり、十分歩けるので、私だけ身支度しライフジャケットを着用し100mほどの波止に出る。今日は愛ちゃんが一緒なので、無理しなくて波止の中央ごろにマキエバッカンを置き、ここでマキエ作り。
海水を加えて10分ぐらいで完成し、これをお魚ポイント5m沖にマキエ柄杓で30パイほど撒き、お魚さんを集めておく。
もう一度マイカーに戻ると、二人の女の子が早起きして「パパ、おはよう」と愛ちゃん。

洋子ちゃんのGパンに、昨日、ポイント店長さんから貰ったピンク色のキャップに赤い、がまかつウインドブレーカーにピンクのライフジャケットが凄く女の子を意識してカッコイイ。
洋子ちゃんは魚釣り30年のベテランなので、自己のマルキューウインドブレーカーに、マルキューのライフジャケット。キャップも全部マルキュー製品で合わせるのもメーカーさんのファングループに入会しているからで、私もインストラクターとして同じものを着用している。

そして雲一つない東の空から太陽が昇って来たとき、愛ちゃんが大きく手を広げ、背伸びして「パパ、すごい景色、気持ちイイね」とかで、
私は、ステンレスボトルに入ったホットコーヒーを飲み、二人の女の子は早くも波止へ。
あらかじめ二人の釣り竿からウキ、仕掛け、鈎までセットしていたので、すぐに洋子ちゃんが鈎にエサを付け、ポチャーンとウキを海面に投げ入れる。
愛ちゃんは始めてなので、まずは私が鈎にエサのオキアミを丸くして付ける事を教え、それを先ほど洋子ちゃんが投げたように、リールから竿に繋がっている道糸に、人差し指の第一関節に道糸を掛け、リールのベールをオープンにしてから、竿の弾力でファーッと投げる事を、まず一緒に投げた。
すると上手に10mごろにウキが浮いたので、後は仕掛け、エサが魚のタナに合う事を祈りながらウキめがけてマキエをドンドン入れる事、これは私がしている。

すると隣りで竿出し中の洋子ちゃんの竿が曲がり、グイグイ竿を引っ張りまわす、お魚さんがいて、水面に浮かせるとメジナと分かり、これを私がタモ入れして25㎝サイズの大物。
愛ちゃん、その魚を見て「すごーィ」「大きいねママ」「私も釣れるかなァー」と心配そうにするが、すぐに愛ちゃんの赤いウキが一気に沈んで、軟らかい竿が大曲り。
あんまり魚さんが引くので、リールから道糸がジィージィー出ている。
そのリールドラッグを、私が強く締めてから、やっとリールが巻けるようになるのだが、少し要領が必要。
しかし今の愛ちゃんでは、言っても分からないので、とにかくリールを巻かせるだけ巻かせて、魚さんを水面に浮かせたい。
大分ウキが見える様になり、先ほど洋子ちゃんが釣ったメジナが右、左に走り廻り、愛ちゃんウロウロ、翻弄されている。しかし、頑張って浮かせた魚を私がタモ入れして無事キープ。
始めての魚釣りで、始めての魚はメジナ、サイズは24㎝ぐらいだが、愛ちゃんの手の平ぐらいある立派な高級魚なのだ。その魚と、彼女が釣った証拠の写真を「ハイ、チーズ」
洋子ちゃんも続いて再び魚を抜き上げたので、こちらも「ハイ、チーズ」
三度、四度、エサを付けて、ヨイショと投げるキャストも上手になってきた朝の9時ごろ、
もう、一人で釣りが出来そうな愛ちゃん。
しかし魚がヒットしたときは、やっぱりヘルプが必要で、もう女の子二人はメジナを7匹キープしている。
その中で小さいメイタとか小グロはリリース中。
だから、かなり入れ食いに近い程、良く竿が曲がる。

その間、波止の先端から次々、釣り人が入って来て、もう5人ほどの釣り人が釣りを楽しんでいる。
私は広い埋立地に駐車したマイカーそばにテーブルを出し、イスを三つ出してから、テーブルの上に携帯ガスコンロで湯を沸かし、温かいカップメンを三つ作る。
湯の中に、サランラップに包んだオニギリをナイロン袋に入れ、そのままヤカンの中でグタグタ温めると、温かいホカホカのオニギリができる。
他に、イワシと貝と、サバの味噌煮などの缶詰を温めてテーブルに並べ、
釣りをしている彼女二人を携帯電話で呼びつけるころには、ちょうど良い温かさのカップメンが出来ており、これを見た愛ちゃん、大喜び。

彼女は、このような屋外で食べる習慣を全く知らないようで、大興奮している。
大きなマットのようなイスに座って、早速、ランチタイム「いただきます」して、すぐに始めてのカップメン。「自然の中で食べる温かいカップラーメンも、すごく美味しい」と愛ちゃん。
それに日本には、こんな缶詰があり、色々な種類があり、ここで食べるとは想ってもない事。
ハシを上手に使い切るようになり、食べ方も、孫のミータンと、ほとんど変わらないぐらい使いこなす。
又、オニギリが温かいのに驚いている様子だし、何より広い海で私達だけの広場。
海の音があり、近くの漁師の船が、出たり入ったりしているが、釣り船がこんなに大きいとか、スマートで早い等々、見るもの全てが新鮮で、しかも先程から魚さんが入れ食いでつれた事。
洋子ちゃんが「1匹、1匹、色んな魚、釣れるでしょう。それを説明するのよねェー」とか。
愛ちゃんの国の魚さんと、今ここで釣っている魚さんは全く違う魚ばかりで、やはり遠―ィ国なんだと想う事しきり。そんなランチタイムを終えて、再び魚釣りに励む二人。

私は、とうとう一度も竿を出さず、お昼には終了した。
釣りの方は、メジナ、ウミタナゴ、メイタ、メバル、カサゴで、みんな15㎝以上ある。一番大きいのでメイタ32㎝。全部で38匹釣れた。と洋子ちゃん。だからクーラーが重い。釣り場で切れた仕掛けにパッケージにゴミなどは(公財)日本釣振興会のゴミ袋に入れ、バッカンの中に入れている。それを洋子ちゃんが持ち、タックルバッグは愛ちゃん。私はロッドケースにクーラー。今日はお天気最高で風も南風が少しで暑いぐらい。

帰り道の国道217号から入る温泉は、スパランド真玉温泉。
大きな看板があり、交差点に分かりやすい案内板があり、左折して15分ほど走ると、右側に大きな施設、スパランド真玉温泉がある。市営なので設備が充実し、ホールに入ると観光物産展のようなお買い物ができる。
愛ちゃんと洋子ちゃんは、そのお店の中でオミヤゲでもあさっているかのようだったが。
それよりは、まず温泉チケットを購入し、私は男性。彼女達は、もちろん女性風呂。
天井の高いホテル並みの大きな温泉では、国東で一番のサイズだし、大浴場の他、サウナや露天風呂など5つほどのお湯風呂に入れて、彼女達は二時間ぐらい、ゆっくりくつろげたそうだ。

私は、硬質温泉は苦手なので早めに終え、くつろげる室で横になり、グウスカいつの間にか寝ていたかも。
いつの間にか美女二人が「パパおはよう」とかで起こされたのだが、風呂上がりのスッピンの女の子二人ともカワイイ。女性が化粧しないで、そのままの素顔が一番好きな私だが、今ごろは、やたらと顔に化粧したがる女性が多い。二重瞼も整形とかの時代なのだが、なぜかしら私の身近でお付き合いしている女性は、みんな目が大きくて二重で、しかも、まつ毛が長い。娘のユーミンも、孫のミータンも美女だし、なぜか嬉しい。
愛ちゃんが、洋子ちやんママと一緒に、風呂上がりのミルクコーヒーを飲みほしているが、私はアクエリアスを半分残してマイカーに入れた。
「これからどうするの?」と愛ちゃん。
もちろん帰るのだが「帰りにお買い物、それともレストラン、どっちがイイ?」と私。

洋子ちゃんが「いつものグルッペに寄って夕食ランチしませんか」という事で、早速マイカーが発車。
途中、アングル国東店(釣具店)に立ち寄って、今日の釣果を店長に見せて、良型のメジナが12枚にメイタが3枚、これにメバルとか海タナゴ5匹の大戦果をクーラーから全部出して、写真にパチリして、後日、A4サイズのカラー写真となって、お店に飾るのが定番。
釣り人は私でなく、洋子ちゃんと、そばでニコニコしている愛ちゃんです。それで店長、気を効かせて「すいません、魚を前にして、お二人の写真を撮らせて下さい」とかで、再び写真を撮る。
そんな光景を見ているお店のスタッフに、釣り人数名が「良く釣れていますねェー」の連発に、
釣った方が、この若い女性?。特に愛ちゃんが可愛くて、皆が注目している。
ニコニコ笑顔の愛ちゃんに、みんなハッピーになっている。
店長さんが「又、来て下さい」とかであったが、次回は私と妻だけになるつもり。

国道10号線に出て、中津市に入ったので、ついでに中津城に行った。
午後4時になっていたが、まだ十分OKの中津城の広場前。
愛ちゃんが「小倉城ね」
私 「これは大分県中津市にある、中津城なんだよね。小倉城に似ているのだけれど、ここの殿様は黒田長政、などなどアピールして、やはり資料館に入り、ここでも熱い抹茶を頂いて、
愛ちゃん「このようなお城が何処でもあるの?」
私 「ン、何処でもという分けでもないが古いお城が現存する場合もあるし、新しく観光的に建て替えられたお城もあり色々。でも、私のような市民が、そのような歴史を感じる事で今の社会を、より良くしよう、とかいう事なんだね」

その帰り道に、千円札でお馴染みの福沢諭吉記念資料館もあるのだけど、もう5時を過ぎているので社会勉強はここまでとし、築上町のグルッペ店に入り、
洋子「愛ちゃん、好きなのを選んでね」
愛 「料理絵で、だいたい分かるので、ハンバーグセット」
私 「それなら私も愛ちゃんと同じものでいいよ」
洋子「それなら私も同じにしようか」で、「愛ちゃん、チーン押して」すると若い男性スタッフが来てメニューの確認。みんな同じもの。これにドリンク飲み放題チケットにして「OK」
早速、愛ちゃんと洋子ちゃんが飲み物コーナーに行き「パパ何がイイ?」長い髪をした愛ちゃんが、なぜかしら私の顔を覗き込む。
眠たい顔の私に、チョッカイかけそうな、目の大きな愛ちゃんだったが、
その事を感じて静かに「ホットコーヒー」
愛 「パパ、コーヒーは料理が終わって頂くのでしょう」
私 「イヤ、眠たい目を起こしてもらう為」   「そうなの」と、愛ちゃん

5分もしない内に、ホカホカのハンバーグ定食がテーブルを埋め尽くし、ここでも愛ちゃんのお祈りが始まって、隣りのテーブルのファミリーが、こちらを見ている。
そのような事はお構いなしに、愛ちゃん早速「いただきまーす」
早速、ホカホカのクリームスープをゴックンして「美味しい、温まるー」と愛ちゃん。
そして、フォークとナイフを上手に使って、ハンバーグがバクーンと大きな口に入りモグモグ。
この一瞬の表情がすごく可愛い。ビデオで撮りたいぐらいだが、そこは我慢して、「美味しい、温かい」等々して洋子ちゃんが、ハンバーグを半分切って愛ちゃんのお皿に入れてやると、
愛ちゃん「ありがとうママ」とかで、ますます張り切って良く食べる愛ちゃん。この子は本当に良く食べる。「来年の今ごろだったら身長が170㎝になりそうだし、スタイルも、今、ウエスト48㎝が、もう少し大きくなると、モデルに立候補、出来そうかも」と、洋子ちゃんに言っていると、

愛ちゃん「私の国ではモデルさんとかいないよ」とか。
再び温かいブラックコーヒー飲み、女の子二人は、ミルクティにレモンティのお代わりして、1時間も座っていたグルッペだった。

夜7時に帰宅し「明日、お魚さん調理しようか」にして、この日は温泉も入ったことだし、三人とも早めにお布団に入った。

⑭愛ちゃんのパパと祖父

いつもの朝、中庭の噴水広場に珍しく小鳥たちが来て水飲みし、赤茶色した芝生広場に降りて虫エサを拾っているようだった。
お天気は前日に続いて快晴。
優しい風が少しあり、手作りブランコ横にある鳥型の風鈴がカラン、カランと鳴り、楽しそうな広場。

別の室では愛ちゃんが、まだベッドで温か布団に潜り込んで、起きようとしない。
洋子ちゃんは、いつものようにリビングで朝食の準備中。

「おはよう」して、久しぶりに、ささやかなキッス。ニコッとした洋子ちゃん♡。

私はいつものようにハミガキして、少ないヘアーをセット。

テレビが朝の、おはよう7時になった番組ニュースを次々、地域の話題を教えてくれる
「今日は何処に行こうか?」
まてまて、その前に昨日釣った魚さんを料理して、ご近所におすそ分け等々考えていたら、
洋子ちゃん「ランチできたよ」

愛ちゃんも、洋子ちゃんから起こされて、自慢の長いヘアーがグチャグチャになり起きてきた。
でも寝ぼけ姿が凄く可愛い。そのまま顔を洗わずリビングのテーブルに座ったまま「ママ眠いよォー」

もうすっかり愛ちゃんのマイホームになっている感じ。
それでも洋子ちゃんが、布巾を、オシボリ代わりにして愛ちゃんに渡すと、ゴシゴシ顔を拭き、洋子ちゃんが長―ィ髪をブラッシングすると、見事に変身、お嬢さんになっていた。
そのまま朝のランチを頂くことにした。

今日のメニューは昨日、スパランド真玉温泉で買った干し魚に、黒豆を煮つけとか、目玉焼きにハムが添えられ、結構豪華。
私の大好きなアツアゲとワカメがタップリ入った白味噌汁が好みで、テーブルにはカラフルなお皿に、ご飯とオカズが6品×3人で、美味しそう。
愛ちゃんのお祈りは、いつもよりサラーッと終わって「いただきます」
モグモグ、パクパク、干し魚は、さすがに硬くて、ちょっとガリガリが苦手な様子。
それでも、いつの間にか全部平らげ、小さな白ご飯の入った、お椀のお代わりで、目玉焼きに少し甘い醤油をかけ、そのまま、その白ご飯の上に乗せて、上手にかき混ぜながら完食。
さすがに納豆まで手が出せなかったようで、
愛ちゃん「お腹イッパイ」と満足の様子。
そしてすぐに、お湯ポットから白折れ茶の入った急須に湯を満タンしてから、三つの、湯のみに注いで、一番先に私にくれた。
お茶とかコーヒータイムは、だいたい愛ちゃんが入れてくれるようになり、
「気のきいた娘?のようになった」と、洋子ちゃんに話していると、

電話が鳴り、洋子ちゃんが取ると、足立中学校の山本校長先生だった。

私と電話をする事になり、

校長先生「実は小倉警察署の、私の従兄弟ですが、上瀧さんから依頼された娘さんの写真の件ですよね。およそ分かりましたけど、この写真の内容、私が従弟から相談され、私から上瀧さんに直接説明される方がイイとかでしたのでお電話しました。それで近い内、足立中学校に来ませんか?」
私  「それでは今日の午前中でもイイですか」
校長先生「イイですよ、私いますので、どうぞ」 ということで話しが進み、
この話しをそばで聞いていた洋子ちゃんが、今の話しの説明を愛ちゃんにしたら、「愛も行く」とかで三人一緒に午前9時30分お出かけ。途中の苅田町の、さかえ屋で、三つ豆どら焼き40個入りの大箱と、10個入りの小箱を購入して、校長先生と職員室の先生方にオミヤゲを買った。
いつもの国道10号から東九州自動車道、苅田北九州空港ICに入り、そのまま小倉東ICから北九州都市高速道路に入り、足立ICで降りると、足立中学校はすぐ、わずか35分で足立中学校の本館前に着いた。
職員室の事務所に「山本校長先生と面会を予定している上瀧と申します」と言うと、
すぐに「聞いていますので少々お待ちください」とかで、若い事務の方が案内してくれる校長室に入ると、
笑顔の山本校長先生が、わざわざ私達の近くまで来て、ソファーに案内してくれた。

まだ一度しか合った事ない山本校長先生、どうも趣味の魚釣りのファンのおかげで待遇がイイと感じたが、そばにいる妻のペンネーム「釣りのファン子」が、昔からのファンとかで良かった。
それに、写真を持っていた少女、愛ちゃんのことも生徒のような感じて、対応してくれるし、さすが校長先生と私は想っている。
その事で、まずは、先日は突然の訪問で、まさかの対応までしてくれて、ありがとうございました。と三人で頭を下げてお礼を言いました。すると、山本校長先生、「まさか、釣り好きの上瀧さんご夫婦と会えるなんて想いもしませんでした」。「それに、私が出来る事があって良かったです」。挨拶もそこそこにして、

広い応接室のソファーに座ると、中央に愛ちゃんが持っていた写真が置かれ、先生も座った。

9
日ほど写真を預かり長くなり、すいませんでした。と、校長先生。
実は警察の鑑識結果が5日ほどかかり先日、私の家に部長が来て、写真の説明をしてくれたのですよ。
それで少し時間が、かかりました、とか。
私は早く、その結果を聞きたくてウズウズ。

愛ちゃんも、いつ、その話しを聞けるのか、少し緊張気味。
するとドアが開いて事務の女性が温かい緑茶を出し、オハギまで添えていた。
校長先生「このオハギは、私の家内が作ったもので、特別に20コほど持って来たので、味見して下さい」と嬉しいおご馳走。

そして愛ちゃんの顔を見て、校長先生「君のお父さんでしたね、左中央の、この人」と指差して、
愛 「ハイ、谷口・カズオ、パパです」

校長先生「その右に座っている女の人、「谷口さなえ」さん、と名前がありました」。
お年は5060才ごろで、私達と同じぐらいの年齢です。
そして左端の方は、「谷口次郎」さん、という名前でしたから、この四人の人々は名前の通りご親戚です。
実は意外なところから手がかりがつかめました。とりあえず言いますが、女性の方は、愛さんの祖母です。
右端の方は、愛さんの祖父の「谷口次郎」さんです。左端の方は、祖父の弟になる「谷口三郎」さんです

写真の左部に昭和41年5月、北九州市小倉北方と記入しているので、写真全体の景観を読み取ると、北方競馬場近くの街並があります。そして、左端の谷口三郎さんが着ている防寒着上下と帽子ですが、これは八幡製鉄所の作業着と想います。
お父さんと祖母、祖父の皆さんは、喪のスタイルをしていますから、法事とか葬儀を発想する事ができますね。このところまで、写真の鑑定です。 それで、その写真をカラースキャンし色修正し、大きく伸ばして差し上げる事もできますが、上瀧さん、しますか。
愛ちゃんに目くばせして「ウン」
「すいません、お願いします」ということで、早速、学校事務員さんが来てプリントアウト。10分程で A4サイズのカラー写真に色修正、引き伸ばされた写真見て感動する愛ちゃん。オマケに写真修正、色補正までしたSDカードまで頂いた。
事、細かくお話し、してくれた山本校長先生。
加えて奥さまのオハギが美味しくて、緑茶を三ハイもお代わりした私。本当に感謝の嬉しいお心遣いをもらい、洋子ちゃんも愛ちゃんも「ありがとう」「ありがとうございます」ばかり。で、足立中学校、校門を出た。

学びの学校、私の母校も、すっかり様子を変えた近代的な建物が並ぶ都会の中の中学校。
もう少し学校の中を見てみたかった愛ちゃんだったが、彼女が通うハイスクールも、こんなに多くないお友達とかで
「パパの学校ステキ」「先生もみんな温かい」 「愛も、このようなスクールなら、もっとたくさん勉強できそう」とか、洋子ちゃんに話しながら「フーン」の私でした。

それで、急に想いだし「愛ちゃん、私の故郷、生まれた場所。それと私が子供のころ育った場所が同じ所にあるのだけど行ってみない」
「イクイク」と、愛ちゃん。
それは小倉南区守恒。その途中に愛ちゃんの写真にある北方、JRAの小倉競馬場を通る事になるので、そのまま国道386号線に入り、田川方面行くと、国道上に北九州都市モノレールがゴゥゴゥと通り、
「パパすごーィ、電車が上を走っている」ここの通りは昔、道路中央に西鉄電車が走って、北方が終点。
その反対の、ホラ、この間行った小倉魚町、井筒屋デパートがあっただろう。あそこが折り返し地点で、随分、私達はその電車を利用したんだ。
今は車が多すぎなので、その電車がモノレールという事になり、小倉南区企救丘駅が終点なんだけど、今から行くところは、その途中にある守恒という所なんだよ。

そのマイカーから見える景観にJRA小倉競馬場があるが、写真と景観を重ね合せるのは難しい。
その反対側には北九州大学校の大きなビルがあり、そこを通り越して行くと守恒の街。
少し山手に上がり、狭い道路そばに龍泉寺、その寺の駐車場に入れて、すぐ前に牛島家の墓。
隣りに上瀧家の墓がある。 
愛 「パパと同じ名前ね」

私 「そうだよ、ここに私のお父さん、お母さん。そして、その先祖がここで眠っているんだよ」日本人は亡くなると、みんな火葬にし、一部の骨を拾って小さな骨壺に入れ、お墓の中に入れているんだ。だから私の上瀧家の墓には骨壺が9つあるんだよ」
「その隣りにある牛島家のお墓は、私の母方の祖父母、その兄弟から、もっと古いご先祖の皆さんが入ってる所なんだよ」「ここでまず、お祈りするのでチョット待ってね」
中央の小窓を開けると、ロウソク、線香、マッチ一式があるので、いつでもお参りができる事になっており、ここでお線香を点けて私、合掌。
愛ちゃんもお参りね、ということで、10本ぐらいの線香から煙が出てきて「遊びに来たよ皆さん♡」そんなハートで手を合わせた。
もう一つの牛島家のお墓にも同じように線香をともして、手を合わせる。
すると洋子ちゃんが「昔はね、この山一帯、パパのお爺ちゃん、牛島家の畑で、この近くにパパが生まれた家があったのよ」と言ってくれた。

今は、企救丘と地名があり、たくさんの住宅地として、小高い山上まで家が立ち並び、下には大型スーパーがあるのだが、私が子供のころは溜め池が上下二つあって、みんなお米を作るときの大切な水があったのだが、そのようなお話しをしても、愛ちゃんには分かってもらえない。それでも、こうして私の、ご先祖様のお墓があるということを愛ちゃんに知ってほしかった事。これも社会勉強。日本の文化と決めつけ、アピールしている私だった。


そして、もう一つ気がかりな所を愛ちゃんに見てもらった。
私のお墓の向かい側にある山の森にあるお墓、わずか30mそば、市道から入ってすぐに谷口家の墓が三っ、ポツーンとあり、その隣りに牛島家の子供達が土葬された石積みの墓が三っある。
祖父の子供が1才から7才でなくなったとき、土葬された、と私の母から聞いている。
その石積の墓にも線香を三本ずつ立て、お祈りをした私。
それよりも、その側に谷口家の墓がある事が不思議。もしかして牛島家と繋がりがあるのだろうか、私には分からない。でも愛ちゃんと、関わりのある谷口家だったら、どうしょうか。この事をもっと知っておくべきだった。と後悔している。
愛ちゃんは日本語の漢字を、まだ理解していない、しかし、谷口家の墓所をシッカリ見て、後は彼女が、この先、どのような考えで、パパの生い立ちを知りたいのか、その事を私が何処までサポートできるか、そう考え、控えめにし、早く愛ちゃんのママが住む国へ送りたい。そう想った。


その帰り道、九州自動車道、小倉南ICそばの「かかしウドン店」に立ち寄り、少し遅めのお昼のランチ。
大きな広いワンフロアーの店に80人ぐらい利用できるお食事処は私達が良く利用するお店。

ここでは私はテンプラ定食「愛ちゃんは?」「パパと同じでイイよ」 洋子ちゃんは食べきれないのでソバ定食を注文し、掘りコタツの和式テーブルに座る。
すると、洋子ちゃんが愛ちゃんを連れて、お冷やとか取り放題の漬け物を小皿にたくさん並べて持って来た。愛 「これナァーニ」が連発して、漬け物の意味が分からないみたい。
私 「だろうなァ、まず少し食べてごらん」ということで、サイコロ切りのダイコンとコンプ出汁の漬け物にガリガリ。
愛ちゃん「変な味?」
続いて、キュウリの小切りに、赤トウガラシを付けた漬け物を、やはりガリガリ。
愛 「チョット苦いかも」と顔をしかめて、好きではなさそう……。
赤いウメボシとナスビも、やっぱり漬け物は苦手の愛ちゃん。
最後に黒い塩コンブ煮付け、こちらは醤油辛くて、これも苦手な様子。

そして、天ぷら定食の、大きな皿にエビ2匹にカボチャ、ナスビ、ピーマン、エリンギの天プラに、トウフと玉子焼きと、タケノコの佃煮盛り。それにおサシミ皿があり、そして白ご飯にミソ汁が付いたものが、私と愛ちゃんの前に置かれ、洋子ちゃんは、グリーン色したソバに、同じようなテンプラの盛り付けがある。
始めてのメニューに戸惑っている愛ちゃんだったが、まずはいつものようにお祈りしてから「いただきます」
でも、どれから手を付けて良いか分からないので、
洋子ちゃんが私の定食を獲って「愛ちゃん、私を見てネ」まずテンプラを食べるのだけれど、そのテンプラに浸ける、お出汁があるでしょう?。
その出し汁にダイコンを擦ったものを入れます。

そう、ハシでかき混ぜてね。
そしてテンプラ、好きな物を取って、その出し汁に浸けるの。
そう、簡単に浸けて、すぐに口に入れてごらん。

そう、出し汁のお椀を、持った方が食べやすいかもね。
ぎこちない手つきと仕草で、ゆっくりガブッと噛んでからモグモグ。

少しアッサリ系で、もう一度カミついてから、
カボチャのテンプラを食べてしまうと「美味しいね」テンプラ。
「すごーく、美味しいよパパ」
「良かった」

愛ちゃんにとっては珍しいものばかりだが、ここにあるメニューのほとんどは日本料理の定番となってね、旅館とかホテルでも食べることができる日本食なんだよ。
パクパク、モグモグしながら洋子ちゃんのグリーンの、おソバが気になる愛ちゃん。
それで洋子ちゃんが「愛ちゃん、ソバ食べてみる?」

愛 「少しだけ食べてみる」とかで、ソバの出し汁椀にグリーンのソバをタップリ入れて愛ちゃんに渡して、器用にハシを使ってスルスル食べると、最初は変な顔をしていたが、モグモグして、急にゴッホン、ゴッホン咳して、鼻にむせたかも知れない。しばらく食べるのができなくて、水をゴックンして、やっと納まった。

愛ちゃん「ソバの出し汁にね、ワサビが入っているんだよね」愛ちゃん、魚のサシミがあるだろう。
その側にあるグリーン色のもの、それがワサビで、そのワサビがソバの出し汁に入り、香りとか風味を、より効かせてくれ、日本人が凄く好むんだよ。

愛 「愛は、始めてワサビとか知ったよ」
私 「家でもあるんだけど、愛ちゃんにはヤラないようにしているんだけど、試しに、そのお魚の食べ方ね、醤油に少し、そのワサビを添え、1-3ぐらい醤油を入れて混ぜてごらん。それに浸けて魚を食べてごらん。ゆっくりでイイんだよ」 
愛ちゃんの大きな口にタイの切り身が入り、モグモグ。
愛 「ここのお魚さん、コリコリして美味しい。味も香りもすごく合って、愛、好きかも」 「だろう」

外国人の多くが、日本食の寿司を好んで食べるのだけど、まだ愛ちゃんは、お寿司を食べさせてないんだけど、その寿司とか、魚のない巻きずし、イナリずし、キュウリとか黄色タクアンが入ったカッパ巻き寿司。
そして納豆、好きだろう。その寿司なんかもあるんだよ。今度は、そのような寿司を食べに行こうかね。
愛 「愛、日本料理大好きになるかも」「パパ、明日そのお店に行きたい」

私 「イイよ」
そのようなお食事会が一時間も続いて、最後はやっぱり温かいお茶を頂くが、そのお茶を
「パパ、このお茶、甘いね。変な味でしょう」と、不思議がる愛ちゃん。
洋子「これはね、玄米茶と言ってね、玄米を煮込んで作る甘いお茶。同じお茶でもね、日本茶には10数種類以上あるのよね。だけど玄米茶どう?」
「愛は、このお茶の方が飲みやすいかも。苦くないモンね」 「そうだね、分る気がする」と私。


今日も色々な社会勉強した愛ちゃん。お腹イッパイになった車の中で、洋子ちゃんに寄り添っていたのが、いつの間にか膝枕になってグゥグゥと熟睡している。

その姿をミラーで見ながら洋子ちゃんが「本当にこの子カワイイ」

「ミータンが大きくなっても、こんなかしら?」

私 「愛ちゃんのように素直に賢く、何でも話し合える子になってくれたらイイね」
洋子「でも、いつまで愛ちゃん家に居るのかしら…」と、家に着いた。

すると家の電話にきずいた洋子ちゃんが「留守番電話にメッセージが入っているよ、お父さん」
愛ちゃんの家庭教師をしている鈴木先生からのメッセージだった。
「明日、北九州空港で待ち合わせし、愛ちゃんと帰る約束をしていた」ということだった。
と、言うことは、このことは愛ちゃん知っていることになる。
それで、コタツでテレビを見ている愛ちゃんを見て、すぐに言わないで先程、さかえ屋で買ったショートケーキに温かいココアミルクティをテーブルに並べ
「愛ちゃん、ケーキ食べよう」と洋子ちゃん。
「ハーィ」と元気にイスに座った愛ちゃん。
「誕生日みたい」と愛ちゃんだ。
心の中で、こんなことなら丸い大きなケーキを買ってくれば良かったと、先程から想っていたが、
まず、そんなことより大切なことを問わないといけない。 


その前に「愛ちゃん、いただきますイイ?」「ウーン、イイょ」で、少しお祈りして「いただきます」で、すぐに大きな口でパクンとイチゴケーキを食べた愛ちゃん。 そして「すごーく美味しいねママ」大きな目を、瞳いっぱい開けて洋子ちゃんを見る笑顔は最高にカワイイ。
温かいココアミルクティは、ケーキ以上に甘く、私は正直、苦手。

正直に言うとケーキはあまり好きじゃない。
いつも洋子ちゃんの手前、少しは食べるのだけど、半分も食べないで洋子ちゃんに上げるのだ。

そして、二つ目のショートケーキはカカオたっぷりのチョコケーキ。
これも美味しいとペロリと平らげた愛ちゃん。
大満足して「ママ、こんな美味しいケーキ、始めてだよ」
初めてという言葉が多い愛ちゃん。
すごく行橋とか北九州市を気に入っているが、愛ちゃんの探しもの、知りたいことがまだ十分に分からない。
でも行橋に来て14日、二週間になる。先程の鈴木先生のメッセージを想い切って言うことにした。

私 「愛ちゃん、さっきね鈴木先生から電話をもらったんだ、明日、先生が迎えに来るんだよね」
愛ちゃん、急にうつむいて黙ってしまった。 5分ぐらいして愛ちゃんが口を開いた。
愛 「本当は、もう少し行橋でパパ、ママと一緒にいたいんだ」
愛 「けどね、私のママから、ワガママもこのぐらいにしなさい」と怒られたの。それに「上瀧さんに、たくさん迷惑をかけていること」 「たくさん叱られたの」

愛 「それで明日、帰ること約束したの。鈴木先生が明日、北九州空港に来るの」

私 「そうだね、私達はズーッと君がここにいても構わないんだ。でもね、君は、私や洋子ちゃんの本当の親ではない、他人なんだ」 「君を待っているママ、そして君の兄弟、それに、たくさんのお友達がいるだろう。君が早く帰って来ないか、みんな心配して待っていると想うんだ」

愛ちゃんは、うなずいて黙って私の一つ一つの言葉をかみしめてウン、ウンしている。
私 「それでね、私と洋子ちゃんの考え、愛ちゃんに対する私達の気持ちを言うよ。さっきも言ったけど、愛ちゃんのこと凄く好きだよ。娘になってほしいと想っているよ。」「ね、洋子ちゃん」
洋子「愛ちゃんみたいな素直で賢くて、誰にでも優しい子、珍しいのよ」「それに愛ちゃんがママと呼んでくれるよね、すごく嬉しいの」「お父さんもそうでしょう」
私 「そうだよ、娘というよりは孫娘と想っている。大阪のミータンと一緒ぐらい可愛い、そんな子なんだ君は」
愛 「ありがとうパパ、ママ」

コーヒーカップに、愛ちゃんの涙がポチャーン、ポチャー落ちて、すごく可愛そうで抱きしめて、あげたいぐらい。だが、それを洋子ちゃんが感じて、二人のおでこと、おでこがくっついて、優しく洋子ちゃんの腕が、愛ちゃんを抱きしめていた。もう何も言えなくて、私はこのテーブルから去った。
ホームページの更新をしながら、今日、色んな出来事をまとめているとドアごしに、いつもの声。
「パパ、夕ご飯ですよ」と大きな声。

6人掛けの広いテーブルいっぱいに並んだ料理は、具だくさんのミネストローネ、メジナのバターソティー・キノコ添えがメーンで、まるでフランス料理だ。それに魚釣りで釣れたメイタのサシミにウミタナゴの塩焼き。これにジャーマンポテトが添えられ、愛ちゃんも洋子ちゃんも大好きなイチゴが盛られた、リンゴとパイナップル、ブドウ、キウイ、オレンジがミックスされたフルーツポンチがあって、何処かのパーティに招待されたようなランチに、思わずハッピーニューイヤー。
三人で自撮りのシャッターを撮り、この楽しいランチタイムをしっかり記録に残しておくことも忘れない。
この写真、動画を私のホームページに入れ、たくさんの人に観てもらうこと、そして愛ちゃんのママにも、JAPAN行橋のファミリーも、しっかり紹介したい。
そのような想いを込め今、この瞬間があるんだ。

そして、いつもの愛ちゃんの長―ィお祈りがあって「いただきます」が始まる。

するとすぐに「ママ美味しーィ」「パパ、これ凄く美味しいね」ニコニコ笑顔の愛ちゃんを見ながら、目を小さくしてフォークとナイフを使う洋食ランチは少し不似合いと想いつつ、
美味しい、美味しいと、食べる愛ちゃんに圧倒され、

洋子ちゃんが「これ愛ちゃんが味付けした玉子焼き、美味しい」
私 「すぐにパクついて、すごーく美味しい。けど、中にミジンコが入ってるよね」
洋子ちゃん「そう、愛ちゃんのアイディアですよ。シコシコしてボリュームがあるでしょう」 
私 「すごく美味しいよ」

愛ちゃんがグッドを連発してくれているので、
「洋子ちゃん、この玉子焼き、明日、もう一度作ってオミヤゲできないかなァー」と私。
「無理、むり、迎えに来てくれる鈴木先生ならいいかも知れないけどね」と、洋子ちゃんだ。
今日は一時間かけて長―ぃランチタイム。お腹ポンポコリンになり、女の子二人で後片付け。
後姿の若い二人は、いつものように姉妹のように見え、私は幸せだ。

これで最後になるのか、すごく寂しくなるのだが、これは仕方ないことで、イチャついている二人のしぐさを、会話を聞きながら、愛ちゃんが入れてくれたお茶を飲みほした。

いつものようにパソコンに夢中になっていると、いつの間にかウトウトして眠ていると、愛ちゃんがチョコンと隣に座り、小さなお尻をぺッタリくっつけてくれるので、チョット心地良い感触で気ずいた。

愛 「パパありがとう」「明日帰るけど、また来てもイイ?」「アァ、イイよ」そっけなく言って、
愛 「あのね、まだ探しもの、知りたいこと、愛のパパのこと何にも探してないよ」
愛 「それでね、帰ってママと相談して、もう一度、小倉に来て、愛のパパを探すんだ。そのことをお兄ちゃん、お姉ちゃんに教えてあげるの」「それで、また来てもイイ?」
私 「いいょ、そんなことだったら何度も来てイイょ」「洋子ちゃんはイイって言った、だろう」

愛 「まだ言ってないんだよ、先にパパに言ってから洋子ちゃんママに言うんだよ」
私 「それなら今から、この事を言っておいで」「ハーィ」と返事して、ミータンみたいな少女が室を出た。

しばらくパソコン操作が出来ないでいると、

愛 「パパ、お風呂だよ、一緒に入ろうか」と愛ちゃん。
私 「アホか、一人で入るよ」

明日、鈴木先生に会い、愛ちゃんが帰る日だから奇麗にサッパリしてヘァーを整え、早めにベッドに入った。
しかし、若い二人は深夜まで通信ゲーム等して、ゲラゲラ笑いこけたと、後で聞いた。

⑮お別れの日

朝、いつもより早く目が覚め、スターコーンFMラジオのスイッチを入れてから、ニュース、天気、そして歌が流れる中、顔を洗っていると、後ろから愛ちゃんが、寝ぼけた顔で「パパ、おはよう」と言ってくれる。
私 「おはよう、愛ちゃん、目があいてないよ」
愛 「眠たいよぅー」と、私の背中に大きな頭をくっつける。
バトンタッチして、温かいお湯が出る洗面所の鏡に自分の顔を写して、愛ちゃん、
「この子、どこの子」と、鏡に向かって話しかける愛ちゃん。
後ろから少しコズイてやり「この子は、この子だ」と私。


台所で朝食ランチを作っている洋子ちゃんが、愛ちゃんのプランで、「今日はフレンチトーストと、ミートスパゲティできたょ」
プランニングした愛ちゃんが座り 「すごーィ、ママ」 「加勢できなくてゴメンねママ」
洋子「イェイェ、愛ちゃんのためなら、何でも作って上げるョ」 「ありがとうママ」
すぐにお祈りが始まり、目を閉じる愛ちゃん。その大きな瞼が、いつひらくか、すごく関心がある私達。
静かに目をあけ「いただきます」する愛ちゃん。
そして愛ちゃんの大好物、ミートスパゲティをペロリと食べて
愛 「ママの料理最高、又、食べに来るね、イイでしょう」
洋子「ハーィ、いつでもお待ちしてます」と、明るい洋子ちゃんだ。
優しい愛ちゃんが、いつものように緑茶を入れてくれ、今日は、いつもよりタップリ注がれている。

後ろからスターコーンFMラジオから、音楽が流れ、二人のハーモニーが素敵な朝のミュージックが引っ切りなしに流れ、今日も歌がたくさん聞けている。そして、京築の情報をギッシリ伝えてくれるラジオ。
この番組のおかげで、愛ちゃんと一緒の京築巡りが、たくさん出来たこと、愛ちゃんは、分かっているの、だろうか?
まだまだ行ってない、知らない所がたくさんある京築地域。
今度、来たら、また連れて行くところ、ピックアップしておかないと……等々、ボーッとしていたら


愛ちゃん、着替えてきて、白いブラウスに白いミニスカート。淡いピンクのジャケットに白いダウンコートを着て、今でも出発のような雰囲気。

洋子ちゃんが昔着ていた古着が今、こんなところで活かされている。
すごく眩しい彼女に、再び若い時の洋子ちゃんを連想させる、複雑な心境でいる私。

すぐに愛ちゃん「パパ、今日は早めに出よう。お兄ちゃんと、お姉ちゃんのオミヤゲを買うんだよ」
そうだった、何も準備してなかったから急いでスーツを着替えていると、洋子ちゃんは濃いエンジ色のワンピースに白いフリルの付いたブラウス。胸に真珠のネックレスに大きな花のブローチを付けて凄くオシャレしている。その二人が腕を組んで後部シートに座ると、私は運転手になっている感じ。

30分で北九州空港に到着。二階のホールに入ると、たくさんのオミヤゲ店がある。
地域をPRする京築物産展のようなお店から、北九州最大のデパート井筒屋のお店は、すごく人気がある。
私は、買い物は苦手なので洋子ちゃんにお任せするが、その前に内緒で洋子ちゃんから愛ちゃんに渡す、進学祝いをプレゼントしているので、愛ちゃん大喜びで6人分のオミヤゲに、ママのヘツトハッドを買った。
兄弟には、それぞれに甘ーい菓子を袋いっぱいにしている。
もう心の中は愛ちゃんの国に飛んでいる感じ。でも良かった。大切な他人の子を、ホームステイさせて、こんなにたくさん楽しんだ事、有りえない私達。
無事責任を果たし、見送る事が出来て良かった。そのような想いで、遠くから洋子ちゃんと愛ちゃんの買物を見つめている私。


そして午前11時の飛行機が着いて、すぐに降りて来た鈴木先生を見て、真っ先に愛ちゃんが先生の胸に飛び込んだ。可愛い笑顔で、先生に、迎えに来てくれてありがとうの、深いお辞儀をしている愛ちゃん。
驚いた様子の鈴木先生。
すぐに貴方、愛さんなの?。
チョット大人びた愛ちゃん見てから、私達に一礼する先生。そして、

鈴木「たくさん、たくさん、大変ご迷惑をお掛けしましたと、奥様が言っておりました。改めて、ほんとうに、本当にありがとうございました」と、頭を下げられて、こちらも困りました。

鈴木「二週間ほどでしたが、こんなに愛さんが大人になっている事、信じられません。
上瀧様ご夫婦の愛情と優しい心使いが、こんなに愛さんを変えたのですね。
愛さんは甘え子で、少し、わがままな性格があります。
でも今は、そのような事、感じられなくて、立派に成長されました。
それに日本語が増々上手になって、驚きました。と、鈴木先生。
側で聞いていた愛ちゃん、先生に「一度、国に帰ってから、今度は夏休みに行橋市に帰るんだよ。」
「アアーっ」と私達、驚いています。
鈴木先生「それは奥様から聞いていませんので、今は聞かないことします。」
そして、奥様からの御礼が少々ですが、お気持ちをお受け取りくださいと、封書を頂いた。
「これは?」「奥様からの手紙が入っておりますので、後ほどお確かめ下さい」ということで、では後で。
鈴木「それで帰りの東京便の予約は済ましています、ので、すいません、ここで愛さんとお別れしますが、よろしいでしょうか」
「エー、アー、今ですか」、と、もう声が出ない私達。
広い大きな空港ロビーで旅人が行きかう中、東京行のアナウンスが入り、もう愛ちゃんの顔がグジャグジャになっている。
そして「パパー」と言って抱きついてきた愛ちゃん。
何も出来ないでいると、洋子ちゃんが「愛ちゃん、ママに逢えたら、よろしくね」

今度は洋子ちゃんにハグというより抱きついて泣きはじめた愛ちゃんだった。
こんな様子を見つめている鈴木先生も感動したようで、少し目を赤くしていた。そして
鈴木「上瀧さんご夫婦様が、愛さんを家族のように、お世話頂いて本当に感謝申し上げます」
この事を「奥様にシッカリお伝えします」と、二度も三度もおじぎされ、後ろ髪を引かれるような想いで私達から遠ざかる二人。
最後までシクシク泣いていた愛ちゃん、改札口から消えるまで何座も振り向き、そして手を振った私達。

もう心が折れそうだったが、彼女は「他人の子」そう想うしかなかった。

第一部 他人の子 完

   他人の子、第二部・戦火の中で  タニグチ・アイ 愛ちゃんの過去と未来を知る 

予告・ストリー

小倉駅で、全く知らない「他人の子」から声かけられ、まさかのホームスティが半月ほど。色々な想い出以上に我が娘の様な感覚に陥った洋子ちゃんと私。愛ちゃんの探し物は見つからなかったが、第二部、戦火の中では、驚くようなステージが待ち構えている。日本人と外国の国籍を持つ愛ちゃんの過去が、暴かれるストリーを第二部で紹介します。            ペンネーム 大和三郎丸(上瀧勇哲)







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 マイ ファミリー 第五巻 続編 4 第一部 完

   小説  他 人 の 子







    作者・編集・発行人 大和三郎丸 (上瀧勇哲)